Gavid Evans/Sotheby's Press Office

Photo: Gavid Evans/Sotheby’s Press Office

デヴィッド・ボウイは単なるミュージシャン以上の存在だった。彼は俳優であり、絵画にも手を染めていたオールラウンドなアーティストであったのだ。彼はアートへの情熱から他のアーティストたちの作品を収集することにも熱心であり、そのプライベート・コレクションがロンドンのサザビーズにおける10日間の展覧会とオークションで初めて紹介されることになった。

デヴィッド・ボウイは折に触れて自身のアート・コレクションの一部を美術館での展覧会へ貸し出すことはあったものの、そのコレクションの全貌が一般に公開される機会はこれまで一度も訪れなかった。しかし、ついに今年11月、ジャン=ミシェル・バスキアやダミアン・ハースト、フランク・アウアバーク等の作品を中心に、その一大コレクションがロンドンで公開される運びとなっている。ここではその一部を御紹介したい。

ピーター・ラニヨン『ウィットネス』

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セント・アイヴス出身の画家、ピーター・ラニヨンは度々デヴィッド・ボウイのプライベート・コレクションとしてその作品が取り上げられる栄誉に浴している。デヴィッド・ボウイは所蔵するピーター・ラニヨンの3作品を2010年に画家の故郷にあるテート・ギャラリーへ貸し出している。この『ウィットネス(Witness)』はそのうちの1つで、ピーター・ラニヨンが初めてグライダーに乗った時の体験を再現したものである。


ロムアルド・ハゾウメ『アレクサンドラ』

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デヴィッド・ボウイはアフリカのコンテンポラリー・アートをこよなく愛しており、かつて5ページに及ぶヨハネスブルグ・ビエンナーレに関するレヴューを『モダン・ペインターズ』誌に寄稿したこともあるほどだった。デヴィッド・ボウイはまた、ロムアルド・ハゾウメの彫刻作品も所有していた。この作品は掃除機のノズルやレコード盤といったありふれた日用品を使いながらも、類いまれな逸品が形成されている。


ハロルド・ギルマン『インテリア(ミセス・マウンター)』

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イギリス人画家、ハロルド・ギルマンが描いた『Interior(Mrs Mounter)』はデヴィッド・ボウイが所有する大部分のコレクションと比べると、シンプルで飾り気がない。鮮やかな色使いもなく、大胆な感じがまったくしない。この作品は1917年当時のイギリスの住宅の典型的な一室を描いており、デヴィッド・ボウイがロンドンのブリクストンで育った時の労働階級の環境と通ずるものがあるのかもしれない。


エットレ・ソットサス『カサブランカ』

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このサイドボードはイタリア人デザイナー、エットレ・ソットサスが1981年にデザインした作品だ。 ミラノを拠点としたデザイングループ「メンフィス」が愛する力強い美意識、印象的な色使い、そして予想外の形という特色をよく表現している。


ダミアン・ハースト『カサブランカ』

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イギリス人アーティスト、ダミアン・ハーストは多くの人々を怒らせるアーティストかもしれないが、デヴィッド・ボウイは彼のことを気に入っていた。「彼は人とは違うんだ。彼の作品にはものすごく感情がこもっていて、主観的で、彼自身の個人的な恐怖に捕らわれている。彼の死への恐怖は非常に強く、そして彼の作品は心を打つんだ。全然浮ついたものなんかじゃない」とデヴィッド・ボウイは『ニューヨーク・タイムズ』紙に以前語っている。


ジャン・ミシェル・バスキア『エア・パワー』

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デヴィッド・ボウイは1996年製作の映画『バスキア』の中で、アメリカ人画家、ジャン・ミシェル・バスキアの指導者であり協力者でもあるアンディ・ウォーホルを演じている。その一年後、デヴィッド・ボウイはジャン・ミシェル・バスキアのこの作品を購入している。デヴィッド・ボウイは彼の絵画とロックの世界の類似点を発見し、こう語っている。「ロック・ミュージシャンになるという野望を彼が隠していないと知っても驚くことはないね。彼の作品は他のアーティストが近づくことができないような様々な方法でロックと結び付いているんだ」


フランク・アウアバーク『ヘッド・オブ・ゲルダ・ベーム』

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「すごい! 僕の音楽もあんな感じの表情で聴いてもらいたい」とデヴィッド・ボウイはイギリス人画家、フランク・アウアバークの作品について以前語っている。デヴィッド・ボウイはロイヤル・アカデミー・オブ・アーツが開催した同画家の回顧展のためにこのテクスチャーがユニークな作品『ヘッド・オブ・ゲルダ・ベーム』を2001年に貸し出している。

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