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ヴァンパイア・ウィークエンドはヴィクトリアス・フェスティバルのヘッドライナーのステージで、旗を掲げたアーティストを罰するのはフェスとして「間違っている」と語っている。
現地時間8月22日、アイルランドのザ・メアリー・ウォロパーズはヴィクトリアス・フェスティバルで1曲目の途中で主催者によって音響が切られ、ステージ上に掲げていたパレスチナ国旗が撤去されることとなっている。
この措置についてはザ・メアリー・ウォロパーズ自身からも多くのアーティストからも激しい反発が起こっており、ザ・ラスト・ディナー・パーティー、ジ・アカデミック、クリフォーズ、エスメ・エマーソンらは出演をボイコットしている。
現地時間8月23日にヴァンパイア・ウィークエンドはヘッドライナーとして出演しており、1曲目の“Mansard Roof”を終えたところでエズラ・クーニグはこの問題について言及している。エズラ・クーニグは移動中ですべての情報を把握していなかったと説明しながら、アーティストが政治的見解を表明することを妨げられたとしたら「間違っている」と語っている。
「旗を掲げたことで罰せられたのだとしたら、それは間違っているよ。謝罪を受けるべきだ」とエズラ・クーニグは語っている。「パレスチナの人々の悲惨な苦しみは誰しもが共感すべきものだよ」
エズラ・クーニグのこの発言は『ポーツマス・ニュース』によれば大きな歓声と拍手で迎えられることになったという。
ザ・メアリー・ウォロパーズの音響が切られたことについてヴィクトリアス・フェスティバルは『NME』に対してステージ上に国旗が掲げられていたからではなく、「バンドが差別的な文脈があると広く理解されているチャントを使った」ためだと述べていた。
ザ・メアリー・ウォロパーズは出演時の無編集の映像を投稿して、次のように述べている。「フェスティバル側は報道機関に対して差別的なチャントが原因で音響をカットしたのであって、バンドの『パレスチナ解放』の呼びかけが原因ではないという、誤解を招く声明を出しました。私たちの映像はヴィクトリアス・フェスティバルのクルーがステージに出てきて、演奏を妨害し、ステージから国旗を降ろし、そして『フリー・パレスチナ』のチャント後に音がカットされる様子がはっきりと映っています。同じクルーのメンバーが『旗を撤去するまで演奏できないんだ』と言っているのが聞こえます」
「ヴィクトリアス・フェスティバルによる本日の出来事に関する説明を全面的に拒否し、声明の即時撤回を求めます」
その後、ヴィクトリアス・フェスティバルは「すべての関係者」に謝罪する声明を発表している。「マイクは生きていたものの、ザ・メアリー・ウォロパーズの観客への音響はバンドのビデオで説明されている通りカットされ、その後の発言は観客に聞こえなかったことを認めます。このような事態を招いたことをお詫びすると共にパレスチナの人々のための人道支援活動に一定の寄付を致します」
出演を取りやめたザ・ラスト・ディナー・パーティーは「ザ・メアリー・ウォロパーズに発言をさせなかった判断に憤慨している」として「政治的検閲に賛同することはできない」と述べている。
ザ・メアリー・ウォロパーズと同じアイルランドのジ・アカデミックとクリフォーズも出演を取りやめている。ジ・アカデミックは「言論の自由と意見表明の権利を封じ込めるフェスティバルで、良心の呵責なく演奏することはできない」と述べており、クリフォーズは「パレスチナの人々への支持を示したことで検閲を受けるのであれば、演奏を拒否する」と述べている。
ヴィクトリアス・フェスティバルは物議を醸している世界的投資会社KKRが所有するスーパーストラクト・エンターテインメントが運営するフェスティバルの一つとなっている。KKRはパレスチナ占領地で企業活動を行うイスラエル企業や武器製造会社への投資疑惑で、多くのアーティストから批判を受けることとなっている。
KKRの支援を受ける他のいくつかのフェスティバルもこの関係について懸念を表明しており、トラムラインズは「KKRに1ユーロも送金しない」と述べ、マイティ・フープラは「KKRの非倫理的な投資に明確に反対する」と述べている。
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