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セックス・ピストルズのグレン・マトロックは伝記映像作品『セックス・ピストルズ(原題:ピストル)』に「非常にがっかりさせられた」と語っている。

『セックス・ピストルズ』は昨年の5月31日にHuluとディズニープラスで公開されている。スティーヴ・ジョーンズによる2018年刊行の回顧録『ロンリー・ボーイ:テイルズ・フロム・ア・セックス・ピストル』を原作とした本作はトビー・ウォレスがスティーヴ・ジョーンズを、ジェイコブ・スレイターがポール・クックを、アンソン・ブーンがジョン・ライドンを、クリスチャン・リースがグレン・マトロックを演じている。監督はダニー・ボイルが担当している。

『メタル・ヴォイス』のインタヴューでグレン・マトロックは「ダニー・ボイルとこの作品について打ち合わせをしたことを考えると、非常にがっかりさせられた」と語っている。

グレン・マトロックは次のように続けている。「世に出たことにがっかりしたわけじゃないんだ。実現することは重要なことだと思っていた。というのも、これはスティーヴ・ジョーンズの物語で、彼の物事の捉え方に基づいているからね。それに彼がバンドを結成したんだ。ジョン・ライドンじゃない。スティーヴ・ジョーンズなんだよ。ジョン・ライドンはバンドに入った最後の人物だった……でも、僕の描かれ方、特にバンドを脱退することについては、僕がバンドを脱退したんだ。クビになったわけじゃない。スティーヴ・ジョーンズが僕をクビにしたエピソードはデタラメだよ」

「もっと事実に即したものにすべきだったと思う」とグレン・マトロックは語っている。「現実の物語はもっといびつなものだと思うからね。世に出た後にロサンゼルスでもう一度ダニー・ボイルに会ったんだ。プライベートな試写会に行ったんだけど、彼が『グレン、調子はどうだい?』と言うから、『ダニー、お前は最低だ』と言ったよ。だから、僕がどう思っているのかは彼も知っているんだ」

番組への関与について訊かれたグレン・マトロックはダニー・ボイルとミーティングをしたものの、「無視された」と述べている。

グレン・マトロックは次のように説明している。「最初はダニー・ボイルやプロダクション・チームと何度かミーティングをやったんだ。それで解決すると思っていたんだけどね。でも、無視されたよ。だから、満足はしていないね。だまされたんだ」

「息子のルイスと観に行ったんだけど、少し恥ずかしかったよ。ルイスは鋭かったね。『あなたが関わったものだということは分かっているし、他のメンバー、スティーヴが主体の作品だということも分かっている』と言った後にこう言ったんだ。『でも、あなたとポール・クックは二次元のキャラクターが出てきたみたいだった。家族とか、そういう背景がまったくないよね』ってね」

「そうしたものをもう少し入れたり、肉付けすることはできたかもしれないわけでね。ダニー・ボイルは『そうしたものを入れる時間がなかったんだ』と言うんだろうけど、でも、クリッシー・ハインドがスティーヴ・ジョーンズと結婚しなかったことに丸々1話を使っているわけでね。実際にはなかった出来事に1時間も使っているんだ」

ジョン・ライドンも『セックス・ピストルズ』については彼の同意なく製作されたとして「中流階級の空想譚」であり、「真実とは似ても似つかない」と批判していた。

一昨年、ジョン・ライドンは『ピストル』でセックス・ピストルズの音楽が使われるのを拒否して、訴訟に発展している。スティーヴ・ジョーンズとポール・クックは異議を唱えて、高等裁判所に弁護士が出廷している。

弁護士のエドマンド・カレンは1998年に交わしたバンドメンバーによる合意で、音楽使用に対する話し合いは「多数決」で決めることができるという条項があると述べ、判事のアンソニー・マンはスティーヴ・ジョーンズとポール・クックが「多数決」をバンドメンバーに適用する権利があると断じている。

それを受けて、ジョン・ライドンは反体制的な姿勢を捨ててディズニーと提携したことに憤慨していると述べている。

彼は『ガーディアン』紙に次のように語っている。「自分たちがかつて拠って立っていたものすべてに反しているよ。人生で唯一価値のあったものを5ポンドがほしいために安売りするのかい? 人間としてどうだろうね」

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