10位 ミツキ


昨年にリリースした通算5作目となる最新作『ビー・ザ・カウボーイ』が各方面で高い評価を得て、多くの年間ベストを席巻したミツキ。今年2月に行われた来日公演も反響を集め、ますます今後の活動に期待が寄せられていたミツキだが、5年間ツアーをノンストップで続けてきたという彼女は今年6月、9月に行うNY公演を最後に当面は無期限で公演を行わないことを発表している。音楽をやめることはないと強調するミツキだが、今後しばらくは、このフジロックでのステージが彼女をここ日本で観られる最後の機会となる。彼女にとって1つのチャプターの締めくくりとなることは間違いない。5年におよぶツアー生活の集大成とも言えるパフォーマンスをこの目に焼き付けておきたいところだ。

9位 デス・キャブ・フォー・キューティー


土曜日のホワイト・ステージでトリを務めるのは、5人体制になってからは初の来日公演となるデス・キャブ・フォー・キューティーだ。彼らはその間に、日本の伝統技法にインスピレーションを得たという2015年の『金継ぎ』と、2018年発表の最新作『サンキュー・フォー・トゥデイ』の2枚のアルバムをリリースしている。2003年に4thアルバム『トランスアトランティシズム』で米インディ・シーンに自らの地位を確立して以来、長きにわたってシーンを先頭に立って牽引し続けている彼らだが、意外にもフジロックへの出演は今回が初めてとなる。彼らが夜の大自然と見せてくれる化学反応がどんなものであれ、格別な体験になることには違いない。

8位 ケイトラナダ


いろんな意味で実弾が飛び交うブラック・ミュージックの世界においてケイトラナダがそのインディペンデントな知性を武器に2016年に発表したデビュー・アルバム『99.9%』でもたらした衝撃はあまりにも鮮やかで、スマートなものだった。クレイグ・デイヴィッドから、ジ・インターネットのシド・ザ・キッド、アンダーソン・パークまで偏見や境界を超えてコラボレーションしてきたその音楽はハウスとヒップホップを融合して、これまでの文脈とは一線を画する新たなグルーヴ・ミュージックとなっていた。そして、フジロックフェスティバルとはそんな彼の音楽を謳歌するのに最高の舞台だろう。様々なものから解き放たれた音楽が鳴る光景が楽しみでしょうがない。

7位 コートニー・バーネット


彼女がそのストラトキャスターを持って、アンプからシンプルなギター・サウンドを鳴らす時、なぜあそこまでマジカルな瞬間がその音に宿るのだろう。2016年のグラミー賞で新人賞にノミネートされて大きな注目を集め、同年に初出演したフジロックでも見事なパフォーマンスを披露してくれたコートニー・バーネットは、昨年にリリースしたセカンド・アルバム『テル・ミー・ハウ・ユー・リアリー・フィール』やその後のツアーで、当時の評判が決して一過性のものではなかったことを証明している。ホワイト・ステージは彼女にとってこれまでの来日公演では最大規模の舞台となるが、シンプルながらにも凝縮されたロックンロールできっといとも簡単に掌握してみせるのだろう。

6位 ザ・キュアー


フジロックでヘッドライナーを務めるのは今回で3度目となるザ・キュアーだが、2019年に観る彼らはまた一味違いそうだ。1978年にイギリスはクローリーで結成され、昨年に40周年を迎えた彼らは今年、アニバーサリー・イヤーに華を添えるようにロックの殿堂入りを果たしているほか、グラストンベリー・フェスティバルを初めとした世界各国のフェスティバルをヘッドライナーとして回るなど、彼らの勢いはここ数年で最も高まっていると言える。その上、現在60歳のロバート・スミス率いるバンドは2008年の『4:13 ドリーム』以来となる新作の制作まで行っているというのだから、嬉しい限りだ。長時間のセットが象徴するように、ライヴへのこだわりは知られている通り。彼らはきっと衰えることなど知らないのだ。

