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本日6月21日に4曲入りのEP『BY YOUR SIDE EP』でFIVE NEW OLDがメジャー・デビューを果たしたのを記念して、NME Japanではアーティスト自身によるプレイリスト企画をお送りします。

エモ/ポスト・ハードコアをルーツにバンドをスタートさせ、そこからカラフルなポップネスを取り入れてきたFIVE NEW OLDは、メジャー・デビューEPとなった『BY YOUR SIDE EP』でもゴスペルの影響を感じさせる表題曲をはじめ、さらにサウンドの幅を広げ、きらめきの増したサウンドを実現しています。

今回はそんな音楽の遍歴が伝わるプレイリストをFIVE NEW OLDに作ってもらいました。ヴォーカル&ギターのHIROSHI NAKAHARAにこのプレイリストについて話をうかがってきました。

FIVE NEW OLDによるプレイリストはこちらから。

――今回、プレイリストを作っていただいたんですが、バンドの歩みというか、サウンドの変遷がストレートに伝わってくる選曲だなと感じました。そう言われて、どうですか?

「そうですね。今回はメンバーと一緒に選んだっていうのもあるので、本当におっしゃったように、バンドの今までの流れをそのまま表しているっていうプレイリストになっているなと思います。僕たちの最初の頃を知っている人からしても納得がいくと思うし、今聴いてくれてる人も『こういうとこが好きなんだな』って腑に落ちるというか。僕だけでいくと多分もうちょっと偏った感じのプレイリストが仕上がると思うんですけど(笑)、FIVE NEW OLDとしては本当に、嘘偽りないプレイリストになってるかなと思います」

――具体的にこのプレイリストの中で言うと、元々はFIVE NEW OLDの音楽性というかコンセプトって、こういうバンドにインスピレーションを受けて始まったと言えるものはありますか?

「やっぱりこのプレイリストの最初の方にあるような、2000年代のポップ・パンクとかエモがすごく強かったですね。そこから始まったっていうのがやっぱり一番大きいんですけど」

――パニック!アット・ザ・ディスコ、ボーイズ・ライク・ガールズ、ザ・スターティング・ライン、オール・タイム・ロウとか、その辺りですよね。

「そうですね。実はスターティング・ラインのこの曲、“Bedroom Talk”から僕たちが一番最初に作った曲が生まれたりしていて。ボーイズ・ライク・ガールズとオール・タイム・ロウのこの2曲に関しては、僕がドラムのHAYATOから、FIVE NEW OLDを始めるのに『一緒にやって欲しい』って言われて、ずっと断ってたんですけど、どうしても『一回スタジオに入るだけでいいから入ってくれ』って言われた時に、曲はないからコピーでいいからやろうっていう時にやった2曲なんですよね」

――じゃあ、本当に出発点ですね。

「そうです。もう本当の出発点からお話ししようと思って」

――ちなみに、最初にバンドを組むのを嫌がっていたのはなぜだったんですか?

「ドラムのHAYATOが結構やんちゃなお兄ちゃんだったんですよ。結構オラついてるというか田舎のヤンキーみたいなところがあって、僕はどっちかというと引っ込み思案というか、インドア派の方だったので。言ったら、ジャイアンにのび太が『バンドやろうぜ』って誘われてるみたいな(笑)。そこまで強烈な上下関係とかはなかったですけど、構図的にはそれに近しいものがあっったんですけど、実際蓋を開けてみたら全然そんなことはなくて、すごくピュアで、それが実際にスタジオに入ったら伝わったので、結成に至るっていう感じですかね」

――そうしたエモを出発点としてバンドがスタートするわけですけど、音楽性がより広がっていったのにはなにかきっかけとなるものはあったんですか?

「ざっくりとした分岐点で言うと、2010年にフォスター・ザ・ピープルが“Pumped Up Kicks”ですごいブレイクした時で。それまでも割とMGMT聴いてたりとか、ザ・エックス・エックス聴いたりとかはしてたんですけど、割りとサイドメニューとして聴いてるみたいな。自分のメイン・ディッシュはエモとパンクにあってみたいなとこだったんですけど、フォスター・ザ・ピープルに出会った時にすごく音楽の聴こえ方が変わってくるというか、自分の趣向というかがすごく変わったところがあったんですよね。あの曲ってちょっとビーチ・ボーイズ的というか、よく親の影響で、ビートルズとか60年代のバンドの音とかも流れていたので、そこら辺は自分と親和性があったのかなって。そこから、バイト先の先輩がすごくレディオヘッドとレッチリが好きな人で、貸してくれたりして、そのの流れから色々聴くようになりましたね。あと、ちょうどその頃からネットゲームを朝までし過ぎて、生活リズムを壊してしまったんですけど。それで何とか寝ようと思った時に、レディオヘッドの『キッド・A』のアルバムを聴いてストンと眠れるようになって。何かそれでミニマル・ミュージックの扉も開いていくという」

――ブライアン・イーノが入っているのはそういう理由なんですね。

「そうです。そこから本格的に好きになっていくんですよね。そこら辺から書く曲が180度変わっていって。最初メンバー間ですごく『どうした?』ってなるみたいな(笑)」

――ギターのディストーション踏んでないぞみたいな?

