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ブルース・スプリングスティーンは43年続いたファンジンが幕を下ろすことが明らかになっている。

ファンジンの『バックストリート』は1980年からブルース・スプリングスティーンとEストリート・バンドの活動を追ってきた定期刊行誌となっている。同誌は最新のツアーでチケット価格が高騰する「ダイナミック・プライシング」が採用されたことに幻滅して廃刊される。編集陣は「ダイナミック・プライシング」についてファンを「締め出す」ことになると警告していた。

昨年夏、ブルース・スプリングスティーンの2023年ワールド・ツアーのチケットが発売されると、チケットの中には5000ドルの価格がつくものも登場していた。

「ダイナミック・プライシング」はチケットマスターがチケットの初売り出し時から高値をつけることが可能となっている。「ダイナミック・プライシング」はチケットの需要に応じてダフ屋がするようにチケット価格が変動するもので、ダフ屋が稼ぐ金額をアーティストや販売側が確保するためのものとなっている。

『バックストリート』の編集長であるクリストファー・フィリップスは最新号で廃刊を伝えている。「43年間にわたってブルース・スプリングスティーンのファンのために、ファンによって何らかの形で出版してきましたが、複雑な思いで『バックストリート』が道の終点に辿り着いたことをお伝えしました」

「『バックストリート』がやってきたことを非常に誇りに思いますし、長年にわたって私たちの営みに協力してくれ、支えてくれた世界各地のコミュニティに永遠に感謝します。しかし、その時が来たことが分かりました」

「アメリカでのチケット販売後に昨年夏に刊行された『バックストリート』の編集後記を読んでいただけたなら、私たちの思いがどこにあるかは分かると思います。落胆し、落ち込み、そして幻滅してしまったのです。ブルース・スプリングスティーンとEストリート・バンドのツアーに期待しながら、こんな思いになるのは珍しいことでした」

「2023年のツアーが近づくにつれて、私たちの見通しの通り、新しいチケットの価格帯が決定的な要因になったことは否定できません。ツアーはスプリングスティーンも言っている通り、49年間にわたってハードコアなファンが慣れ親しんだものでした。チケット発売から6ヶ月を経て、私たちはいまだに3つの苦境に直面しています。コンサートに行けなくなってしまったこと、多くの読者が行けなくなってしまったこと、結果として読者のかなりの部分が興味を失ってしまったことです」

ブルース・スプリングスティーンはチケットの高騰について弁解しており、米『ローリング・ストーン』誌はカヴァー作『オンリー・ザ・ストロング・サヴァイヴ』のインタヴューでこの論争について尋ねている。

ブルース・スプリングスティーンは次のように語っている。「やっていることは非常にシンプルなんだ。自分が言ったのは『他の人がやっていることを観て、安くしよう』ということだった。それが基本的な方向性だった。それで調べて、準備したんだ。49年間にわたって、市場価格よりも安い価格でやってきた。自分としてはそれでよかった。ファンにとっていいことだからね」

彼は次のように続けている。「今回、自分が言ったのは『まあ、自分も73歳だから、他の人がやっているように、同業者がやっているようにやりたい』ということだった。そうしたら、こうなったんだ」

しかし、ブルース・スプリングスティーンはファンにとってもアーティストにとっても「チケット購入が分かりにくくなっている」ことを認めている。「肝心なことは自分のチケットの大半は手頃なものになっているということだ。手頃な価格帯になっている。どんな形であれ、価格が上がってしまうチケットもある。ブローカーだかが金を取ろうとするからね。だから、『一晩に3時間しか働かない奴らに金が行ってしまうのはどうなんだ?』と言ったんだ」

「気に食わないファンがいることも分かる。でも、途中で不満が出たら、払い戻しはできるはずだよ」

チケットマスターもブルース・スプリングスティーンの件についてコメントしており、「チケットの価格とフォーマットはトップのパフォーマーに対する業界標準と一致しています」と述べている。

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