現地時間3月22日にア・トライブ・コールド・クエストのファイフ・ドーグが亡くなったのを受けて、ナズやピート・ロックといった彼の仲間たちがその思い出について語っている。
本名をマリク・テイラーというファイフ・ドーグは長年の闘病生活を経て、1990年に診断を受けた糖尿病を原因とする合併症によって亡くなっている。享年45歳だった。
米『ビルボード』誌は“ファイブ・フット・アサシン(1.5mの暗殺者)”という愛称で知られていたファイフ・ドーグについて語るヒップホップたちの仲間の言葉を紹介している。
ナズはファイフ・ドーグについて次のように振り返っている。「ファイフは俺の出身地、ニューヨークのクイーンズ代表みたいなもんだ。誰にも真似できないよ。俺の大切な時期の成長を助けてくれたようなもんだ。他の国々を旅する前、高性能のレコーディング施設を利用できるようになるもっと前の時代に、ファイフとア・トライブ・コールド・クエストの連中が、10代の俺にとってのサウンドトラックだった。人々を動かし、そして同時に考えさせた。彼は本当に存在感があって、そしてカルチャー・ショックを引き起こしたんだよ。音楽を通じてファイフは俺の仲間であり、兄であり、指導者であり、教師であり、サポート役であり、ジョーク好きで、多くの異なった魅力があった。俺が必要としていたものをくれたんだ。大きな鉄のドアを蹴り開けてくれたおかげで、俺みたいな奴が楽に歩けるようになった。まさにレジェンドだよ!」
ピート・ロックはファイフ・ドーグとの出会いをこう語る。「俺はファイフに1990年にニューヨークのどっかで出会ったんだ。いつ、どこで出会ったとかに関係なく、俺たちは本当に長い間友人だった。俺はジャマイカ人だし、あいつにはトリニダード・トバゴの血が流れているけれど、その島国のルーツがあるというだけでなくて、奴は俺によくしてくれて、俺を理解し、そして一緒に仕事をしたんだ。そうした一つ一つが好きなんだ。奴の死は、なんていうかマイク・タイソンにボディを食らったみたいな衝撃だよ。今、俺が鼻をすすっているのが聞こえるだろ。奴はスポーツ、音楽、そしてラップが大好きだった。新しい音楽を聴くのも好きで、今どうなっているのかいつも気にかけていた。奴は文化の中にどっぷりと浸かったような男で、ア・トライブ・コールド・クエストがどうして解散したかなんて関係ないよ。ファイフの最も素晴らしかった点は、彼は本当に抜きん出て個性的で自分自身であったということだよ。また、誰にでも合わせることができるんだ。俺は奴の前では本当にリラックスして自分自身でいられた。俺は恥ずかしいなんてプライドは持ち合わせていないから声を大にして言う。『ファイフ、愛してるよ』」
モブ・ディープのラッパーであるプロディジーはア・トライブ・コールド・クエストからの影響について語っている。「ファイフはいい奴だったよ。奴は最高だったし、エネルギッシュなパンチラインを繰り出した。俺たちが最初にモブ・ディープを始めた時、ア・トライブ・コールド・クエストにすごく影響を受けたんだ。彼らは本当に個性的で、自分たちの道を進み、流行に囚われていなかった。彼らの遺した遺産を振り返ることはとても大切なことなんだ――制作、ライムとか――彼らがトレンドを生み出していった。誰も彼らの遺産を真似できないさ。それが本当にすごいことだと思う」
同じくモブ・ディープのラッパーであるハヴォックも次のように振り返っている。「俺はいつもファイフ・ドーグのファンだった。奴のリリックは革新そのものだった。彼と、Qティップ、そしてア・トライブ・コールド・クエストが今日のヒップ・ホップの主流を作ったし、俺にインスピレーションを与えてくれた。彼らも俺と同じクイーンズ地区出身だったから、俺も成功できるかもしれないと思えたんだ。だから、彼らが本当に国際的になっていくのを見るだけで、すごくモチベーションになったんだよ。ファイフ・ドーグはすごいリリシストだからみんなが彼を尊敬していた。だから、毎回、ア・トライブ・コールド・クエストのことを考えるたびに、いつも“ファイブ・フット・アサシン”のことを考えるんだ」
ア・トライブ・コールド・クエストは先日オフィシャル・サイトで声明を発表しており、そのなかで「彼の健康問題や闘病生活についてはよく知られていました。しかし、彼の喜びと幸せのための闘いは、彼に必要としているものをすべて与えてくれました」と述べている。
ファイフ・ドーグは1985年にアリ・シャヒード、 Qティップと共にア・トライブ・コールド・クエストを結成している。ア・トライブ・コールド・クエストは『ロウ・エンド・セオリー』や『ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ』といったアルバムをリリースしている。
ファイフ・ドーグは短期間ソロ活動も行っており、唯一のソロ・アルバム『Ventilation: Da LP』を2000年にリリースしている。
訃報についてはプロデューサーのスタティック・セレクターがそれを認め、パブリック・エナミーのチャックDやフライング・ロータス、ラン・ザ・ジュエルズのエル・Pといったヒップホップ界の多くの人物がソーシャル・メディアで哀悼の意を表明していた。
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