「そう(笑)。『歪んでないぞ』みたいになって。そこでちょっと距離感というか、一回噛み合わない時期があったんですけど。それが噛み合う共通項って何だろうっていろいろ探していくうちに、スティーヴィー・ワンダーとかに戻ったんですよね。僕が物心つく前に聴いていたところに立ち返るというか」

――そこで、一気に時代が遡るんですね。すごく意外な気がしました。

「時代感というのはその時はまったく意識していなくて。自分が空気と一緒に聴いていた音楽に立ち返ろうみたいな。なので、古いも新しいも関係なくて。HAYATOも専門学校でドラム習ったりしていたのですけれど、リズム隊の二人もあまりにも有名な曲なので一回は通っているんですよね。やっぱり共通項として聴けるというか。そこからこう、曲のアレンジをやり直していくというか、曲を書き直し始めるというか。っていうのをやった時にメンバーも何となく歩み寄ってくれて、元々シングルのB面曲でそういう曲を作っていたんですよ。それが“Hole”っていう曲になって、僕たちの最初のアルバムのリード・シングルになるんですけど。その曲ができた時に、今のこの状態に繋がる道筋がついたっていう」

――バンドとしてはサウンドが大きく変わっていった時期だと思うんですけど、当時印象に残った音楽とかは覚えていますか?

「ちょうど一番悩んでいる時期とかに、ザ・キャブが来日していて、彼らもレーベルはフュエルド・バイ・ラーメンですけど、すごくR&Bに近いアーバン・ポップをバンドでやっていて。スキルも各メンバー高いっていうところで。メンバーとしてもあんまり『これだからロックだ。これだからロックじゃない』っていう概念が薄れてきたのかなっていう感じがしましたね。そこからはジェイムス・ブレイクを聴いたり、ウォーペイントを聴いたりっていう感じですね」

――それで、これまでインディーズで作品をリリースしてきたわけですけど、ザ・1975に喩えられることも多かったと思うんですよね。そのことっていうのはどう受け止めています?

「本当に好きなので、僕たち全員が。至極当然かな、と思っています。僕ら自身もすごく影響を受けているので、避けられないというか。こんな風な音を出したいっていうすごいロールモデルの一つにはなっていますし。でも、それはそれで僕たちは僕たちのできることをって。どうせ彼らにはなれないので僕たちも。で、彼らも僕たちにはなれないっていうところで。とにかく、バンドとしての彼らのキャリアにはすごくシンパシーを感じているんですよね。元々、彼らはドライヴ・ライク・アイ・ドゥでゴリゴリのものをやってたり、トークハウスとかでハウス・ミュージック鳴らしてたりとか」

――そうなんですよね。ザ・1975も実は前進バンドではエモをやってたりとか、紆余曲折を経てのキャリアなんですよね。

「あれをやったり、これをやったりっていう意味では、すごく気持ちが分かるというか(笑)。近いところがあるんですよね。だからこそ、憧れるというところはすごく強いです」

――昔は海外のサウンドを輸入というか、翻訳してくれる国内のバンドがいたんですけど、最近は洋楽と邦楽のクロスオーヴァーの語られ方っていうのが偏ってた時期があったと思うんですよ。だからこそ、今こういうバンドが出てきてるのは、純粋に面白かったんですよね。

「そうなんですよね。だから真似してるってめっちゃ言われるところもあるのは歯痒いんですけど(笑)。でも本当に、自分の家族の影響で辿ってきているところとかが、怖いくらい近くて。自分がこのバンドを知る前に自分が眠れなくて聴いてたところと、こんなにハマるものかっていうのがあって。面白いなっていうか」

――プレイリストには最近のものも入っているんですけど、お気に入りのアーティストはいますか?

「FKJは本当に好きですね。よく聴いてます。最近ユー・チューブで彼の一人で全部やってる映像とかを観て、本当に何でもできるなって思って。あとは、ここには入ってないですけどトム・ミッシュもすごい好きで。スムース・ジャズというか、あの辺からのグルーヴがもう一度いま入ってきているような気がしていて。すごくウェットなシンセサイザーとかで作り上げていったものを、もう一度生の楽器で組み替えている人たちが徐々に増えているのかなって、そういう印象は最近受けてます」

――今回、メジャー・デビュー作『BY YOUR SIDE EP』がリリースされるわけですけど、御自身としてどう手応えを感じてますか?

「作ってる時は本当に、これでいいんだろうかっていう思いも最初はすごくあったんですけれども、出来上がってみると自分たちに正直な1枚ができたな、という風に思ってます。デビューするからっていうので、自分に対してとか背伸びしてみたりとか、自分たちは元々パンクから始まったからそういう曲も入れておかなきゃみたいなのもよぎったりしたんですけど、全部受け止めてあまり恐れずに自分たちに正直に仕上げた作品になったかなと思っています」

――サウンドの幅もさらに広がった印象を受けました。

「例えば、2曲目の“The Dream”は、さっきも話していたトム・ミッシュとかの流れと、ホンネとかをメンバーでよく聴いていたので、そこにインスピレーションを受けて作ったもので、もうちょっと乾いた自分たちの楽器の音で鳴らそうっていうのでやってみました。そして、“By Your Side”については、あくまで自分たちのスタイルを崩さずに、みんなを一つにできる曲を作りたいなっていうので、本当に色々なアイデアを取り入れてみたんですよね。そういう意味では、七年分の集大成というか。僕たちが色々な曲でやってきたことを、一曲にまとめた曲になっているような気もしています。“By Your Side”については、自分たちがこれからもっと大きなステージに立てるようになった時に、これからもずっとやれる曲になってくれたらと思います」

“By Your Side”ミュージック・ビデオ

リリース詳細

1aTFCC89619_BH1A_H1-4_prep.pdf
FIVE NEW OLD
Major Debut EP「BY YOUR SIDE EP」
2017/6/21(水) Release.
TFCC-89619 / ¥1,300 (+tax)
1. Not Too Late
2. The Dream
3. By Your Side
4. Too Good To Be True

EPのダウンロードとストリーミングはこちらから。

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