Photo: Peter Smith

フォンテインズD.C.は最新作『ロマンス』からの三部作となるミュージック・ビデオと共に新曲“It’s Amazing To Young”が公開されており、ベーシストのコナー・ディーガンがインタヴューに答えている。

先週予告されていたニュー・シングルは2024年発表の多くの評価を集めたアルバム『ロマンス』に続くもので、アルバム同様、ジェームス・フォードがプロデュースしている。

“It’s Amazing To Young”は“Here’s The Thing”、“In The Modern World”のミュージック・ビデオを手掛けてきた英国アカデミー賞受賞歴のあるルナ・カームーンが監督を務めている。“It’s Amazing To Young”のミュージック・ビデオは、“In The Modern World”に登場するマーティン(ユアン・ミッチェル)と“Here’s The Thing”に登場するスパイダー(グレース・コレンダー)が合わさった三部作の最終作として、「ありえなくも美しいシュールなラヴストーリー」を描いたものとなっている。

「この曲は大好きです。フォンテインズD.C.がやってきたことでも一番のお気に入りの一つで、この曲のビデオで三部作を完結させることができたのも嬉しく思っています」とルナ・カームーンは語っている。「3つのミュージック・ビデオが一つの作品になったのは自然でありながら、驚きでもありました。素晴らしいチームと仕事ができて、音楽を聴いたときに自然と思い浮かんだ世界を作るための余裕も与えてもらいました」

「今はロマンティックな愛が脇に追いやられ、セックスや愛は不徳で、人々が望むものではなくなっているという奇妙な時代に暮らしている気がします。私はそんな風に考えていません。私は2人の人物が自分たちで恋に落ちるということが好きだし、そうやって恋に落ちるのを観たいと思っています」

ルナ・カームーンは次のように続けている。「“In The Modern World”でカージュツのビデオを撮影して、種を蒔き、それから数日で“It’s Amazing To Young”のビデオの構成を書きました。映画『サンタ・サングレ/聖なる血』に捧げたところがたくさんあります。私の最初のショート・フィルム『シャグバンズ』を思い出させてくれるところもあります」

『ロマンス』のハイライトである“Favourite”を彷彿とさせる“It’s Amazing To Young”はカレイドスコープのようなインディ・サウンドに乗せてフロントマンのグリアン・チャッテンがシンプルな時代を歌い、イノセントな多幸感が息づいている。ベーシストのコナー・ディーガンは「生まれたばかりの子ども」、ギタリストのカルロス・オコンネルがもうけた子どもの存在がインスピレーションとなったと語っている。

「この曲が日の目を見るのが嬉しいよ。というのも、僕らにとって特別な曲なんだ。曲以上に書かれ方というのが変わっていてね。この曲はカルロスの生まれたばかりの子どもの前で形になり始めた。彼女へのメッセージなんだよ」

コナー・ディーガンは次のように続けている。「心あたたまる曲だよ。人間としてシニカルになる時もあるし、周りの世界に気を取られると、そうなってしまったりもする。楽観性が思い込みのように思えてしまう時もある。でも、生まれたばかりの子どもによって純粋で深い美しさと希望に出会うことができて、それは世間擦れした人間にも自分たちにも論破できないものなんだ」

コナー・ディーガンはミュージック・ビデオについて『ロマンス』の「独自の世界を作っていく」一環だと語っている。

「以前、アイルランドやアイルランド人らしさについて海外で話したことがあったんだけど、それって現実世界が自分たちにとってどう見えているかを決めているところがあるんだよね。アイルランド人らしさが自分たちにとって大切なのは、それが世界に対するロマンチックな視座を持ち続けようとすることだからだと分かったんだ。アイルランド人らしさが自分たちに与えている影響と向き合うことになった。それで、そのことを純粋に扱ったアルバムを作りたいと気づいてね。だから、『ロマンス』というタイトルなんだ。そうした世界を作りたかったんだよ」

「着るものも、美的価値観も、バンドのサウンドも変えたのはだからだった。それはミュージック・ビデオの映像世界と合わさったもので、夢のようなものを作りたかったんだよ。別のミュージック・ビデオの登場人物が互いに絡むことで、他のミュージック・ビデオとは対照的に存在する世界のようになっているんだよ」

コナー・ディーガンは“It’s Amazing To Young”は『ロマンス』と同時期に書かれたが、アルバムを「簡潔に」したかったため収録されなかったと述べている。“It’s Amazing To Young”はB面曲の“Before You I Just Forget”と共に7インチのアナログ盤で4月18日にリリースされることも決定している。

“Before You I Just Forget”についてコナー・ディーガンは次のように語っている。「コナー・カーリーが書いた曲で、全員で仕上げた。素晴らしい曲だよ。いいベースラインがあって、ヴォーカルには本物の甘さがある。でも、ちょっとマニアックだから、みんなが歌ってくれるか心配になる曲でね。思慮深い曲だとは言えるよ」

“It’s Amazing To Young”は先日行われた来日公演で世界初披露されることになったが、大阪公演のサウンドチェック中にインタヴューを受けたコナー・ディーガンは『ロマンス』を作っていく際に日本から影響を受けたことを明かしている。

「初めて日本に来た時のことがアルバムの大きなインスピレーションになった。大きな影響を受けたんだ。東京は夢みたいな街なんだよね。インスピレーションを与えてくれた街で、“It’s Amazing To Young”を披露するのがいいんじゃないかなと思っているんだ」

今回のニュー・シングルが更なる新曲がリリースされる兆候であることを期待するファンはもう少し待つ必要があるかもしれないが、コナー・ディーガンは既に5枚目のアルバムに取り組んでいることも明かしている。

「曲を書くのをやめられないという感じだね。一緒にいるとやってしまうんだよ」とコナー・ディーガンは『NME』に語っている。「おそらく休みをとったほうがいいんだろうけどね。『ロマンス』の世界を少し落ち着かせて、他のことに想像を広げてみたほうがいいと思うからね。でも、曲を書き続けて、お互いの間でやりとりを続けて、ツアーが終わった時に本格的なコンセプトに取り組んでいくことになるんじゃないかなと思うよ」

新曲の方向性について訊かれると、コナー・ディーガンは次のように答えている。「感覚をつかめている曲も数曲あるんだけど、もっとゆるいものも何曲かあるんだ。それを元にどっちに向かうかはまだ決めてないけど、今のところある曲も面白い曲にはなっているよ」

フォンテインズD.C.はアルバム『ロマンス』を引っ提げて今夏にUKとアイルランドで大規模な屋外公演を行うことが決定している。

「ほとんどいつも通りのセットリストでやることになると思うよ」とコナー・ディーガンは締めくくっている。「大きなことをやりたいけど、何ができるかを見てみないといけないからね。素晴らしいライヴになると思うし、いくつか考えていることはあるんだけど、正直、ネタバレはしたくないんだ」

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