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元クラフトワークのヴォルフガング・フリューアはダフト・パンクのトーマ・バンガルテルになりすました人物に騙されて一緒に作品を作ったことが明らかになっている。

ヴォルフガング・フリューアは3月28日に最新作『タイムズ』をリリースしており、その内の数曲でトーマ・バンガルテルとコラボレーションをしたと謳われていた。ヴォルフガング・フリューアは1973年から1987年までクラフトワークの電子パーカッションを担当しており、脱退後も音楽活動を続けて、2015年に最初のソロ・アルバムをリリースしている。

ヴォルフガング・フリューアはここ2年間にわたってトーマ・バンガルテルとのコラボレーションの存在を示唆してきたが、アルバムがリリースされると、トーマ・バンガルテルになりすました人物と作品を作ったのではないかと報じられることになっている。

ブログ「ダフト・パンク・ヒストリアン」はアルバムについて最初に語られたのは『ブリッツド・マガジン』2023年2月号であることを指摘しており、ヴォルフガング・フリューアと音楽パートナーのピーター・デュガルはトーマ・バンガルテルの名前のフェイスブックから2022年発表の『マガジン1』に対する賛辞をもらったと語っている。トーマ・バンガルテルがダフト・パンクの一員であることを知って、ヴォルフガング・フリューアとピーター・デュガルはコラボレーションを持ちかけている。

ピーター・デュガルはそのインタヴューの誌面の写真と共に「トーマ・バンガルテルとのコラボレーションでクールなものが生まれた」とツイートしていたが、その数日後にツイートを削除しており、コラボレーションの信憑性について疑問の余地が生まれることとなっていた。

2024年1月、ヴォルフガング・フリューアはトーマ・バンガルテルとのコラボレーションについて主張を崩さず、同年9月にアルバムがリリースされると語っていた。そこでアルバムはリリースされなかったものの、今年1月にアルバムは3月にリリースすることが発表されている。

リリース元のチェリー・レッド・レコーズは今年1月にアルバムのトラックリストを公開しており、そこには「Thomas Vangarde」と表記されていた。「Vangarde」の表記はトーマ・バンガルテルの父親が匿名性を保つために使っていた偽名で、2021年のダフト・パンク解散以降、同じようなアプローチをトーマ・バンガルテルが採用した可能性もファンからは指摘されていた。

ヴォルフガング・フリューアはベン・カーデューとのインタヴューでコラボレーションについて次のように語っている。「彼がソーシャル・メディアでメッセージを送ってくれたんだ。『マガジン1』のアルバムを聴いて、絶賛してくれたんだよ。『素晴らしいアルバムで、サインをしてくれないだろうか? アルバムを集めているんだけど、個人的にサインしたものじゃないとダメなんだ。みなさんのことが大好きで、クラフトワークがいなかったら、ロボットで、ヘルメットをステージで被るスタイルは生まれなかった。ヴォルフガング、君のことも大好きだよ。アルバムを送ってもらえないだろうか?』と言われたんだ」

「その後、私から『ちょうど宇宙をテーマにしているところで、曲に参加してもらえないだろうか?』と言ったら、『私も宇宙は大好きで、すでにアイディアはあるんだ、ヴォルフガング。使ってもらえるかな? 2日くれるかい。探さなきゃいけないんだ。新しくやるわけじゃない。使ってもらえると思うよ』と返ってきてね。そうして送ってくれたものはキーが合わなかったんだけど、キーを変えて、ちょっとテンポを修正したら、途中のパートで使えるものになって、ピーター・フックのベースと合わせたんだ。うまくいったと思う」

しかし、3月28日にアルバム『タイムズ』がリリースされるとダフト・パンクの関係者は「Thomas Vangarde」がトーマ・バンガルテルではないとソーシャル・メディアで述べている。

「大切なお知らせ:ヴォルフガング・フリューアの最新作でThomas Vangardeがクレジットされていますが、これがトーマ・バンガルテルであるという憶測や報道がありました。これは事実ではありません。残念ながらプロジェクトに参加しているのはダフト・パンクのトーマ・バンガルテルではなく、それ以外のニュースは不正確なものです」

各種ストリーミング・サービスでは「Thomas Vangarde」のクレジットは依然として表記されたままとなっている。

トーマ・バンガルテルはダフト・パンク解散後も音楽作品をリリースしており、バレエに提供したソロ・アルバム『ミソロジーズ』を2023年4月にリリースしているほか、サルヴァドール・ダリを6人の俳優が演じた映画『DAAAAAALÍ』のサウンドトラックも手掛けている。

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