メタリカのドラマーであるラーズ・ウルリッヒはファンがどのような方法でメタリカの音楽を入手しようとも、いまだにメタリカの音楽を聴いてくれていることが嬉しいと語っている。
2000年代、ラーズ・ウルリッヒはナップスターのようなP2Pファイル共有プラットフォームを通じて、バンドの音楽のMP3ファイルを共有する人たちの海賊行為を先頭に立って批判し、反インターネット音楽著作権運動の顔となっていた。
ポッドキャスト『スマートレス』に出演したラーズ・ウルリッヒはどんな形である人々がメタリカの音楽を今も聴いてくれていることが嬉しいと語っている。
「まあ、当然のことながら、だいぶ変わったよね」とラーズ・ウルリッヒは語っている。「君たちの業界でも20年前やっていたことと変わらずやっていることもあるだろ。大きな目で見れば、言い訳に聞こえるかもしれないけど、いまだに僕らのやっていることを気にかけて、僕らが演奏するのを観に来てくれて、ストリーミングにしても買うにしても盗むにしても聴いてくれることが嬉しいんだ」
ラーズ・ウルリッヒは次のように続けている。「そのこと自体が勝利であり、栄光なんだと思う。もちろん、最近は多くの若いバンドにとって厳しい状態になっているよね。機材にしても、ツアーにしても基本的なことでもレコード会社からの援助を受け入れられないからね。だから、だいぶ変わってしまったんだよね」
2000年4月13日、メタリカは著作権侵害でナップスターやファイル共有会社に訴訟を起こしている。ラーズ・ウルリッヒは上院司法委員会でも証言をしており、『ミッション・インポッシブルII』のサウンドトラックに収録される予定だった“I Disappear”のデモ音源がナップスターで流出した経緯を説明し、同サイトのためにユーザーが著作権保護されたMP3ファイルの交換をすることができると主張している。
この訴訟は最終的に2001年7月に和解が成立している。和解の内容は自分たちの音楽が共有されることを望まないアーティストの音楽は共有からブロックされるというものだった。
メタリカは以前にナップスターとの法廷闘争について後悔はないと語っている。
「あのナップスターの一件について言うとさ、一つもいいことはなかったよね」とカーク・ハメットは語っている。「とはいえ、そうだな。俺たちはいまだに自分たちが正しい側にいると思っているんだ。ナップスターの一件は俺たちが正しかったと思っているよ。『メタリカは間違ってた』っていう奴らがいたとしても関係ない。必要なのは音楽業界のその時の状況に目を向けるっていうことだけでさ、それが今の状況全体を説明してくれるわけだからね」
カーク・ハメットはナップスターを著作権侵害で訴えた訴訟を振り返り、バンドとして「何も変化をもたらせなかった」とも語っている。
「今となって思うのは、何が素晴らしかったかって、当時の人たちは『20年後に俺たちはこのことを振り返ってこう言うんだ。『やってやったぞ! 俺たちは正しいことをしたんだ』ってね』ということを言っていたということなんだ」
「ただ、当時はそういうことを言われていたわけだけど、実際に俺たちは変化を起こせたのかって言うと、変化を起こしていないんだ。変化は起こせていないんだよ。あの時に起きていたことを、俺たちは止められなかったんだよ。俺たちの誰よりも巨大なものだったからね。1つのトレンドが出来上がって、音楽業界が飲み込まれていったんだ。俺たちには止めることなんてできなかったんだよ。当時起きたことは、完全に人的なものだった。当時は突然、音楽を入手するのが容易になって、お金の支払いに支障が出るようになったんだ。そういう世の中になっていったんだよ」
一方、メタリカのカーク・ハメットはプログレッシヴ・ロックがヘヴィ・メタルへの道を拓くことになったと語っている。
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