ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーは『ザ・ダウンワード・スパイラル』をレーベルに手渡す時に謝罪した理由について語っている。
1994年にリリースされた『ザ・ダウンワード・スパイラル』はナイン・インチ・ネイルズの評価を確固たるものにしたアルバムで、全米2位・全英9位を獲得している。アルバムは批評家的にもリスナー的にも90年代で最も重要なアルバムの一つと見なされており、その摩擦係数の高い多様なサウンドとダークなテーマが評価されている。
『GQ』誌のインタヴューでトレント・レズナーは『ザ・ダウンワード・スパイラル』に商業的な可能性があるとは見なしておらず、レーベルに渡す時に謝罪したことを明かしている。
「アルバムを一筋縄ではいかない作品だと思っていたんだ。『ザ・ダウンワード・スパイラル』は作らなければならないアルバムだったけど、『ファック・ユー。許してくれ。目にもの見せてやる』というのに対応するような作品じゃなかった。渡す時に『申し訳ない。私がやろうとしていたことをやらせるべきではなかった』と言ったのを覚えている」
インタヴューでトレント・レズナーは『ザ・ダウンワード・スパイラル』の最後に収録した“Hurt”が「正直な曲」だったと語っている。
「僕が歌うのも聴こえないようなものにしたかったんだ。全体を通してノイズと分かれないものにするはずだった。商業的な意味合いを持つ可能性なんてまったくなかった。正直な曲だったんだよ。歌詞を書くつもりもなかったし、自分がどう感じたか、曲を書いている時、どれだけ絶望的だったかだった。核心に迫るものだったよね」
“Hurt”は米『ビルボード』誌のオルタナティヴ・エアプレイ・チャートで8位を記録して、1996年のグラミー賞では最優秀ロック・ソング賞にノミネートされており、ナイン・インチ・ネイルズでも最も知られている曲の一つとなっている。2002年にジョニー・キャッシュはキャリアの終盤に“Hurt”をカヴァーしており、『NME』は2011年に史上最高のミュージック・ビデオに選出している。
また、トレント・レズナーはストリーミング・サービスを批判して、多くのアーティストが「致命傷を負っている」と述べている。
「ストリーミング・サービスのひどい支払いである層のアーティスト全体が致命傷を負っていて、アーティストというのを持続不可能にしていると思う」とトレント・レズナーは語っている。
「自分がドレイクだったらいいけど、グリズリー・ベアだったらよくないよね。現実はこうだ。周りを見てみればいい。『すべての船が上向いていく(すべての人が得をする)』という議論については、そうではないことを十分な時間見てきた。上がる船もあれば、そうじゃない船もある。どうやってもお金を稼ぐことのできない人がいる。それはアートにとってよくないことだと思う」
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