U2のフロントマンであるボノは回想録『サレンダー:40ソングス、ワン・ストーリー(原題)』で殺害予告を受け取った時のことを振り返っている。
本書の中でボノはIRAやギャング、極右団体から受け取った様々な脅迫について言及している。
ボノは平和支持の姿勢のために元シン・フェイン党の党首であるジェリー・アダムズから「うさんくさい」と言われたと述べている。「U2が民兵組織に反対したことでIRAはアメリカでの貴重な資金調達手段を失うことになった」と本書には記されている。
ボノは10月16日に開催された『ザ・タイムズ/サンデー・タイムズ』紙主催のチェルトナム文学祭で回想録について語り、特殊部隊の警官から自身よりも妻のアリ・スチュワートのほうが標的になりやすいと言われたことを振り返っている。「今でも苦々しく思っている」とボノは本書に記している。
ボノは回想録で家族がアイルランドのギャングから誘拐の脅迫を受けたことにも触れている。「ダブリンの有名なギャングのリーダーが誘拐を計画して、仲間たちが数ヶ月にわたって私たちの家を下見して、綿密な計画が立てられていった」とボノは述べている。
また、U2がマーティン・ルーサー・キングに捧げた“Pride”をリリースしたことを受けて、極右団体の標的にもなったことにも本書では触れられている。チェルトナム文学祭でボノはアリゾナ州で公演を行った時にマーティン・ルーサー・キング暗殺について歌ったら、「曲を終えることはできないだろう」と警告を受けたと語っている。
ボノは「自分が救世主にでもなったように」感じながら「Shot rings out in the Memphis sky, Free at last, they took your life, they could not take your pride(メンフィスの空に銃声が響く、ついに自由になった、命は奪われたが、あなたのプライドを奪うことはできない)」という一節を歌ったという。ボノは次のように説明している。「それで事態の深刻さに気づいたんだ。僕は目を閉じたよ。可能性は低かったけど、念のためね」
曲を歌い終えた時のことをボノは次のように振り返っている。「『まだ生きている。よかった』と思ったよ。顔を見上げても観客のことは見えなかった。アダム・クレイトンが僕の前に立っていたんだ。彼はヴァースの間ずっとそこに立っていたんだよ」
ボノは回想録『サレンダー:40ソングス、ワン・ストーリー』が出版社のアルフレッド社から11月1日に刊行される。
576ページの本書はU2のディスコグラフィーから40曲を掘り下げるものとなっている。各章は曲名が付けられており、ボノの生涯が紡がれることになる。
ボノは回想録の刊行を記念して、「ストーリーズ・オブ・サレンダー」と題して世界14都市を回ることが決定している。イベントは「言葉、音楽、そして、ちょっとしたいたずらの夜」と評されており、ボノは次のように述べている。「ステージに立つこと、そしてU2のお客さんと近い距離にいることを待ち望んでいるんだ」
「これらの公演では物語を歌い、曲を語るもので、自分の回想録である『サレンダー』を楽しく紹介したいんだ。ここに辿り着くまで助けてくれた人のことを考えると、それは僕らの回想録と言えるものになるかもしれない」
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