今年でデビューから25周年を迎え、すっかりベテランの領域に突入したジミー・イート・ワールドだが、彼らは今も、飽くなき探究心で常に先を見据えながら旅を続けている。ベーシストのリック・バーチ曰く、「今を生きて、この旅を大切にしながら、目的地に囚われ過ぎないように進んで行くことこそが自分たちにできるベスト」であることを自覚している彼らにとって最新作『サヴァイヴィング』は、そんな彼らの姿勢をそのまま体現したようなアルバムになっている。来年3月にはダウンロード・フェスティバル・ジャパン2020での来日も決定している彼らだが、ここに掲載するレーベルによるリック・バーチのオフィシャル・インタヴューでは、本作での新たな「チャレンジ」や前作と同じ制作陣を起用した理由などに触れながら、最新作に込められた思いが紐解かれている。
――最新作『サヴァイヴィング』は、またしてもきっちり3年ぶりのニュー・アルバムとなりました。これまでジム(・アドキンス)に何度も『予定表に書き込んで計画を立てて、スケジュール通りにアルバム作りをしている印象を受ける』と伝えてきましたが、そのたびに『単なる偶然だよ』という答えが返ってきていました。あなたに改めて質問します。ジミー・イート・ワールドはアルバムが3年間隔で出るように意識しながら活動していますよね?
リック・バーチ「どういうわけか、それが俺たちのリズムになっているよね。偶然ではあるんだけど、強く意識しているとも言えるかな。アルバムを作る時には常に、3年以内に完成させてリリースしたい考えているからね。まあ、3年かかってしまっているわけだけどさ。それが自然と俺たちにとって適度な時間になっているんだろうね。3年もかければ、もう十分に聴き込めるほど熟しているわけでさ」
――最新アルバムは、前作『インテグリティ・ブルース』に引き続きジャスティン・メルダル・ジョンセンとの共同プロデュースとなっています。ミキサーのケン・アンドリュースについても同様に再度の起用です。あなた方は、特に今世紀に入ってからはアルバムごとに新しいプロデューサーと組むようにしてきた印象があるので、2作続けて同じスタッフと組むというのはこれまでと異なる印象を受けました。ジャスティンともう一度仕事をしたいと思った理由は何だったのでしょうか? プロデューサーとしての彼の魅力と、同様にケン・アンドリュースのミックスの魅力についても伺えればと思います。
「『インテグリティ・ブルース』でジャスティンとケンと仕事したとき、すごく自然な気がしたし、とにかくしっくりきたんだよね。メンバー全員とのコラボレーションについても、すごく満足のいくものだったんだ。ジャスティンとケンも結果に満足していたし、目指していたことをすべて達成できただけでなく、それを超えることもできたと思っていてね。それで、『サヴァイヴィング』も同じチームで取り組むのがベストだろうという話になったんだ。ところで、さっきの3年周期の話に戻るんだけど、『そうだ、もうみんな親しいから、お互いを知って打ち解ける時間が要らないし、3年も経たずに出せるかも』と思っていたんだよね。それでも3年かかったから、その目論見は間違っていたんだけどさ。同じチームで取り組んだことはとても正しかったと思う。完成したものにはとても満足しているんだ。アルバムをリリースできることを全員が嬉しく思っているし、世界中のみんなが聴いてくれると思うと本当に嬉しいよね」
――『インテグリティ・ブルース』の勢いを維持するという意味でも、『サヴァイヴィング』の制作を始めるにあたって、組むなら彼らとしかない! という感じだったのでしょうか?
「ほんの少しの間だけ、『どうしようかな』って考えた時期はあったよ。とはいえ、代わりを誰にしようとかいう話は別にしなかったんだけどさ。『新しい人と組むかい? それとも同じチームで?』という話を少しした程度でね。同じチームでやろうという結論には、すぐに至ったんだ」
――同じチームでありながらも、かなり印象の異なる作品になっていると思います。新作についてバンドのツイートを読みましたが、ジムは新作のポイントとして、「違うことに挑戦するか、自分のことが憎くても今のまま続けていくのか、ということなんだ。生き残るか、本当の意味で生きるかということなんだよ」とコメントしています。「やりたくないようなことを続けて生き残るよりも、何か常に新しいことに挑戦していくのが真の生き方だ」という彼の考え方は、アルバムを制作する上ではどのような形で表れたのでしょうか?
