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今年1月にリリースしたシングル“Don’t Call Me Up”が記録的なヒットとなり、イギリス人女性アーティストが今年リリースしたシングルの中で現時点で最大のヒットとなっているメイベル。9月4日にデビュー・アルバム『ハイ・エクスペクテーションズ』で日本デビューを果たしたタイミングで彼女に話を聞くことができたので、『NME Japan』ではメイベルに「今の自分を形作ることになった5曲」を挙げてもらった。その後のインタヴューでは両親であるネナ・チェリーとプロデューサーのキャメロン・マクヴェイから受けた影響や、ヒット曲“Don’t Call Me Up”のインスピレーションとなった体験についても語ってくれている。

――まずはあなたの音楽的なバックグラウンドを伺いたいのですけど、今のあなたを作った5曲と言ったらどんな曲が思い浮かびますか? 難しかったら3曲でもいいです。それぞれの曲への思いも聞ければと思います。

「5曲ね。頭がいっぱいになりそうだけど、やってみるわ。何曲くらいあるかな。私の音楽に影響を与えた楽曲よね。アリーヤの“More Than A Woman”。後は、ジャスティン・ティンバーレイクの“Señorita”。スティーヴィー・ワンダーの“Knocks Me Off My Feet”。ディスティニーズ・チャイルドの……選ぶのが難しいけど、“Bills, Bills, Bills”ね。後は多分、ローリン・ヒルの“Tell Him”かな」

1. アリーヤ “More Than A Woman”

「子供の頃にこの曲のミュージック・ビデオを観た時に、最高にクールなビデオだと思ったことを覚えてる。子供の頃の私は、必ずしもガーリーな女の子になる必要はないって思っていたんだけどね、彼女のことはすごくセクシーだと思ったし、それでいてトムボーイっぽさもあって、自分なりのセクシーな魅力を持っている人だと思った。まだ若いのに、すべてを持っている女性なんだって感じたわ。私はたくさんタトゥーを入れているんだけど、アリーヤのタトゥーも入れているの。とにかく、彼女からはすごく影響を受けた。彼女はスターだったの。アイコンという感じね。それから、ティンバランドのプロダクションも気に入っているわ」

2. ジャスティン・ティンバーレイク “Señorita”

「(“Señorita”が収録されている)『ジャスティファイド』は私が初めて自分のお金で買ったアルバムなの。ずっと聴いていたわ。それこそ、擦り切れて、これ以上聴けなくなってしまうんじゃないかっていうくらいね。このファレル・ウィリアムスのプロダクションは今でも新鮮に聴こえるしね。もし世界中の好きなプロデューサーと仕事をしていいって言われたら、ファレル・ウィリアムスを選ぶと思うわ」

3. スティーヴィー・ワンダー “Knocks Me Off My Feet”

「この曲は、物心がついた頃に聴いていた音楽の一つよ。昔は母親のレコード・プレイヤーを使ってよく音楽を聴いていたの。母親がこのアルバムを持っていて、私もよく聴いていたわ。この曲でピアノを覚えたの。これがピアノで初めて弾いた曲よ。曲を聴きながらコードを覚えて、それに合わせて歌うようになってた。“Knocks Me Off My Feet”は今でもお気に入りのラヴ・ソングの一つね」

4. デスティニーズ・チャイルド “Bills, Bills, Bills”

「“Bills, Bills, Bills”は私に力を与えてくれるような、すごく女性としての強さがある曲よね。いつも言っているんだけど、“Independent Woman”や“Survivor”、“Bills, Bills, Bills”の時代に幼少期を過ごせたことを私はとても嬉しく思ってる。私はそういう曲たちで形成されているの。若い女性たちが私の曲を聴いた時にも、そういう風に感じてもらえたらと思ってる。力強さを感じてもらいたいわ」

5. ローリン・ヒル “Tell Him”

「(“Tell Him”が収録されているアルバム)『ミスエデュケーション』は、おそらく自分の人生で最も重要なアルバムだと思う。今でもよく聴いているの。“Tell Him”もそうだけど、アルバムを通してすごく正直な作品になっていると思うし、曲を書く上でとても影響を受けた1曲であり、アルバムなのが、この作品よ。できる限り正直に、自分のありのままを曲にすべきだっていうことを教えてもらった。それは怖いことでもあるけど、そうすることで聴く人と繋がることができて、自分や聴く人たちの孤独を和らげることができるということをね。とにかく、素晴らしい曲だと思う」

両親から受けた影響や、デビュー・アルバム『ハイ・エクスペクテーションズ』について

――スティーヴィー・ワンダーの話も出ましたが、音楽の面でも生活の面でも、両親の影響というのはどう考えていますか?

