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ザ・1975は昨年、メンバー同士でキスをしたマレーシアのグッド・ヴァイブス・フェスティバルから240万ドル(約3.6億円)を求める訴訟を起こされている。

ザ・1975はマレーシアのクアラ・ランプールで2023年に開催された同フェスティバルに出演しており、マット・ヒーリーはLGBTQ+に関する法律に抗議して、ベーシストのロス・マクドナルドとキスしている。そのため、ザ・1975のライヴは早く切り上げられることとなっており、3日間開催予定だったフェスティバルの残りの日程は中止となっている。この出来事を受けて、ザ・1975はマレーシアでのライヴを禁じられている。

今回、フェスティバルの主催者はバンドの行動によってフェスティバルが中止になってしまったことについて240万ドルの損害賠償を求めて、バンドの個々のメンバーを相手取った訴訟を起こしている。

UKの最高裁に提出された訴状によれば、フェスティバルの主催者であるフューチャー・サウンド・アジアはザ・1975が出演前に伝えられたフェスティバルの制限事項に故意に反したと主張している。

制限にはステージ上での悪態、喫煙、飲酒、服を脱ぐこと、政治や宗教について話すことなどが含まれていたという。主催者側はマット・ヒーリーたちが外国人アーティストの撮影・出演を監督するマレーシアの中央機関(PUSPAL)が出しているルールを知っていたと主張している。そこには「キスすること、観客にキスすること、または自分たちの間でそのような行為を行うこと」も含まれていたとしている。

ザ・1975には出演料として35万ドルが支払われており、フェスティバルに出演するためにこの規則を守ることに同意していた。

訴状にはザ・1975は以前2016年にも同フェスティバルに出演したことがあり、その時に制限について聞かされ、昨年夏の出演に先立ち、再び様々な場面で注意を受けていたとも記されている。

訴状ではザ・1975が前夜に「フェスティバルに出演すべきではない」と判断したにもかかわらず、「意図的にガイドラインに違反」する形で「まったく違うセットリスト」を披露したとも述べられている。

そこにはマット・ヒーリーの「挑発的なスピーチ」も含まれており、当時マット・ヒーリーは同性愛者の権利に対するマレーシア政府の強硬な姿勢を非難して、「ザ・1975を呼んでおきながら、セックスする相手について決められる国なんて訳が分からないよ」と語っている。

彼は次のように続けている。「信心深く、政府を支持していて、気分を害するのなら申し訳ないけれど、君たちの政府はバカの集まりだ。気にしていられないよ。強制するなら、反発してやる。気分が乗らないよ。そういう気分になれないんだ」

その後、ベーシストのロス・マクドナルドはマット・ヒーリーに近づいてキスをしている。7曲目の“I Couldn’t Be More In Love”を演奏した後、マット・ヒーリーは観客に終えなければいけなくなったことを伝え、「クアラ・ルンプールでは出演禁止になってしまった」と語っている。

ザ・1975は現時点で今回の訴訟についてコメントを発表していない。

この件に関連してマレーシアでは18件の事件が警察に報告されている。当時、グッド・ヴァイブス・フェスティバルが中止になったことを受けて、地元アーティストや関係業者からは集団訴訟を起こされる可能性も浮上していた。

先立ってフューチャー・サウンド・アジアはフロントマンのマット・ヒーリーの「猥褻な振る舞い」によってフェスティバルが中止になったとして1,230万マレーシアリンギット(約3億8000万円)を損害賠償として求めていた。また、地元マレーシアのLGBTQ+コミュニティからはマット・ヒーリーを批判する声も寄せられている。「どの国にも法律があります。外国人がやってきて、介入して、指図するべきではありません。特に事態を悪化させることしかないのであれば。この状況の本当の犠牲者は、今回の余波に対処しなければならないマレーシアのLGBTQ+コミュニティとパンデミック後に立ち直ろうとしているマレーシアのライヴ・コンサート産業です」

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