「間違いなくそういうものはあったよ。アルバムを作っている間もその姿勢は健在だった。彼がツイートしていたようなものは、間違いなく制作中の現場の雰囲気にあったね。(本当の意味で)生きていこうという点でね」
――同じチームで再び制作することになったからこそ、安住しないという気持ちが強かったとか、そういうことはあったと思いますか?
「そうだね。いつもよりそこに焦点を当てていたし、そういう気持ちも強かったと思う。自分たちがどんな道を通ってきたかを全員が熟知していたから、次の作品へと前進していくプロセスの中でそういう姿勢が強まっていったんだ」
――これまでに行ってきたジムとのインタビューを振り返ってみても、「楽な方向へ逃げないようにしたい」「目標を決めて、それを達成することで一時的な満足を得るよりも、永遠に旅の途中だと思って、その時その時を懸命に進んで行きたい」などと発言しており、本当に彼は生真面目なアーティストだと思います。そんな彼のストイックな姿勢に、他のメンバーはどのように向き合い、彼を支えるようにしているのでしょうか?
「俺たちは全員で彼の姿勢を共有できるように意識しているんだ。バンドとして旅の途中であることは確かだし、今を生きて、この旅を大切にしながら、目的地に囚われ過ぎないように進んでいくことこそが自分たちにできるベストのことだっていう意味でね。本来、目的地なんてものは存在しないわけでさ。どこかに到達したとしても、そこからまた次のどこかへと旅を続けて行くんだからさ。俺たちはこの旅に心から感謝しているし、この旅路を満喫しているんだ。自分に対して目的地を設定してしまうと、自分に制限がかかってしまうと思うし、到達したらもうおしまいって思ってしまうかもしれないからね。目的地こそがゴールなのかもしれないし、そこに目掛けて努力するというのも悪くないと思うんだけど、目標を達成したところで、それがアルバムを完成させることであれ、パフォーマンスを向上させることであれ、次というのは常にあるわけだからね。そういう考えが俺たちを前に進めてくれているんだ。そうやって考えていくと、またさっきの3年周期みたいな話になるから面白いんだけどさ。そうやって考えないと、次のアルバムがいつまで経ってもできないっていうことになってしまうからね。たとえ出したとしても、そこで勢いが止まって、気が抜けてしまうっていうこともあるかもしれないし」
――ちょうどそのことを訊こうと思ったところなんですよ。アルバムというのはもしかすると、あなた方にとってはゴールや目的地ではなく、停留所や途中下車のようなものなのではないかと。
「まあ、そうだね。確かにそうだな。途中下車みたいな感じかな。終わりではなく、始まりだね。今もこのアルバムの曲をライヴでやるためにリハーサルをしているところだしね。何しろ、これから世界中を回るツアーが控えているからね。アルバムはとても重要な停留所だし、必要なものではあるけど、最終目的地ではないと思うな」
――だからこそ、これだけキャリアを重ねても自分を一新し続け、自分を超え続けることができているのだと思います。それができるからこそ、長い間前線にいられるのですよね。
「そうだね。こういう風にやっていけていて、幸運にもクリエイティヴでいられていることに心から感謝しているよ。ずっと続けていきたいからね」
――前作ではシンセサイザーやキーボードを積極的に取り入れることにチャレンジしていましたが、今作でバンドにとって最もチャレンジだと思ったのはどの部分でしたか?