「2人からはとても刺激を受けてる。2人はいつも自分たちの好きなようにやっていて、メインストリームに合わせることに関心がないの。父親がプロデュースしたアルバムだったり、母親が作ったアルバム……実際には2人で一緒にアルバムを作っているわけだけど、2人は『今は何がクールなのか』ということに興味がなくてね。2人が作っているのは自分たちが作りたいと思っているアルバムで、それがメインストリームになっていくっていう。私もいつも同じことを考えていてね、ラジオで流れてくる音楽を聴いて、『こういうアルバムを作りたい』なんてことは思いたくないの。私にあるのは、アルバムを作りたいという思いだけ。ラジオでかかってくれたら嬉しいけどね」

――このインタヴューではもう一つ、あなたの恋愛観や精神面をうかがえればと思っているのですけど、大ヒット曲“Don’t Call Me Up”にはインスピレーションとなった実際の交際があったのでしょうか?

「私の音楽はすべて実体験に基づいてる。そのせいで交際が難しくなってしまうけどね。元カレたちにはアルバムを気に入ってもらえないと思うな。そういうわけで、実体験に基づいた曲よ。この曲を書いたのは、気持ちが一番沈んでいた時だった。破局って最悪よね。その時は光が見えなくて、だから、このことを前向きに捉えられるような曲を書かないとって思ったの。時間というのは素晴らしいもので、一時的に最悪な気分になっていたとしても、3ヶ月か半年、1年後には(元カレから)電話が来ても折り返さないんじゃないかって思った。それで、スタジオでその時の気持ちを想像してみたら、最高の気分になってね。この曲に対する反響はものすごかったわ。今でも毎日メッセージをもらうの。女の子からが多いんだけど、『彼氏と別れたんだけど、その人にひどい扱われた方をされていたっていうことに気が付いたの。“Don’t Call Me Up”のおかげで乗り越えられたわ』っていうことを言ってくれるの。その度に、『私もよ! 私も救われたの!』って思う。音楽って素晴らしいわ」

――さっきデスティニーズ・チャイルドの話もありましたが、“Bad Behavior”なんかを聴くと、非常に強い女性像というものを感じました。これはずっと持っていたものなのでしょうか? それとも、実際の恋愛で学んでいったものなのでしょうか?

「私のそういう力強い側面は、これまでのバックグラウンドで形成されていったものよ。幼少期の頃に力強い女性のロールモデルの音楽を聴いていたことだったりね。自信について言えば、段々とついていったものだと思う。きちんと声に出して言うことだったり、そういうことができるようになるまでは時間がかかったわ。交際もそうだし、キャリアにおいてもそう。昔は表に立って何かをすることを怖いと思っていたけど、おかげで自信もついてきたわ」

――あなたがこれまでの恋愛で学んだ最大の教訓は何ですか?

「誰かのおかげで完璧になるわけじゃないということね。特に女性は、愛してくれる人を見つけるのが幸せだみたいなことを言われているよね。私も幼い頃はそう思っていたこともあった。人生の目的は誰に愛されることだっていう風にね。もちろん、みんな愛されたいという願望は持っていると思うけど、愛を感じる方法なら他にもある。私は何年もの間、それを他の誰かに求めてしまっていたの」

――“Don’t Call Me Up”は非常に大成功を収めたシングルで、上半期に女性アーティストとして最も売れた曲となったわけですが、今後はどのようなアーティストになりたいと考えているのか、今後どのようなキャリアを歩んで行こうと思っているのかについてを最後に聞かせてください。

「もちろん野心はある。アリーナ・ツアーにワールド・ツアー、グラミー賞……あらゆることよ。でも、私はただ、自分が満足できる曲を作り続けたいと思ってる。物語を伝え続けるの。“Don’t Call Me Up”のような曲をもっと作れたらいいと思ってる。もしかしたら、もっといい曲を作れるかもしれないし、それはまだ分からないけどね」

リリース情報

デビュー・アルバム『ハイ・エクスペクテーションズ』
<デジタル/輸入盤>
2019.08.02発売
全20曲収録
<日本盤CD>
2019.09.04発売
UICP-9052 ¥1,800 +税
日本盤ボーナス・トラック3曲収録
01. High Expectations (Intro)
02. Bad Behaviour
03. Don’t Call Me Up
04. FML
05. We Don’t Say
06. Selfish Love
07. Lucky (Interlude)
08. Mad Love
09. Trouble
10. Put Your Name On It
11. Stckhlm Syndrome (Interlude)
12. OK (Anxiety Anthem)
13. I Belong To Me
14. High Expectations (Outro)
15. Finders Keepers
16. Fine Line
17. My Lover
18. Ring Ring
19. Cigarette
20. Not Sayin’
21. Don’t Call Me Up (R3HAB Remix)
22. One Shot
23. Thinking of You

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