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5月に一夜で劇的に運命が変わったバンドがいる。今年のユーロヴィジョン・ソングス・コンテストにイタリア代表として出場したマネスキンは同国の代表としては31年ぶりに優勝を果たしている。それからというもの、“Zitti E Buoni”と“I Wanna Be Your Slave”の2曲が世界各国のスポティファイでバイラル・チャートにランクインし、フォー・シーズンズのカヴァーである“Beggin”もチャートを急上昇している。ついには全英シングル・チャートで2曲同時にトップ10入りを果たし、近年のロック・バンドとしては異例の成功を収めることになった。ここでは今年のユーロヴィジョンの直後に『NME』が行ったインタヴューを掲載する。

ユーロヴィジョンのイタリア代表として優勝したマネスキンは『NME』にドラッグに関する報道、ロックンロールのヴィジョン、今後の予定について語っている。

マネスキンは5月にロッテルダムで行われたユーロヴィジョン・ソングス・コンテストで記録的な一般投票を得て“Zitti E Buoni”で524ポイントを獲得して優勝している。フロントマンのダミアーノ・デイヴィッドは番組の中でグリーン・ルームでテーブルのコカインを吸っていたと批判を受けることになったが、自主的にドラッグ検査を受けて、無実であることを証明している。

「私たちとしてはあれはまったく問題じゃなかったわ」とベーシストのヴィクトリア・デ・アンジェリスは語っている。「デタラメだと分かっていたからね。私たちはそんなことはしないし、1億8000万人が観ている生放送でそんなことはしない。コカインのようなドラッグもまったくやったことなかったから、すぐに『検査して。私たちに隠していることはないし、音楽以外のくだらないことで語られたくないわ』と言ったの」

「優勝したことは嬉しかったから、そんなくだらないことじゃなくて、私たち自身に注目してもらいたいの」

“Zitti E Buoni”は決勝戦に先立つ数ヶ月で4500万回再生されて、コンテストに出場した最も再生回数された楽曲となっており、ダブル・プラチナを達成している。

成功の秘訣について訊かれたダミアーノ・デイヴィッドは次のように語っている。「人々はロックンロールを必要しているんだと思う。冗談だけどさ。本当のところは分からないけど、僕らやそのアイデンティティ、強度をみんなが理解してくれたのは嬉しいよ」

歌詞的には“Zitti E Buoni”は「偏見に挑戦して」「汚名を返上する」というテーマを扱っていて、これはマネスキンと彼らのメッセージの核心に位置するものとなっている。

「私たちは自分自身であり続け、他の人のコメントを気にすることなく自分の信じることをやるのが正しいと言っているの」とヴィクトリア・デ・アンジェリスは語っている。「私たちはそういうことをたくさん経験してきた。イタリアではロックは認められていないの。私たちが音楽を始めた時、みんなは『ダメよ。そんな音楽じゃ無理だわ。どこにも辿り着けない』と言っている感じだった。私たちは自分のやっていることに自信があるし、信じている。だから、私たちはそれを続けているの」

「ジェンダーの規範に従わないことにはいろんなことを言われたわ。私たちは男性も化粧をするし、セクシャリティについてもたくさんの発言をしている。曲もそうよね。自分自身であるべきだし、自分自身を表現して、他の人が言うことなんか気にしないでいいのよ」

バンドは路上ミュージシャンとして2016年に結成され、「どこでも演奏したわ。高校でも小さなパブでも、ストリートでもね」とヴィクトリア・デ・アンジェリスは語っている。2017年にイタリア版『Xファクター』に出演したことでより幅広い知名度を獲得することとなり、その後、自身の楽曲でプラチナ・ディスクを獲得し、ソールドアウトのツアーを行っている。ロックやインディの有名曲のカヴァーはオンラインで拡散されることになった。

「60年代から70年代のビッグネームからたくさんのインスピレーションを受けたけど、今のシーンにも素晴らしいバンドはたくさんいるよね。アークティック・モンキーズ、アイドルズ、スレイヴス、ロイヤル・ブラッド、フランツ・フェルディナンドとかね」とダミアーノ・デイヴィッドは語っている。ヴィクトリア・デ・アンジェリスは次のように続けている。「ロイヤル・ブラッドとフランツ・フェルディナンドに祝福された時は驚いたわ。信じられなかった。すごく嬉しかったの」

マネスキンは今年3月にセカンド・アルバム『テアトロ・ディーラ Vol.I』をリリースしている。けれど、既に新曲にも取り組んでいるという。「これは私たちの最大の夢だったの。だから、今起こっていることが信じられないわ」とヴィクトリア・デ・アンジェリスは語っている。「新曲を書いて、ヨーロッパやなんかでライヴをやって、関心を持ち続けてもらうためにも最善を尽くしたい。懸命に働いて、いろんな場所でライヴをやりたい。すべてをやり遂げる方法を模索しているところよ」

ユーロヴィジョン・ソングス・コンテストでのマネスキンの巨大な得点は他の参加者の得点を減らすこととなっており、イギリス代表のジェイムス・ニューマンも0ポイントで終わっている。

ジェイムス・ニューマンが残念な結果に終わった理由について訊かれたダミアーノ・デイヴィッドは次のように語っている。「本当に分からないよ。彼は素敵な男性で、素敵な声も持っていて、パフォーマンスも良かったからね。0ポイントだったのは不運が重なったんだよ。そんな扱いの人じゃないと思っているよ」

「コンテストだから、こんなこともあるんだね。そんなに悲しまないでほしいよ。僕らの意見では彼はよくやっていたと思うからね」

プロフィール

マネスキンは20~22歳のダミアーノ・デイヴィッド(vo)、ヴィクトリア・デ・アンジェリス(b)、トーマス・ラッジ(g)、イーサン・トルキオ(ds) から成るイタリアはローマ出身の4人組バンド。デンマーク語で「月光」を意味するバンド名は、デンマーク人とのハーフであるヴィクトリアがメンバーに頼まれていくつか提案した単語の中で、一瞬のうちに彼らを魅了したのが“マネスキン”だったという。メンバーは小学校低学年からの知り合いで、一緒に音楽をやるようになったのは2015年から。彼らのサウンドはロック、ラップ、ヒップホップ、レゲエ、ファンクの要素を多彩に織り交ぜ、フロントマン・ダミアーノのソウルフルな声によりまとめられていることが特徴だ。また、華やかなロック・スター然としたステージ衣装も目を引く。

セカンド・アルバム『テアトロ・ディーラ Vol.I』のストリーミングはこちらから。

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