1月10日にデヴィッド・ボウイが亡くなったのを受けて、サーストン・ムーアが追悼メッセージを発表している。
デヴィッド・ボウイは18ヶ月に及ぶガンとの闘病生活の末、69歳で亡くなっている。
サーストン・ムーアの追悼メッセージでは特に、マディソン・スクエア・ガーデンで行われたデヴィッド・ボウイの50歳のバースデイ・パーティーで、ソニック・ユースとして演奏をした際の思い出について語られている。
「デヴィッド・ボウイのエネルギーには、光がみなぎっていた。芸術に対する彼の愛と情熱、そしてそのすべてに対する関心や自然との関係性は、彼の笑顔、そしてその魅力の中に表れていた。彼は伝統の中にある優雅さを享受しながら、実験をするのが好きで、『ジギー・スターダスト』がステージで披露された時には、そこにいたラッキーな観客たちを魅了した。パンク・ミュージックが台頭し、1976年以前のロックンローラーたちが時代遅れだとみなされていた時代にも、例外となる人たちがいた。イギー・ポップやルー・リード、キャプテン・ビーフハートやオノ・ヨーコ、ニール・ヤング、マーク・ボラン、ブライアン・イーノ、ブライアン・フェリー、そしてもちろん、デヴィッド・ボウイだった」
「彼はディーヴォやスーサイドを興奮気味に賞賛し、80年代にはピクシーズやソニック・ユースなどに興味を持っていると言われていた。そしてソニック・ユースは1997年、“I’m Afraid of Americans”をマディソン・スクエア・ガーデンで行われたデヴィッド・ボウイの50歳のバースデー・パーティーの際に、彼のバンドと一緒に演奏するように依頼された。僕たちは顔を合わせて、何度かリハーサルをしたのだけど、そのすべてが最高で、僕たちの経験を越えた領域のことのようだった。その中でも決して忘れることのないのが、他のアーティストたちが挨拶をしたり、写真を撮ったりする共用の楽屋での彼の姿だ。彼は楽屋を出る際に振り返って、僕が抱く3歳だった娘のココに対して『やあココ、会えて嬉しいよ! 楽しんでいってね!』と言ったんだ。そこでは唯一彼女だけが、楽屋の中の上下関係を知らない人間だったのだ」
「このことで、彼が初期に仏教哲学とその教え、そして瞑想と繋がりを持ち、高僧であるチョギャム・トゥルンパやラマ・チャイムとともに学んでいた時期のことを思い出す。噂によると、デヴィッドは出家を考えていたようだが、師によると彼の持つ光は出家の域を越えたものであり、その事実に従うよう諭されたのだという。チョギャム・トゥルンパ高僧は後に、アレン・ギンズバーグやアン・ウォルドマン、その他にも親切心や瞑想に従う多数の平和的行動主義者たちの仏教の師となった。魅力的な山羊座であるデヴィッド・ボウイは、卓越した、それでいて私的な方法で私たちを魅了し、彼の偽りのない詩作の才能だけではなく、人生への喜び、そしてロックへの愛を共有してくれた。今、私たちは、感動を与えるスター・マンが、創作の喜びと光、愛に対する強い情熱を持つ彼自身であったということを分かっている」
デヴィッド・ボウイは18ヶ月にわたるガンとの闘病生活を受けて亡くなっている。フェイスブックには「2016年1月10日、デヴィッド・ボウイは18ヶ月に及ぶ勇敢なガンとの闘いを受けて、家族に囲まれて安らかに亡くなりました。みなさんの多くがこの喪失を共有してくださることでしょう。しばらくは家族のプライヴァシーに御配慮をいただくことをお願い致します」というメッセージが投稿されている。
デヴィッド・ボウイは69歳の誕生日にあたる1月8日に通算25作目となるニュー・アルバム『★(ブラックスター)』をリリースし、アルバムからの全曲の音源を公開している。
新作『★』は、ボウイ自身と盟友トニー・ヴィスコンティがプロデュースを手掛け、ダニー・マッキャスリン(Saxophone, Flute, Woodwind)、マーク・ジュリアナ(Drums, Percussion) ら、“新世代のジャズ・シーン”を牽引するアーティストや、LCDサウンドシステムの中心人物、ジェームス・マーフィー(Percussion)が参加している。
ザ・ローリング・ストーンズのほか、多くのアーティストが追悼のコメントを発表しており、長年のプロデューサーであるトニー・ヴィスコンティは最新作『★(ブラックスター)』について「別れの贈り物」と評しており、イギー・ポップはボウイとの友情を「最愛のものだった」と語っている。
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