Photo: GETTY

ニック・ケイヴはザ・ポーグスのフロントマンであるシェイン・マガウアンの追悼記事を寄稿している。

寄稿したのは『オブザーヴァー』紙で、ニック・ケイヴは自身のサイトでもシェイン・マガウアンとシネイド・オコナーに追悼の意を表したエッセイを掲載しており、シェイン・マガウアンについて書くのは2度目となっている。『オブザーヴァー』紙に寄稿した文章は『NME』が企画したニック・ケイヴ、シェイン・マガウアン、ザ・フォールのマーク・E・スミスの対談を振り返る形で始まっている。

ニック・ケイヴはシェイン・マガウアンがひっきりなしに飲酒していたことを認めた上で難なく作品を生み出すクリエイティヴィティへの羨望についても言及している。ニック・ケイヴはある時、曲を書いてないんじゃないかと心配になって家を訪ねたところ、「床を這いずり回って、ゴミの山の中を探して」、シェイン・マガウアン&ザ・ポープスのセカンド・アルバム『ザ・クロック・オブ・ゴールド』に収録されている“St. John of Gods”の歌詞が書かれた紙を見つけてきた逸話を挙げている。

「私にとって彼の曲はかけがえのないものであり、深い芸術作品だった。しかし、彼は自分の書いたものをそんな風には扱わなかった」とニック・ケイヴは述べている。「私が日々机に向かって苦労しながら自分にできる限りのものを生み出している時に、シェイン・マガウアンの言葉はビールのトレイでウイスキーのチェイサーと共に彼の下に届けられた」

ニック・ケイヴはシェイン・マガウアンの声についても「彼の混沌とした詩的なソウルを届ける完璧な乗り物だった」と評して、ザ・ポーグスがフランスのフェスティバルでサウンドチェックをやっていた時のことを振り返っている。「彼はマイクまで歩いていって、ポケットに手を突っ込んだまま、“A Pair of Brown Eyes”を歌った。ゴージャスでありながら壊れた声が彼からは発せられ、天使へのメッセージのようだった。ああしたものを目撃できたのは特権だった」

シェイン・マガウアンの依存症との闘いについてニック・ケイヴは容態を心配する気持ちと「いつまでもハチャメチャでいる」ことへの感嘆の気持ちで引き裂かれていたと表現している。「二日酔いとか、気分が悪いとかで彼が文句を言っているのを聞いたことがない。付き合い方がうまいんだ。後悔したことがなかった。彼のそんな部分を私は尊敬していた。でも、難しいこともあった。ダメで機能しないこともあった。友人としてそれを見るのは心苦しかった」

ニック・ケイヴは「純粋に単純にファン」で、「これからもずっとそうだろう」と締めくくっている。それにもかかわらず、ニック・ケイヴは共有していた強い絆のおかげで友情は強まっていったと述べている。「シェイン・マガウアンは他の人とは違っていた。どんな状態であろうと、彼には善良さがあり、人間の詩的なものに対する思いの深さは計り知れないものだった。彼には真実があり、最も純粋なる透明の魂があった。そうしたものは隠すことなどできないのだ」

フロントマンのシェイン・マガウアンは11月30日に享年65歳で肺炎のために亡くなっており、12月8日に葬儀が執り行われている。12月8日にダブリンのストリートでは葬列が組まれ、ダブリンから2時間近くをかけて移動してニーナーの教会で行われた葬儀にはニック・ケイヴ、ジョニー・デップ、アイルランド大統領のマイケル・D・ヒギンズらが出席している。

広告 【独占配信】エミー賞®史上最多18部門受賞の歴史的快挙!真田広之主演&プロデュース「SHOGUN 将軍」をディズニープラスで見る

Copyright © 2024 NME Networks Media Limited. NME is a registered trademark of NME Networks Media Limited being used under licence.

関連タグ