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ナイル・ロジャースは今のレコード・レーベルだったらストリーミングという熾烈なビジネスのためにデヴィッド・ボウイにチャンスを与えないだろうと語っている。

ナイル・ロジャースはアメリカ下院のカルチャー・メディア&スポーツ委員会で証言を行っている。カルチャー・メディア&スポーツ委員会は作曲家やソングライターの報酬について現状を調査しており、ストリーミングによって音楽業界の実態が変わった点についてナイル・ロジャースに話を聞いている。

ナイル・ロジャースはストリーミング自体に問題はなく、「素晴らしい」としたものの、「ストリーミングを取り巻く産業」については問題点を語っている。ナイル・ロジャースは「物事は大幅に変わってしまいました。それもよくない方向へです」と述べている。

「私は71歳で、人生において50年間この仕事をしてきました」とナイル・ロジャースは続けている。「50年も経てば、新しいテクノロジーの出現によって私のような人間もよりよい人生を送り、物事は簡単になって、みんなが利益を得るようになると思うでしょう。でも、そうではありません。何かが決定的に間違っているのです」

証言の中でナイル・ロジャースは今のA&Rは経済的安定を優先して、新しいアクトを育てることに積極的ではないとして、デヴィッド・ボウイを例に挙げている。ナイル・ロジャースはデヴィッド・ボウイの大ヒット作『レッツ・ダンス』に参加しているが、1980年発表の『スケアリー・モンスターズ』の後、レーベルのRCAから契約を切られたデヴィッド・ボウイは「アルバムの制作費を自身で支払っていた」と述べている。

「レーベルは彼にヒット作を作る時間を与えていたのです。彼が私に連絡してきてくれて、『レッツ・ダンス』を作ることになりました」とナイル・ロジャースは語っている。「レーベルは経済的責任を負って、信じるアーティストたちを抱え、そのアーティストたちがどこかの時点でブレイクを果たしていくという形でした」

「そうした時代は本当に終わってしまったのです」

ナイル・ロジャースはデヴィッド・ボウイについて「間違いなく天才」だったため「ロックンロールのピカソ」と呼んでいたことも明かしている。彼はその仇名をデヴィッド・ボウイを「怒らせる」ために使ったとして、実際デヴィッド・ボウイも気に入らなかったという。

先日、スポティファイはロイヤリティが支払われるためには1000回以上の再生がなければならないという形で支払条件を変更している。デーモン&ナオミはこの支払条件の変更によって「4000万ドルから4600万ドルがデーモン&ナオミのようなアーティストからエド・シーランのようなアーティストに移行してしまうと見込まれる」と述べている。

また、スポティファイはウルグアイにおいて「公平な報酬」を求める著作権法があることから同国でのサービスを停止している。

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