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もしかしたら、名前をまだ知らない方もいるかもしれない。しかし、2022年の音楽シーンにおける最大の話題作で一翼を担っていたのが、このレヴィン・カリその人だった。2017年に自主リリースしたシングル“Joy”でデビューを果たし、2019年にはインタースコープからファースト・アルバム『ロウ・タイド』をリリースした彼だが、ここにきてさらに注目が集まっているのはビヨンセが昨年発表した大傑作『ルネッサンス』で“Alien Superstar”、“Plastic Off the Sofa”、“Virgo’s Groove”、“Summer Renaissance”の4曲でプロデュースにクレジットされているからだ。オーセンティックなハウスやディスコ、R&B、ヒップホップを横断するハイブリッドな音楽性はレヴィン・カリの最新EP『レット・イット・レイン』にも共通している。今月予定されている来日公演を前に、その人となりや音楽性について話を聞かせてもらった。

――日本ではまだあなたのキャリアについてあまり知られていないところがあって、人となりからうかがいたいのですが、元々はプロゴルファーを目指していたと読んだことがあるのですが、どうして止めることになったのか教えていただけますか?

「プロゴルファーの道は自分の精神性としては正しいものだと思えなかったんだ。音楽が呼んでいて、それに従うことにした。今でもゴルフをやるのは好きなんだけど、この方向に向かわざるを得なかったんだ」

――そこから大学1年生の時に音楽のキャリアに真剣に進むわけですが、曲を作るということは自分の中に自然な才能としてあった感じなのでしょうか?

「まさにそうなんだ。メロディーは常に自分から溢れてくるものだった。スーパーマーケットに行くような日常の何気ない時でも通路を歩いている時にそれを曲にして歌いだしてしまう。最高の曲もふざけているような笑える瞬間から始まることがあったりするんだよね」

――育ったサンタモニカという場所から受けた影響というのはありますか?

「サンタモニカというのは本当に多様な場所なんだ。文化的にもそうだし、経済的にも、地理的に言ってもね。ロサンゼルス全体まで含めれば、まさに旅行という感じで、1日でサーフィンとスキーの両方をやることだってできる。テスラやベンツがホームレスの前に停まっているのを目にすることもある。西側では異人種の家族もたくさん目にする。すべてが自分の音楽に影響を与えている。そのバランス、美しさ、並列されていることがね。海も主なインスピレーションの一つだよ。自分の故郷が大好きなんだ。ロサンゼルスを悪く言う人もいるけど、それは大抵、有名になりたいという目標を持って、やってきた人々のせいなんだ。この街にはたくさんの側面があるんだよ」

――目下の最新作『レット・イット・レイン』はすごくグルーヴが前面に出た作品ですよね。インスピレーションとなったことはありますか?

「2021年が始まったばかりの時に70年代や80年代のディスコ・ムーヴメントに夢中になったんだ。音楽よりもカルチャーのほうが大きかった。あらゆる種類の人々が同じ音楽で一緒にパーティーをしているんだ。それで、ロサンゼルスでは音楽やパーティーのシーンが区分けされてしまっていることに気づいたんだよね、ヒップホップのクラブに集まっている人々はハウス・ミュージックのお客さんとはだいぶ違う。僕はどちらのシーンでもたくさんの時間を過ごし始めていて、ずっとそうした観客の違いを感じ続けていたんだ。それがきっかけで、あらゆる人が一緒に踊れるような音楽を作りたいと思うようになった。あらゆる人種、性的指向、年齢の人がね。ディスコの時代っぽいんだけど、サウンドは今のものというね。レトロじゃないんだ。グルーヴィなんだよ」

――再びインディペンデントになりましたが、解放感はありましたか?

「正直言うと、僕はいつだって自分の作りたいものを作っていいと思っているんだ」

――インタースコープでの2枚のアルバムの時期を振り返ると、自分にとってどのような時期だったと思いますか?

「音楽業界での10年分の経験を2〜3年に凝縮したような感じだった。すべてがあまりに早く動いていた。見つけてもらった時には世に何も出していなかったから、昔ながらの音楽業界のような体験をできたよ。最近は多くのアーティストがレーベルを見つける前からキャリアを築き始めているだろ。でも、どのステップもスキップすることはできないんだ。これまでのところ、素晴らしい道のりだったよ」

――それと並行して、あなたは別のアーティストへのソングライターとしても飛躍しています。ビヨンセの最新作『ルネッサンス』では4曲にあなたの名前がクレジットされています。コラボレーションが実現した経緯を教えて下さい。

「さっきも言った通り、2021年にディスコのエネルギーに夢中になったんだけど、ビヨンセ・サイドと繋がった時に星が一列に並んだように、全員が同じ方向を見ていたんだ」

――ビヨンセの作品に関わったことで学んだ教訓、感銘を受けたことがあったら教えて下さい。

「ビヨンセの仕事に対する姿勢とは信じられなかったよ。すべての物事を非常に家族的なものにしてくれるんだ。そこに共感したよ。まさにトップに立つ人がそのようなバランスを保っているのを見るのは素敵なことだった」

――『レット・イット・レイン』という作品やソングライターとしての実績を踏まえて、今後のあなたはどのような方向に進んでいくと思いますか?

「これまでやってきたことは誇りに感じているけど、始まったばかりだと感じているね」

――自分のアーティストとしての個性、ここは他の人とは違うなと思う部分はどんなところでしょう?

「好奇心じゃないかな。音楽的にもまだまだ世間に見せていないものがたくさんあるから、それを出すのを楽しみにしているんだ。お互い、より理解し合えるようになるんじゃないかな」

――アルバム『ハイタイド』も新型コロナウイルスの真っ只中でリリースされて、あなたのキャリアをライヴという形で見せるのは今のツアーが初めてだと思うんですけど、ライヴはどんなものになっていますか?

「今のパフォーマンスは自分にとってすごく大きなもので、というのも『ハイタイド』の多くの曲を初めてライヴでやれているんだ。ここ2回やったツアーでは自分たちのバンドを連れて行くこともできなかった。だから、すごくスペシャルなものになるはずだよ。なにも想定せず、新しいサウンドに心を開いて、楽しんでもらえればと思う」

――日本に来たことはあるんでしょうか?

「ないんだ。日本に行くのは今回が初めてだね」

――御両親もミュージシャンでしたが、日本に来たことはあるんですかね?

「父は来たことがあったんじゃないかと思う」

――音楽のキャリアという点において両親から影響を受けたことがあったら教えて下さい。

「両親は最大のインスピレーションなんだ。2人ともユニークなミュージシャンで、幼い頃からいろんなものに触れさせてくれた。特に幅広い音楽に触れさせてくれたんだ」

――日本で一番楽しみにしていることといったら何ですか?

「もう季節が違うのかもしれないけど、できるなら温泉に雪景色で入る猿というのは見てみたいな」

来日公演詳細

4月19日(水)ビルボードライブ大阪
開場17:00 開演18:00/開場20:00 開演21:00
サービスエリア¥9,600
カジュアルエリア¥9,100(1ドリンク付)

4月21日(金)ビルボードライブ東京
開場17:00 開演18:00/開場20:00 開演21:00
サービスエリア¥9,600
カジュアルエリア¥9,100(1ドリンク付)

更なる公演の詳細は以下のサイトで御確認ください。

http://www.billboard-live.com/

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