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15年前の10月、リンキン・パークが記録的ヒットとなったデビュー・アルバム『ハイブリッド・セオリー』の発売と共に、アメリカン・ロック・サウンドは永遠の変革を遂げた。2000年10月の発売に至るまで、このバンドは改名やメンバー交代、レーベル探しと四苦八苦したが、その苦労を乗り越えたことが、革新的な本作を形作っている。リリースから15周年を記念して、『NME』は『ハイブリッド・セオリー』の歴史を掘り下げ、2000年代で最も影響力のあるアルバムのひとつである本作の裏話をたっぷりと紹介しよう。

デモ曲

バンドの中心人物であるマイク・シノダが「BBC Radio 1」に語ったところによると、彼は実家で膨大な曲を書いたが、バンドは当時『ハイブリッド・セオリー』の発売に先駆けて、年内でレコード契約できるレーベルを探している最中だったという。素晴らしきヴォーカル、チェスター・ベニントンの加入にもかかわらず、9曲入りのデモはいくつものレーベルに断られた。だが、最終的にはオリジナルのデモから7曲が『ハイブリッド・セオリー』に収録され、その中には後にシングル化された“Points of Authority”と“Be Myself”も含まれている。

本作で重要な “In The End”は、マイク・シノダが新曲を作るために24時間以上も窓なしのスタジオに閉じこもって仕上げた曲だ。後に彼が言うところによると、ハリウッドにあるスタジオは、周辺に「売春婦やらポン引きがいて、メキシカンレストランがたくさんあり」、この環境が本作の重厚なサウンドを形作ったという。

スタジオ・セッション

当初、リンキン・パークはアルバムを手がけるプロデューサー探しに苦労していた。しかし最終的には、ワーナー・ブラザーズ・レコードA&R部門のジェフ・ブルーが、デュラン・デュランやグッド・シャーロットを手がけるドン・ギルモアを説得し、無名のバンドにチャンスを与えた。

駆け足のセッションは4週間続き、マイク・シノダのラップ部分はほぼすべて書き直されることとなった。チェスター・ベニントンもまた、より荒々しい新しい歌唱法をするように説得させられ、これによってリンキン・パーク独特のデュオ・ヴォーカルのスタイルが固められた。前のスタジオ・ミュージシャンが離脱したため、メインギタリストのブラッド・デルソンがほとんどの曲でベースも演奏している。

主要な曲

『ハイブリッド・セオリー』からはいくつものヒット曲が生まれているが、何よりもインパクトが絶大なのは印象的な“Crawling”だ。作詞を手掛けたのはチェスター・ベニントンで、この曲はコカインやクリスタル・メスなどの強力なドラッグへの依存や幼少期の性的虐待といった、彼の経験に基づいて書かれた。この曲は2002年度のグラミー賞ベスト・ハード・ロック・パフォーマンス賞を受賞している。

激しい “One Step Closer”は、マイク・シノダいわく、「レーベルの連中が俺をバンドから追い出そうとした」と感じたことに対して、レーベルへの直接の返答として書かれた曲だ。2015年のインタヴューにおいてマイク・シノダは、この裏切り行為がバンドの「結束をさらに強め」、お返しにこの曲を書いたと語っている。チェスター・ベニントンの有名な“Shut up when I’m talking to you!” の雄叫びはお節介なレーベルへの直接的なメッセージだ。

“Points of Authority”もまた、『ハイブリッド・セオリー』がエレクトロの側面とハードなメタル・サウンドをうまく合体させていることを知らしめる楽曲となっている。この曲ができあがるまでの型破りなプロセスをドラマーのロブ・ボードンは次のように話している。「まずブラッドがリフを書いて家に帰ったんだが、その後マイクがそれを分解してパソコンでアレンジを加えた。だからブラッドは自分のパートをパソコンから教えてもらわなきゃいけなかったんだ

ジャケット写真

以前グラフィックデザイナーとして働いていたマイク・シノダが『ハイブリッド・セオリー』のジャケット写真を手がけた。リンキン・パークのサウンドを道標として表現し、マイク・シノダはスプレーで描いた兵士にトンボの羽を付けてイメージを完成させた。兵士の後ろの壁に散りばめられているのはアルバムに収録されている曲の様々な歌詞だ。「このジャケット写真は、音楽が持つ重厚な要素と柔和な要素を同時にもたらすという考えを表している」とチェスター・ベニントンは2003年に語っている。

反響

2000年10月24日の発売後、『ハイブリッド・セオリー』は瞬く間に成功を収めた。発売から1週目で、アメリカだけで5万枚を売り上げ、5週間後にはゴールドディスクに認定された。本作はビルボード200に105週連続でランクインし、2001年で最も売れたアルバムとなった。さらに、英国、スウェーデン、ニュージーランド、オーストラリア、フィンランド、スイスのトップ10内にもランクインし、グラミー賞3部門にノミネートされ、1部門で受賞した。発売から15年経った今でも、『ハイブリッド・セオリー』はニュー・メタルにおける「新境地」と認識されている。そして本作は、スリップノットのようなバンドの先駆けとなり、ブリング・ミー・ザ・ホライズンやオブ・マイス・アンド・メンといった最近のバンドにまで影響を与えている。2014年に、リンキン・パークがダウンロード・フェスティバルのヘッドライナーを務めた際、彼らは初めてアルバムの全楽曲を披露している。

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