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イギリスの音楽制作者評議会は音楽にまつわるAI技術を開発する際に企業に求める5つの主要方針を発表している。

イギリスの音楽制作者評議会はソングライター、アーティスト、ミュージシャン、プロデューサー、マネージャーを代表する団体で、アイヴァーズ・アカデミー、フィーチャード・アーティスト連合、ミュージシャンズ・ユニオン、ミュージック・プロデューサーズ・ギルド、ミュージック・マネージャーズ・フォーラムの5団体で構成されている。

今回、音楽制作の生成AIモデルの学習、ライセンス供与、商用化においてクリエイターの手助けになり、クリエイターの権利も尊重する形になるように5つの主要方針をまとめている。

このガイドラインは9月20日にロンドンで開催されたアイヴァーズ・アカデミー:グローバル・クリエイターズ・サミットで発表されている。このサミットはAIがもたらす脅威と可能性、音楽制作・接触・消費にもたらされる影響について話し合うものとなっていた。

ガイドラインは以下の通り。

1. AI技術に関してライセンス契約が交渉される場合、AIモデルの学習に音楽を使用する前に個々の音楽制作者と明確な合意を結ばねばならない。この合意に関しては権利所有者やテクノロジー企業によって推測の下に行うことはできない。

2. 音楽制作者のパブリシティ権、人格権、個人情報保護権は尊重されなければならない。これらの権利は個々の音楽制作者に属するもので、AI企業や権利保有者が明確な合意なしに搾取することはできない。イギリス政府はこれらの権利を明確化・強化して、国際的に協力して強固でグローバルな権利の枠組みを作るべきだ。

3. 許諾が得られた場合、音楽制作者にはAI学習モデルで生成された音楽を含め、音楽AIから得られる金銭的報酬が公平に分配されなければならない。

4. AI企業や権利所有者はライセンス供与を受けたモデルを開発する際、音楽制作者と積極的に協議して、AIによる製品やサービスからの収益を各関係者がどのように分配するかについて合意に達しなければならない。

5. AIによって生成された作品は明示化されなければならず、AI企業はモデルの学習に使用された音楽についても完全に透明性を確保して、データセットの完全な記録にアクセスできるようにしなければならない。権利所有者はAI企業と交渉したライセンス契約、契約に含まれる作品について透明性を保たねばならない。

ガイドラインと共にイギリスの音楽制作者協議会はアーティストや作曲家に定形の手紙文も提供している。これはミュージシャンがレーベルやディストリビューター、音楽出版社に対して、AIの可能性について耳を傾けるつもりではあるものの、AIモデルの学習に自身の音楽が使われる前に許可を取らなければならないことを伝えるためのものとなっている。

「AIが音楽業界に可能性をもたらすことを私たちは認識していますが、アーティストやミュージシャン、作曲家、プロデューサーを含む音楽制作者の権利は、音楽AIモデルが学習を行ったり、AIを搭載した新しい製品やサービスが開発される際、テクノロジー企業や権利所有者によって尊重されなければなりません」とイギリスの音楽制作者評議会は述べている。

「そのためにはAI企業は著作権を尊重し、立法府は義務を軽減するためにも新たな著作権の例外が導入されないようにすることから始まります」

生成AIによる音楽制作については様々な議論が起こっており、スティングは先日、AIによって生成された音楽は「ダンス・ミュージック」としては機能するが、「感情を表現する」曲は難しいのではないかと語っている。一方、スマッシング・パンプキンズのビリー・コーガンは「僕のように地下室で10000時間を過ごさなくていい」から「AIが音楽を永遠に変えることになる」と語っている。

一方、ジョン・ライドンはAIについて「最終的に決断まで下されることになり、危険になことになるだろう」と語っている。

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