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ザ・1975はクアラ・ルンプールで開催されたグッド・ヴァイブス・フェスティバルが中止になったことを受けて、地元アーティストや関係業者から集団訴訟を起こされる可能性が浮上している。

ザ・1975のマット・ヒーリーはグッド・ヴァイブス・フェスティバルのヘッドライナーのステージでマレーシアのLGBTQ+に関する法律に抗議して、ステージでベーシストのロス・マクドナルドとキスしており、ライヴを早く切り上げる事態となっている。その後、フェスティバルの残りの日程は中止され、ザ・1975はマレーシアでのパフォーマンスを禁止されている。現地時間7月25日時点でこの件に関連して、18件の事件が警察で報告されている。

集団訴訟はマレーシアの法律事務所であるトーマス・フィリップが準備しているもので、ザ・1975の4人のメンバーを相手取って、今回の一件によって被った被害に対する補償を求めるものとなるという。法律事務所の創業者であるマシュー・トーマス・フィリップはマット・ヒーリーの行動について「こうなることをよく分かった上で意図的に無謀にも行われた行為」と述べている。

「私の見解ではザ・1975はアーティストや関係業者が受けた損失に対して責任を負うべきだと思います」とマシュー・トーマス・フィリップは7月25日夜にクアラ・ルンプールのハータマス地区で開催された地元説明会で語っている。地元説明会にはアーティスト、関係業者、メディアなど、70人が出席したという。

マシュー・トーマス・フィリップは週末の時点でソーシャル・メディアへの投稿で地元アーティストに向けて「ザ・1975に起因する損失について訴える」集団訴訟を提案していた。7月25日時点で5組のアーティストと5社の関係業者が集団訴訟に加わっており、一般的な損害賠償のほか、懲罰的損害賠償や加重損害賠償も求める予定だとマシュー・トーマス・フィリップは語っている。求める損害賠償の金額については明らかになっていない。

無償で裁判を担当するトーマス・フィリップは7日から14日以内に原告を集めて、マレーシアで訴訟を起こす予定だと語っている。

グッド・ヴァイブス・フェスティバルの主催者であるフューチャー・サウンド・アジアはこの集団訴訟には加わっていないものの、担当者は『NME』に対して「必要な時は喜んで支援する」と述べている。マシュー・トーマス・フィリップはフェスティバルの主催者にも連絡して「話をしたい」と呼びかけていたと語っている。

フューチャー・サウンド・アジアとしてザ・1975やマット・ヒーリーに法的措置を準備しているのかと訊かれると、担当者は「現時点では法的な選択肢を模索している状態だ」と語っている。

『NME』はザ・1975に差し迫る集団訴訟についてコメントを求めている。グッド・ヴァイブス・フェスティバル後、バンドは公式の声明を発表していないが、バンドに近い関係者は『NME』や他のメディアに対して7月22日に「マット・ヒーリーはLGBTQ+コミュニティを支持してきた長年の実績があり、バンドはLGBTQ+のファンとコミュニティに味方したいと思った」と述べている。

マット・ヒーリーはインスタグラムのストーリーで残りの日程の中止を発表するフェスティバル主催者の声明を参照しながら、「20年間、ロス・マクドナルドとイチャイチャしないことをやってみれば? 見ているほど簡単じゃないよ」と投稿している。

マット・ヒーリーはステージ上で「ザ・1975を呼んでおきながら、セックスする相手について決められる国なんて訳が分からないよ」と語っており、マレーシアのLGBTQ+コミュニティからは地元の活動家による長年の取り組みを損なう「パフォーマンス的なもの」だという批判が寄せられている。

マット・ヒーリーの行動はマレーシアのライヴ音楽産業を冷え込ませるとも批判されており、国際的アーティストがマレーシアで公演することが難しくなる可能性があるとされている。「今回の件が国全体の音楽プロモーターやライブ・エンタテインメント業界の様々な関係者の信頼を損ない、急成長しているライヴ/アート・シーンの安定性を脅かすのではないかと恐れている」と主催者のフューチャー・サウンド・アジアは述べている。

マレーシアのコミュニケーション&デジタル相のファミ・ファジルは海外アーティストによる撮影やパフォーマンスの許可を出す政府機関の中央委員会に「アーティストの審査問題を含め、既存のすべてのプロセスを再検証する」ように求めている。

グッド・ヴァイブス・フェスティバルがブッキングした海外アーティストには契約の取り決めによりイベントに先立って全額が支払われており、フューチャー・サウンド・アジアは「業界の標準的な慣行」だと述べている。しかし、「大物国際アーティストのブッキングには莫大な費用がかかるため、キャッシュフローを確保するために、地元のアーティストにはイベント終了後、一定期間内に支払われるのが普通になっています」と担当者は続けている。

「残念ながら、フェスティバルの不測の事態による中止はこうした進捗の障害になるものです。非常に遺憾な状況であり、この厳しい時期に絶大な支援をしてくれた地元アーティストへの影響は認識しています」

グッド・ヴァイブス・フェスティバルの中止により28の飲食業者が仕入れのために多額の費用を支払ったとも報じられている。ある業者は仕入れに15000リンギット(約45万円)を費やし、屋台を借りるための費用やその他の経費も前払いしているという。地元メディアでは被害を受けた出店者を支援する呼びかけが行われている。

マレーシアのクリエイティヴ産業を支援するマレーシア政府の投資部門である「マイクリエイティヴヴェンチャーズ」は地元アーティストや飲食業者への支援を検討し始めているとファミ・ファジルは語っている。

フューチャー・サウンド・アジアは2023年で10周年を迎えたグッド・ヴァイブス・フェスティバルが中止になったことで「壊滅的な経済的被害」があったと述べている。創業者のベン・ロウはグッド・ヴァイブス・フェスティバルについて「マレーシアの国土で一から築き上げられたブランドで、不屈の献身と復活力、経済的リスクによって培われてきました」と語っている。

「今回、この10年にわたる愛の結晶が、一個人の行動によって前例のない脅威に直面しています。私たちにとっては非常に試練の時です」

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