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伝説的なギタリストのジェフ・ベックが亡くなったと代理人が発表している。享年78歳だった。

「家族に変わって、深い心からの悲しみと共にジェフ・ベックの訃報をお伝えします」と声明には記されている。「突如、細菌性髄膜炎を患った後、彼は昨日穏やかに亡くなりました。家族は途方もない喪失を抱える中でプライバシーへの配慮を求めています」

ジェフ・ベックはエリック・クラプトンに代わって加入したザ・ヤードバーズで脚光を浴び、20ヶ月しか在籍しなかったものの、“Over Under Sideways Down”や“Shapes Of Things”といった多くのトップ40ヒットをこの時期にレコーディングしている。

1966年発表のアルバム『ロジャー・ジ・エンジニア』を制作した後、ジェフ・ベックはアメリカ・ツアーを離脱した末にバンドを解雇されている。その後、彼はロッド・スチュワートやロニー・ウッドらと共にジェフ・ベック・グループを結成している。

ジェフ・ベック・グループは1968年発表の『トゥルース』、1969年発表の『ベック・オラ』、1971年発表の『ラフ・アンド・レディ』、1972年発表の『ジェフ・ベック・グループ』という4枚のアルバムをリリースして、70年代初頭に解散している。しかし、ロッド・スチュワートとロニー・ウッドは最初の2枚にしか参加しておらず、1970年にフェイセズを結成するために脱退している。ジェフ・ベックは自動車事故で怪我を負って活動を休止したが、その後新しいラインナップで2枚のアルバムを発表している。2019年にジェフ・ベックとロッド・スチュワートはハリウッド・ボウルの公演で共演を果たしており、「35年以上にわたる中で最も貴重なコンサート」と謳われていた。

1975年にジェフ・ベックはソロに転身して、ザ・ビートルズのプロデューサーであるジョージ・マーティンを迎えたファースト・アルバム『ブロウ・バイ・ブロウ』をリリースし、全米でトップ10入りを果たしている。

ザ・ヤードバーズ加入前にはスクリーミング・ロード・サッチ・アンド・ザ・サヴェージズ.やナイトシフトといったバンドでも活動しており、後年はナイル・ロジャースやミック・ジャガーともコラボレーションをして、1987年発表のミック・ジャガーのアルバム『プリミティヴ・クール』にも参加している。その後もロジャー・ウォーターズ、ジョン・ボン・ジョヴィ、イモージェン・ヒープ、オジー・オズボーンらと仕事をしてきており、2013年にはビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンと共同ツアーを行い、アルバムの制作が計画されていたが、実現しなかった。

ジェフ・ベックは史上最高のギタリストの1人として目され、その指には700万ポンドもの保険がかけられていた。60年代以降、ギター・ミュージックの形成に貢献し、ジャズ・ロック、フュージョン、ロックンロールといった分野で功績を残している。

ジェフ・ベックはキャリアの中で二度、ロックの殿堂入りを果たしており、1992年にはザ・ヤードバーズで、2009年にはソロ・アーティストで殿堂入りしている。2009年の式典で彼は次のように語っている。「私がこのように演奏するのは最もヤバいサウンドに出会うことができるからです。それが重要なことじゃないでしょうか? 私はルールなど気にしていません」

「事実、どの曲でも10回はルールを破らないと、まとまな仕事などできていないのです」

2009年の殿堂入りの際には元々ザ・ヤードバーズに推薦したジミー・ペイジが紹介役を務めて、次のように語っている。「ジェフを聴いていると、『彼は本当に素晴らしくなった』と思うのですが、その数年後に彼を聴いてみると、もっとよくなり続けているのです。そして、彼は今なおその途上にあります」

「彼の前では私たちは彼のことを不思議に思い、尊敬の念を抱く一介の人間になってしまいます。ジェフのギター・スタイルはよく教えられるものとはまったく違って、彼はエレクトリック・ギターを拡張して、これまで聴いたことのないサウンドやテクニックを有するものへと発展させてきました。それは驚くべき功績です」

ジミー・ペイジは次のように締めくくっている。「彼はロックンロールで多くのことを成し遂げてきましたし、それは今後も続いていくでしょう」

キャリアを通してジェフ・ベックは8つのグラミー賞を受賞しており、最初のグラミー賞は1985年発表の“Escape”で獲得した最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞だった。2010年には“Imagine”で最優秀ポップ・コラボレーション・ウィズ・ヴォーカル賞を、“Nessun Dorma”で最優秀ポップ・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞を、“Hammerhead”で最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞を受賞している。

近年はジョニー・デップとのコラボレーション・アルバム『18』を2022年7月にリリースして、アメリカ・ツアーを行っていた。

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