18年ぶりとなるオリジナル・スタジオ・アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』のリリースを控えるザ・ローリング・ストーンズだが、ギタリストのロニー・ウッドは『NME』に対して「爆発的な」新曲、亡くなったドラマーのチャーリー・ワッツとの最後の別れ、バンドの伝記映画があるとしたら誰が演じることになるかについて語っている。
先月、ロニー・ウッドはミック・ジャガーやキース・リチャーズと共にロンドンのハックニー・エンパイアで記者会見を開いて、新作をリリースすることを発表している。同時にリード・シングル“Angry”も公開され、ミュージック・ビデオは『ユーフォリア』への出演で知られるシドニー・スウィーニーが主演しており、フォード・マスタングのオープン・カーでウエスト・ハリウッドをドライヴするものとなっている。アルバムには12曲が収録されて、10月20日にリリースされる。
今回の新プロジェクトにザ・ローリング・ストーンズは大御所ミュージシャンを迎えており、レディー・ガガとスティーヴィー・ワンダーが“Sweet Sounds Of Heaven”に参加しているほか、ポール・マッカートニーはパンク・ロック・ナンバーの“Bite My Head Off”でベースを弾いている。1993年に脱退したオリジナル・ベーシストのビル・ワイマンは“Live By The Sword”に参加しており、エルトン・ジョンは“Get Close”と“Live by the Sword”にピアノで参加している。
2021年に短い闘病生活の末に亡くなったチャーリー・ワッツは“Mess It Up”と“Live by the Sword”に生前叩いたドラムが収録されている。チャーリー・ワッツに後任として選ばれたスティーヴ・ジョーダンは残りの曲でドラムを担当している。
2人のドラムの違いについてロニー・ウッドは次のように語っている。「それを語るのに一番いいやり方を知っているよ。チャーリー・ワッツは手数で花火を打ち上げていく感じなんだけど、スティーヴ・ジョーダンは爆弾が爆発する感じなんだ。アルバムを完成させるのにはもう一押しが必要だったんだ」
――こんにちは、ロニー。チャーリー・ワッツが亡くなってから初めてのアルバムです。彼の存在をスタジオで感じることはありましたか?
「ああ、ずっとそうだった。自分は亡くなる前にロンドンの病院でチャーリーに会った最後の人物の一人だった。彼は『この忌まわしい場所を出たいけれど、それまではスティーヴ・ジョーダンに旗を渡してもらえないか?』と言っていた。『心配しないで。全部やっておくから』と言ったら、『分かった。(イタリア人ジョッキーの)フランキー・デットーリをテレビで観るから出て行ってくれ』と彼は言っていた。競馬がチャーリーは大好きだったからね」
――“Live By The Sword”ではチャーリー・ワッツとビル・ワイマンというオリジナルのリズム隊が復活していますね。
「プロデューサーのアンドリュー・ワットのアイディアだったんだ。チャーリーのドラム・トラックがあったからね。ビル・ワイマンが弾いてくれた時は自分たちの誰もいなかったんだけど、アンドリュー・ワットによれば、彼と一緒にやれて楽しかったと言っていたよ。彼がビル・ワイマンのためにスタジオの戸締まりをやってくれたんだ」
――“Sweet Sounds Of Heaven”でレディー・ガガとスティーヴィー・ワンダーと一緒にやったのはどうでした?
「彼女は床に座って、ミックと一緒に歌っていた。無造作な感じだったけど、ミックは『いいサウンドだ。やってみたいかい?』と言って、『ぜひ』と彼女が答えたから、『じゃあ、やってみよう。立ち上がって、一緒にやってみよう』とミックが言ったんだ。形になっていくのを見るのはすごく充実した体験だった」
――“Bite My Head Off”に参加したポール・マッカートニーはどうでした?
「スクールボーイだね。彼は喜んでいた。実際には2曲で弾いてくれたんだけど、1曲はもっとリリースしていくために取ってあるんだ。というのも、僕らは23曲をレコーディングしたんだけど、そこから12曲しか選んでいないからね」
――次のアルバムが出るまでは、また18年かかるんでしょうか?
「そんなに長くはかからないと思うよ」
――他の曲はどんなサウンドですか?
「ザ・ローリング・ストーンズの曲というのは進化していくんだけど、最初に曲をやった時のエッセンスがあるかどうかが重要なんだ。ちょっと気乗りしない曲というのもあったけど、でも、もう一度見てみる必要があるんだ。それがいい音楽を作る方法なんだ。粘土みたいにこねていくんだよ。ミケランジェロのように大理石から車を作るんだよね」
――ライヴでは新曲を何曲ぐらい演奏しますか?
「それが次のことだね。来週、ライヴにどう変換していくかを見てみる予定なんだ。全幅の信頼を置いている。アルバム全編をやることもできるだろうけど、ミックとキースは『ロン、それはやり過ぎだ』と言うだろうね。俺たちはバックカタログを忘れることはない。“Paint It, Black”、“(I Can’t Get No) Satisfaction”はやらなきゃいけない曲だしね。そうなると、3曲から5曲くらいしか余裕がないかもね」
――グラストンベリー・フェスティバルはどうですか? もう一度ヘッドライナーを務めることはありますか?
「自分はやりたいね。絶対だよね。来年じゃなくても……ザ・ローリング・ストーンズじゃなかったら、フェイセズかな。ロッド・スチュワート、ケニー・ジョーンズとね。不可能というわけじゃない。彼らがやりたがっているのは知っているからね」
――最近のミックとキースは仲良くやっていますか?
「これまででも一番仲がいいんじゃないかな。自分の努力が報われたのは素晴らしいことだね」
――あなたはザ・ローリング・ストーンズの世話役を務めてきましたよね。
「80年代、90年代にすべてが崩壊してもおかしくない時、『この集まりを崩壊させるわけにはいかない。あなたたちが元に戻って、話し合って、解決するんだ』と言ったよ。そして、実際にそうしてくれて、それは今も続いている。いまだにいがみ合ったりもしているけど、それは愛のある形で、クリエイティヴなものなんだ」
――ザ・ローリング・ストーンズの伝記映画の可能性はあるでしょうか?
「長年にわたって話はあるよね。様々なアプローチがあった。常にそのことについてはオリジナル・メンバーに任せてきた。口出しするつもりはない。ミックとキースに話してもらうよ」
――ミック・ジャガー役にハリー・スタイルズがいいのではないか?という話もあるのですが。
「彼には俺を演じてほしいね。ハリー・スタイルズは友人なんだ。彼にはきらめきはあると思うけど、昔のミックにあった生意気さは誰も持っていないと思うんだよね。いまだにそういう部分はあるしね。彼は自信満々なんだ」
――ロックンロールの灯火を継いでくれる若いバンドはいますか?
「長い間、バンドのライヴを観ていないんだけど、多くの人が言ってくるのはザ・1975だね。アークティック・モンキーズが頑張っているのも知っている。彼らは常にグラストンベリー・フェスティバルに出ているよね。チェックするべき音楽はたくさんあるし、僕らのようにもっとライヴをやってくれたらと思うね」
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