「そうだな……ほとんどのアルバムに通じることだと思うけど、俺たちがいつも自分たちに課しているチャレンジとして、シンセサイザーやキーボードのようないつもとは違う楽器を取り入れてみることなんかもそうなんだけど、ソングライティングをする上で、自分たちにとって居心地がいいと感じる部分を意識するようにしているんだ。あまりに居心地が良すぎる場合だったり、あまりに馴染みがある場合は、一度離れたところから見て、意図的に新しいアプローチを採り入れるようにしているんだよ。音楽的な課題に対して、真新しい解決策を見出すようにしているとも言えるかな。それはアレンジだったり、楽器の編成の仕方だったり、メロディの作り方だったりするんだけど、自分たちにチャレンジを課して、そこから学ぶようにしているんだ。自らにチャレンジを課すことで、ミュージシャンとしても、ソングライターとしても成長し続けたいと思っている。過去の成功には頼りたくはないんだ。もちろん成功は成功だし、俺たちはそれが入った工具箱を抱えながら生きていくわけだけどさ。ただ、完全に頼りっきりにはなりたくないんだよね。新しい環境を探索して、あまり居心地の良くないところにも行ってみるということ。アイディアを見つけて、それをまとめる中であまり確信が持てずにいる時でも、『うーん、俺たち『らしい』かよく分からないけど、何かしっくりくるんだよな』って思える時には、結局それが正しい道なんだろうなって思っているよ」
――今回の新しいチャレンジの1つは、“All The Way (Stay)”だったのではないでしょうか。
「そうだね、それは間違いないよ。実を言うと、“All The Way (Stay)”はどうやって終わらせればいいか分からない曲だったんだよね。いくつかアイディアを検討した時に思い出したのが、1950年代のロックンロール黎明期のことだったんだ。当時はシングルを作って、それをラジオ局でかけてもらおうと思っても、45回転(のアナログ盤)だと2分半しか収録できなかったんだよね。そのくらいの長さまでしか収録できなかったんだ。アナログ盤の物理的制約の1つがそれだった。あの時代に録音された歴史ある音源は素晴らしいものだし、2分15秒に差し掛かる辺りでパフォーマンスが最高潮に向かっていったりするわけでね。ソロがあったりだとかさ。ただ、その後で徐々にフェードアウトしていってしまうんだよ。パーティはこれからなのに! っていうさ。『ちょっと待ってくれよ、これからじゃないか! 今から始まるところだったのに!』って思ってしまうわけでね。せっかく素晴らしいソロが始まっても、そこでフェードアウトしてしまうから、聴き入ることができないんだ。心の中ではパーティが続いているのにっていう、ああいう雰囲気を捉えたいと思ったんだ。それがサックスのソロに繋がったんだよ。さっきの話になるけど、果たしてこれでいいのか、最初は確信が持てなかった。これまでに取り入れたことがなかったサウンドだったからね。『うーん…どうだろうか』っていう感じだった。けど、演奏を聴き直して、ミキシングされた状態のものを聴く頃には、もうこの音なしでは曲が想像できないという気持ちになったんだ。『これだ!』ってね。とにかく楽しかったよ。ああいうものができて本当にハッピーだね」
――ファンもハッピーです。先行公開されたミュージック・ビデオも楽しかったです。ビデオは自由気ままに生きている男女の姿が映し出され、何か2人の間で起きるのかと思いきや、彼らの人生が重なり合うことはなく、最後は船と飛行機で画面まで分割されたまま終わるというものになっています。あなたなら、このビデオに込められた意味をどのように説明しますか?
