ABBAは『ヴォヤージ』の公演動員数が100万人を突破したことを受けて、ビヨルン・ウルヴァースが『NME』に対してデジタル公演の今後について語っている。
4月17日に若いABBAファンであるジョジー・フェリックスはロンドンに建てられたABBAアリーナの100万人目の観客となっている。彼女は子どもの頃、学校の送り迎えで父親がABBAをかけていたことについて曲を書いたことで応募者の中から選ばれている。
ビヨルン・ウルヴァースは『NME』とのインタヴューでこのデジタル公演の成功について振り返っている。
この公演ではABBAの当時の動きやパフォーマンスを基にCGIとしてメンバーが甦る形となっている。生のフル・ライヴ・バンドが会場には実在していて、70年代の全盛期の容姿でライヴを行う様子が丹念に展開されている。
『ヴォヤージ』のデジタル公演が成功したことで、次にこのフォーマットを採用するのはどのアーティストかという議論を呼び、セックス・ピストルズとスパイス・ガールズのメンバーも言及することになっている。
「テクノロジーの最前線にいるのは気分がいいよね」とビヨルン・ウルヴァースは語っている。「でも、テクノロジーは一部分に過ぎないんだ。他にもいろんな要素がある。優れた才能も必要だったりするし、いい曲も必要だし、そういったものが背景にはある。運もあるしね。うまくいくには運も必要だし、アーティスティックな面でも、経済的な面でもリソースが必要だった」
ビヨルン・ウルヴァースは次のように続けている。「自分たちがやったことが何なのか、ちゃんとは分かっていないし、再現するのも難しいだろうね。別のバンドでも同じことができるか分からないし、同じ感情的な効果を生むことができるかも分からない。自然とそうなるものじゃない。そんなに簡単なことではないんだ」
ABBAによる『ヴォヤージ』のデジタル公演は現時点で2024年までロンドンで行われる予定で、その後はワールド・ツアーに出る予定だと報じられている。
公演の今後について尋ねられると、ビヨルン・ウルヴァースは次のように答えている。「できるだけ長くこの会場でやりたいと思っている。何年も観てもらいたいと思うし、他の地域にレプリカを建てるかもしれない。アジア、オーストラリア、北米。現時点で多くのプロモーターといろんな都市について話をしているんだ」
「それぞれ建てるのに2年間かかるんだけど、今年の年末から来年の初頭にかけてどうするかの発表があると思う。別の場所でやるなら、そういうことになると思う」
グラストンベリー・フェスティバルはどうでしょう? 『ヴォヤージ』の移動版がワージー・ファームに登場する可能性はあるのでしょうか?
「今は不可能だと思う」とビヨルン・ウルヴァースは語っている。「今後はあるかもしれないね。すごく複雑だからね。照明も、サウンドも、ヴィジュアルもすべてが統合されているから複雑なんだよ」
現時点では『ヴォヤージ』のデジタル公演では初演と同じセットリストとなっているが、ビヨルン・ウルヴァースは今後の公演で楽曲が増える可能性について言及している。「今回のコンサートで使われている以上の曲のモーション・キャプチャーをやったんだ。今後、デジタル化されていく曲も出てくるかもしれない。でも、分からないけどね。どこかで新曲が登場するかもしれないけど、今は詳細は言えないな」
ABBAの最新音源は“I Still Have Faith In You”や“Don’t Shut Me Down”といったシングルが収録されている『ヴォヤージ』だが、今後さらに新曲がリリースされる可能性を訊くと、ビヨルン・ウルヴァースは次のように答えている。「いや、『ヴォヤージ』が僕らから聴いてもらえる最後のアルバムだよ」
しかし、今回のライヴのような新しいテクノロジーを最大限に活用した別のプロジェクトのために戻ってくる可能性はあるとも彼は語っている。
「今は知らない面白いフォーマットが今後出てくるだろうからね。AIやメタヴァースとか、面白いことがクリエイティヴ面ではいろいろ起こっているから、ABBAも関わるかもしれないよね」
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