メイヤー・ホーソーンやラファエル・サディークなど、60〜70年代のクラシック・ソウルやAOR、そしてスマートなブルーアイド・ソウルの遺産を受け継ぎながら、90〜2000年代のヒップホップ以降の感性でそれらを見事に組み合わせてみせるアーティストたちが近年熱い支持を集めているが、そんな系譜の最新アーティストと言えるのが、4月に初来日を果たすザ・ジャック・ムーヴスだ。今年1月にリリースされたセルフ・タイトルのデビュー・アルバム『ザ・ジャック・ムーヴス』は、古いレコード棚から見つけてきたタイムマシーンなようなクラシック・サウンドを湛えている。おそらくライヴもきっと間違いないであろう、その音楽愛に溢れたスタンスはどこから生まれたのか、彼らのルーツを探るインタヴューをここにお届けする。
「父がイベントプロモーターをやっていたから、子供の頃からニューアークでいろいろなアーティストのライブを観ていたんだ。フォー・トップス、テンプテーションズ、ブルー・マジックとかね。その時はよく分かってなかったけど、子供のときからそういった音楽を聴いていたんだ。トラックを作るようになって、ヒップホップの元ネタを調べていくうちにちゃんとソウルを聴くようになったんだ」と、60〜70年代のソウル直系のサウンドをこの2016年に生み出してみせるデュオ、ザ・ジャック・ムーヴスの首謀者のテディー・パウエルは語る。
ザ・ジャック・ムーヴスは、プロデューサー&ドラマーでプロのスケーターでもあるテディと、シンガーのズィー・デスモンデスがニューヨークの伝説的なスケートパークであるトンプキンス・スクエアで知り合ったことで、生まれることになった。「昔から遊びで歌っていたりはしたんだけど、ちゃんと歌おうと思ったのは、2009年、2010年ぐらいかな。テディーと知り合って、活動を始めてからなんだ。それまでは誰もいない部屋でひとりで歌ってたよ。(笑)ソウルをサンプリングするんじゃなくて、自分たちで作れないかなと、テディーと一緒に遊び半分でソウルな曲をやってみたら、自分の声は意外とそんなに悪くないなって思えたんだ」
一方、テディはソウル・レコードをサンプリングしてビートを作っていたが、ウータン・クランやG-ユニットへのトラック提供を行っていたが、ズィーと出会ったことで生演奏への関心が生まれていったという。「当時は母の家のガレージで、すごくベーシックなスタジオを作って、そこで録ったんだ。試しにレコードを作ってみて、どういう反応があるか見てみようっていう気持ちだった。レコードをプレスして、ニューヨーク・シティやジャージー・シティを自転車で巡って、レコード屋に置いてもらえないか自分たちで交渉したんだ。映画『ロッカーズ』みたいにね」
そして、2010年にリリースした初の7インチ『A Fool for You b/w Kiss in the Dark』が世に出ると、現在の所属レーベルであるワックス・ポエティックス・レコーズが興味を示したという。ズィーは次のように語っている。「でも最初に興味を示してくれたとき、レーベルはエイドリアン・ヤングとかケンドラ・モリスといったアーティストの作品を売り出すことに手がいっぱいだったから、実際に契約をしたのはそのもっと後なんだ。だから今回ようやくアルバムをリリースできて嬉しいよ」
そうして、ようやくリリースされたアルバムは、借り物ではないクラシック・ソウルのエッセンスと、現在ならではのスマートさを見事に両立させる作品となった。その背景には隠れた強い見方がいたという。「ミッチェル・マッカーシーという人がオーケストラのアレンジをしてくれたんだ。彼はまだ、俺たちと同じ20代なんだ。クラシックのアレンジャーとピアニストをやっている人で、知り合いに紹介してもらった。彼はそれまでR&Bのアレンジをやったことがなかったんだけど、参考にしてもらいたい楽曲を何曲か送って、俺たちが“こういう風にしてほしい”とか、ハミングして多少伝えたりしながらも、彼のセンスに任せたんだ。ストリングスやホーン隊は彼が手配してくれて、ニューアークにある俺たちのスタジオでレコーディングしたんだ」
しかし、なんといっても彼らのサウンドを支えるのは、クラシック・ソウルをはじめとする偉大な音楽の遺産への自らの思いである。ズィーは次のように語っている。「叔母にアル・グリーンを教えてもらって、それからマーヴィン・ゲイを聴くようになって。あとヒップホップを聴くようになって、元ネタから余計ソウルを意識するようになった。でも常になんでも聴いてきたよ。ジャズもクラシックもトリップホップもね」
ザ・ジャック・ムーヴスの来日公演は4月8日にビルボードライブ東京で、4月10日にビルボードライヴ大阪で行われる。
ビルボードライブでの注目公演
ザ・ジャック・ムーヴス
4月8日(金)ビルボードライブ東京
OPEN 17:30/START 19:00、OPEN 20:45/START 21:30
TICKET:サービス6900円、カジュアル5400円(1ドリンク付き)
4月10日(日)ビルボードライブ大阪
OPEN 15:30/START 16:30、OPEN 18:30/START 19:30
TICKET:サービス6900円、カジュアル5900円(1ドリンク付き)
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=9894&shop=1
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=9895&shop=2
スリー・ディグリーズ
6月21日(火)・22日(水) ビルボードライブ東京
OPEN 17:30/START 18:30、OPEN 20:30/START 21:30
TICKET:サービス9500円、カジュアル8000円(1ドリンク付き)
6月27日(月) ビルボードライブ大阪
OPEN 17:30/START 18:30、OPEN 20:30/START 21:30
TICKET:サービス9500円、カジュアル8500円(1ドリンク付き)
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=9891&shop=1
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=9892&shop=2
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