「まぁ、あれは個人の解釈に委ねている部分があるんだけどさ。俺としては、コンセプトを聞いた時にすごく気に入ったんだ。個性的で奔放な性格をした2人が、好き勝手に人生を生きているわけでさ。もしあの2人が出会えたら、ファンタスティックなくらいに相性がいいと思うんだよね。だけど、ロケーション的には2人とも同時にものすごく近いところにいるのに、出会うタイミングが合わなくて、2人の道は交わらないんだ。意外なことから人生が変わることがある、ということを描写しているんじゃないかな。2人が出会ってくれと応援してしまいたくなるよね。『何だよ、知り合いにもならないのかよ』なんてね」
――分かります。『何だよ、恋に落ちるんじゃないのかよ』と思いました
「そうだろう? 面白いよね。あの俳優たちは素晴らしい仕事をしてくれたと思う。自由な精神を持った個性豊かな人生へのアプローチを見事に演じてくれたよね。すごく楽しいビデオだし、ビジュアル的にも素晴らしい形で曲に寄り添ってくれていると思う」
――ちょっとした偶然で何かが起こることがある、ということですね。
「そうだね。本当にすぐそこまで近づくのに、結局出会わないんだからさ。存在がすごく遠いままなわけでね。すごく奇妙な…ええと、何という表現だったかな……contradiction(矛盾)じゃなくて……言葉が頭からすり抜けてしまったな。思い出したら言うよ」
――分かりました。では、その間に”Congratulations”の話を……
「分かった。circumstance(状況)だ」
――状況ですね。確かにそうだと思います。ありがとうございます。ニュー・アルバムの最後に収録されている“Congratulations”は、前作収録の”Pol Roger”に引き続き、6分を超える長めの曲になっていますが、終盤のヘヴィな展開が非常に印象的で、アルバムの中でもとりわけ意欲的な仕上がりになっていると感じました。この楽曲はどのように生み出されたのでしょうか?
「(『意欲的な仕上がり』と言ったことを受けて)本当にありがとう。あの曲には当初、音楽的な旅というコンセプトがあったんだ。前のアルバムでも探求したテーマなんだけど、今回は終わらせ方が分からなかった。冒頭の2つの『楽章』はあって、そのまま軽くたゆたうような感じで終わらせようかというアイディアもあったんだけど、歌詞を分析していくうちに、すごくシリアスでヘヴィな境地に持っていったほうがいいんじゃないかって思うようになったんだ。それで、そういう方向に持っていったんだよ。すごく楽しかったね」
――1曲の中でいろんなことが起こってますしね。聴いていても面白い曲です。ところで今回のアルバムに関して、ジムは『パーソナルなアルバムの1つ』と発言していたようですが、昨今のアメリカや世界を取り巻く社会情勢に対する気持ちが、『サヴァイヴィング』という作品にも反映されていたりするのでしょうか? とりわけ、タイトルも『サヴァイヴィング』ですし。
「ああ、そうだね。俺たちが世界情勢に対して物申すとか、そういうことではないにせよ、今のこの環境に生きているという事実というか、そういうエネルギーやイデオロギーの中で生きていること自体がチャレンジングなことだと思うんだよね。時には、理解したり受け入れたりすることが難しいこともあるよ」
――確かにそうですね。
「生きていくことそのものがチャレンジだよ。特にこんな環境ではなおさらね。そういう雰囲気が音楽に入り込んでしまったのも自然な流れだったんだと思う」
――そうかもしれませんね。ところで今回はジャスティンのスタジオでレコーディングしたんでしたっけ?
「いや、『インテグリティ・ブルース』はジャスティンのところで録ったけど、『サヴァイヴィング』はドラムとベースをロサンゼルスのスタジオで録ったんだ。イーストウェストというところだよ。素晴らしいスタジオなんだ。確か1950年代か60年代くらいからレコーディング・スタジオの定番になっているんじゃないかな。フランク・シナトラもレコーディングしたところでね。ザ・ビーチ・ボーイズもそうだし、素晴らしい作品がいくつも生まれた場所なんだ。俺たちも以前、そこで『フューチャーズ』をレコーディングした。当時は(チェロ・スタジオという)違う名前だったけどね。久しぶりに戻れて嬉しかったよ。恋人の家に帰るような気分だったね。ドラムとベースをあそこで録音できたのはとても嬉しかった。俺たちがいた部屋の雰囲気も、演奏をさらに豊かなものにしてくれていたと思う。残りのパートは、アリゾナ州のテンピにある自分たちのスタジオで録ったんだ。ギターとヴォーカルをね。リハーサル・スタジオなんだけど、レコーディングもよくやっているんだ」
――前作のレコーディングでは「サンセット・サウンド・レコーダーズまで行ってヴァン・ヘイレンがレコーディングしたのと同じ部屋でドラムを録ったことがかなりワイルドな経験になった」そうですが。
「ああ、あいつ(ザック・リンド)はすごく興奮していたね。全員がそうだったけどさ。俺たちは、素晴らしい作品を生み出してきた歴史的な場所で自分たちの芸術を発展させる機会に恵まれてきたんだ。本当にありがたいと思うよ。すごく光栄だね」
――「ジミー・イート・ワールドがここでレコーディングしたってさ! すごいよね!」なんて言っている人たちも既にいるでしょうし、これからも出てきそうですね。
「そうだといいな! 俺たちも歴史の一部になったんだ」
strong>――『サヴァイヴィング』の収録曲の中で、個人的なお気に入りを挙げるとすれば、どの曲になりますか?