5位 ザ・ルミニアーズ


金曜日のフィールド・オブ・ヘヴンでヘッドライナーを務めるのは、2012年にリリースした“Ho Hey”で記録的な成功を収め、一躍シーンの第一線に躍り出た米・コロラド州出身のバンド、ザ・ルミニアーズだ。通算3作目となるニュー・アルバム『III』のリリースを9月に控えたタイミングでの来日となる彼らだが、今年のツアーでは既に、10連作のミュージック・ビデオも話題の新作からまだリリースされていない楽曲も披露されている。2010年から在籍していたチェリストのネイラ・ペカレックが昨年に脱退し、メンバー・チェンジを行ってからは初の来日公演となる。新たなザ・ルミニアーズが奏でるアンサンブルを楽しみにしていよう。

4位 アメリカン・フットボール


今年2月には、ついにサード・アルバム『アメリカン・フットボール(LP3)』までリリースされてしまった。2000年代のエモ・ブームの火付け役となり、高い評価を得たセルフタイトルを冠したわずか1枚のアルバムを残して2000年に活動休止を発表したアメリカン・フットボールも、今や当時の大人しさが嘘のように精力的に活動を行っている。奇跡とも言える再結成が発表されてからは早くも5年の月日が経っている彼らだが、日本のフェスティバルへの出演としてはこれが初めてとなり、多くの人が彼らのライヴに触れることになるのが嬉しくてたまらない。嘘やクリシェではなく、音楽を鳴らそうとしてきた人のロック・ミュージックがついに苗場にもたらされることになる。

3位 ジャネール・モネイ


ジャネール・モネイをついに日本で観ることができる。フジロックの直前には単独公演の開催も発表されているジャネール・モネイは、2019年に初来日を果たすアーティストの中でも最も待望されていたアーティストの一人だろう。今でこそ映画『ムーンライト』を初めとした話題作への出演で女優業との二足の草鞋がさらに注目を集めている彼女だが、ジャネール・モネイとは、その高い芸術性であらゆるボーダーやジャンルを超越し続けてきた人にほかならない。その高いメッセージ性から衣装やセット、振り付けに至るまで、コンセプトが徹底されている彼女のステージは、フジロックにどんな黒船としてやって来るのだろうか。間違いなく今年のハイライトの一つになるはずだ。

2位 トム・ヨーク


レディオヘッドとして一度ヘッドライナーを務め、レッチリのフリーらと結成したアトムス・フォー・ピースでもヘッドライナーを務めたトム・ヨークが、盟友であるナイジェル・ゴドリッチとタリク・ヴァッリを引き連れ、ついにソロとしても苗場の地に足を踏み入れる。既にソロとしてもレディオヘッドの肩書きが不要とも言えるほどに成功を収めているトム・ヨークは昨年、映画『サスペリア』でサウンドトラックという新たな境地に挑戦しているほか、6月28日にはその告知方法も話題になったソロとしての新作『ANIMA』もリリースされている。今月よりスタートしているヨーロッパ・ツアーでは既に『ANIMA』からの楽曲も披露されており、早くも最新モードのトム・ヨークを観ることができそうだ。

1位 シーア


ポップ・ミュージックの歴史において、シーアほどその天性の才能と実力で自ずとシーンの中心地に呼び寄せられたアーティストもそう多くはないだろう。名声に背を向け、一度は表舞台から退いてソングライターとしてリアーナらに楽曲提供を行ってきた彼女も、高まる声に答えるようにシンガーとしての活動に復帰を果たすと、以来、顔を隠してのパフォーマンスを行っている。実は2004年にゼロ7のヴォーカルとして一度フジロックに出演しており、15年ぶりの日本でのパフォーマンスとなるシーアだが、“Chandelier”などの楽曲を挙げなくとも、彼女がその間にポップ・ミュージックから多大なる寵愛を受けてきたことは周知の通り。日本でもついに、それを五感で堪能できる日がくるのだ。

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