「そうだね……個人的なお気に入りの1つは“555”かな」
――“555”はとてもエモーショナルな曲ですよね。
「そう、とてもエモーショナルな曲なんだ。音楽的には、俺たちにとって新しい領域の曲だったね」
――ですよね。それについてもうかがおうと思っていました。
「そう。ギターとドラムという俺たちのこれまでのアプローチとは違って、より雰囲気を重視したエレクトロニックなものになっている。この曲に関しても、原形のアイディアはジムのもので、彼が作ったデモを聴いた時に、全員がすぐにそのコンセプトを気に入ったという経緯があるんだ。歌詞も感情が力強く伝わってくるような、心からのものになっているしね。特別な曲だっていうのが一瞬で分かる感じだったんだ。ただ、この曲も同様に俺たちの従来の脈絡とは違うところにあったから、『どうすればアルバムに合だろう?』っていう懸念はあったよ。他の曲とあまりに違うからね。“Congratulations”という壮大なロック・ソングがあって、“Criminal Energy”もヘヴィで疾走感のあるロック・ソングだから、そういう意味ではちょっと苦心したかな。けど、最終的には、この時代ならではの様々な音楽が合わさった特別な1曲になっているということに気づいたんだ。今回のアルバムに収録したのは正しい判断だったと思っているよ」
――こういうプログラミング主体の曲は今後ステージで再現されるのでしょうか? あなたがシンセ・ベースを弾く可能性はありますか?
「そう、そういうアプローチだったしね。俺たちと仲がいいロビン・ヴァイニングがシンセ・ベースを弾いて、俺はギター・ラインのようなパートをベースで弾いているんだ。誰がどのサウンドを担当するかという意味では、ちょっと役割がシャッフルされた感じになっていると言えるかな。ロビンが低音部をカバーして、ジムとトム(・リントン)と俺が中・高音域を中心にカバーしているんだ。ザックはドラムのサンプリングを使っていてね。アコースティックのドラムじゃないんだ。そういうわけで、演奏はかなり違ったものになると言えるよ。俺たちにとって新たな領域に行くようなチャレンジだし、大変なことではあるけど、同時にものすごく楽しみなことでもあるんだ」
――ヴァラエティ豊かな楽曲たちが1枚のアルバムとしてまとまっていて、なおかつ一貫性も感じられるというところがすごいと思います。ところで、アルバムのジャケットはタイトルを迷路に見立てたデザインになっていますが、これも過去の作品には見られなかった新しい試みの一つだと感じました。あの迷路を実際に解いたとツイートしていた人も見つけましたよ。
「そうなんだ!」
――と言うわけで、あのアートワークについても教えていただけますか?
「あのアートワークのコンセプトは単にタイトルから来たんだよね。『サヴァイヴィング』というタイトルが決まって、最初に誰が迷路のアイデアを出してきたのかは忘れてしまったけど、『旅』というアイデアを要約したようなものになっているんだ。旅を続けて、サヴァイヴしていくという意味でね。時には袋小路に入って、少し後退してから別の道を選ばないといけない瞬間もあるけど、それでも旅を続けて、努力を続けるということなんだ。そうやって、『サヴァイヴィング』という行為を探索していくんだよ」
――あれはニック・シュタインハルトという人物が手がけたんですよね?
「そう。最高だよね」
――このバンドとしては珍しいタイプのアートワークだということも含めて、楽しめるものになっていると思います。
「嬉しいね。ありがとう! 俺たちも大満足だよ」
――また、本作では久々にレイチェル・ヘイデンも参加しています。以前は一緒にツアーもしていたのですよね。彼女との久々のレコーディングはいかがでしたか? 近年のツアーではコートニー・マリー・アンドリュースがサポート・メンバーになっていることが多かった気がしますが、次のツアーではまたレイチェルが帯同することになるのでしょうか?
「コートニーは抜けたんだ。彼女はもうスターとして独り立ちしているからね。今は俺たちのもとを卒業して、自分のツアーをやっているよ。本当に素晴らしいシンガーで、一緒にステージに立てて俺たちも光栄だったけど、彼女は次に進んで、今は自分のために音楽をやっているんだ。素晴らしいソングライターだし、あの声だしね! そんなわけで、コートニーはもう一緒にいないけど、ロビン・ヴァイニングがキーボードやギター、バック・ヴォーカルを担当してくれているんだ。レイチェルと一緒にツアーしていたのは『ブリード・アメリカン』の頃だったね。また一緒にできて嬉しいよ。彼女も素晴らしい才能の持ち主で、ベーシストとしても素晴らしいし、天使のような歌声を持っているんだ。“All The Way (Stay)”で一緒に仕事ができたのは最高だったね。ただ、彼女は他の人たちとも共演していて、別のバンドにも携わっているから忙しいんだ。だからツアーも連日必ず一緒にというわけにはいかないけど、予定が合うときは逃さずに、ステージに一緒に上がってくれと言っているよ。本当に素晴らしいシンガーだからね。ちなみに彼女は三姉妹なんだ。三つ子でね」
――三つ子なんですね!
「そうなんだよ。しかも、3人とも素晴らしいヴォーカリストなんだ。息もぴったりでね。何年か前の話になるけど、ライ・クーダーとも一緒にやっていたんだ。ヘイデン・トリプレッツという名前でね。注目すべき人たちだよ」
――近年の日本でのライヴには、レイチェルもコートニーも来ていないのですが、次こそは連れてきてくださいね。
「ほんと、予定が合うといいよね。日本にも行ける方向で調整したいと思っているよ」
――前回の来日時にはMAN WITH A MISSIONとの共演も果たしました。改めて感想を聞かせてください。
「最高だったよ! ものすごく腰が低くて、才能あるパフォーマーたちだったね。彼らとは日本で一緒にツアーしてから、アメリカでも一緒にツアーしたんだ。とにかく楽しかったよ。俺たちのファンもMAN WITH A MISSIONのパフォーマンスを楽しんでいたし、むこうのファンも俺たちが日本に行った時には楽しんでくれたと思う」
リリース詳細
ジミー・イート・ワールド | JIMMY EAT WORLD
10thアルバム『サヴァイヴィング』|Surviving
国内盤CD
2019年11月27日(水)発売
国内盤ボーナス・トラック:「パーティー・ハード(アンドリューW.K.のカヴァー曲)」収録
2,200円+税 / SICP-6232 / 歌詞・対訳・解説付
01.Surviving/サヴァイヴィング
02.Criminal Energy/クリミナル・エナジー
03.Delivery/デリバリー
04.555/555
05.One Mil/ワン・ミル
06.All The Way (Stay)/オール・ザ・ウェイ(ステイ)
07.Diamond/ダイアモンド
08.Love Never/ラヴ・ネヴァー
09.Recommit/リコミット
10.Congratulations/コングラチュレーション
国内ボーナス・トラック
11.Party Hard/パーティー・ハード(アンドリューW.K.のカヴァー曲)
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