Radiohead-kid_a

オックスフォード出身の5人組バンド、レディオヘッドの通算4作目のアルバム『キッド A』は2000年10月2日にリリースされ、彼らのキャリアにとって画期的な作品となった。バンドはそれまでのギター中心のサウンドから一転、エレクトロニック嗜好へとシフトし、『キッド A』はレディオヘッドによる新しいデジタル・サウンドの夜明けを告げ、無限の広がりを与えたが、それまでの音楽的特徴も捨てていなかった。大胆な変化ではあったが、これによってレディオヘッドは時代を超えた賞賛を手に入れ、15年経った今でも、人々はこの作品について語っている。アルバムの15周年を記念して『NME』による『キッド A』収録曲のランキングを発表する。

10. Motion Picture Soundtrack


レディオヘッドのレパートリーのいくつかは映画音楽のようだとも言える。インディー系の重い映画の結末なんかにピッタリだ。『キッド A』のラストにふさわしいこの曲は、人の心を奪うシネマティックな楽曲を作り上げる彼らの才能を証明している。


9. Kid A


イスに腰掛けてリラックスし、眠りに落ちる……。この曲は美しくも風変わりな子守唄のようだ。木琴のような音色、ロボティックな声、奇妙なエフェクトが響く。アルバムの中で最も偉大でもなく――あるいは最高でもない――楽曲だが、それがすべてを物語っているのかもしれない。つまり、他の楽曲をよく味わうための控えめな口直しなのだ。


8. Everything In Its Right Place


この曲は、どこか時空を超えた、すべてが滅茶苦茶にごった返した空間で響いているような感じで、壊れているテープデッキに詰まったテープみたいな音がする。クレバーで、身震いするほど完璧にブリリアントな作品だ。


7. Treefingers


“Treefingers”という言葉の響きにはゾッするが、それと矛盾するように、この曲はアルバムの中で最も不安を抱かせない楽曲だ。他の曲ほとんどが、歯がガチガチいうような100ワットの光線をいっぱいに浴びているのに対し、この作品はブライアン・イーノも絶賛するような、一種の純粋な、穏やかなアンビエント・ミュージックのような空気をまとっている。


6. Morning Bell


“Morning Bell”は、朝の目覚ましのアラームとしておすすめだ――この曲なら誰でもベッドから飛び起きて素敵な1日を始められるに違いない。しかし、それも、かなり突出したトム・ヨークのファルセットをどれくらい好きかによるだろう。


5. Optimistic


主にギターが主役を務めているせいだろうか、“Optimistic”は『キッド A』のアルバムの中で最も『ザ・ベンズ』に近い曲だと言って良いだろう。「you can try the best you can(できる限りの最善を尽くす)」や「 flies are buzzing around my head (ハエが頭の周りを飛び回っている)/ vultures circling the dead(ハゲワシが死者の周りを飛んでいる)」といったパートは、自身の名声をプレッシャーに感じ苦しんでいることで有名なトム・ヨークの嘆き悲しみを表しているのかもしれない。


4. The National Anthem


労働党党首のジェレミー・コービンは、この曲を公の場で歌うことについてどう思うであろうか? 当てずっぽうで言ってみると、彼は大賛成するかもしれない。この曲が実際の国歌よりもはるかに良いというのは言うまでもなく明らかで、女王本人以外は誰でもそう言うだろう。


3. How To Disappear Completely


ギターのマイナー・コードが悲しげに響き、ストリングは高く舞い上がり、そしてもちろんトム・ヨークの忘れがたい嘆きにより、この曲には純粋で音響的な悲しみの本質が閉じ込められている。レディオヘッドほど、悲しげに歌い上げるバンドは他にはないだろうし、これこそが彼らの美しい絶望である。


2. In Limbo


“In Limbo”は、『キッズA』の隠れた名曲だろうか? そうかもしれない。この曲はアルペジオで優しく奏でられたギターの音色とスタッカートの音符による悲しみを和らげてくれる旅のようであり、トム・ヨークのなにかを鎮めようとするような叫びが詩的なライン「 I’m lost at sea(海で迷う)」を歌う時、海でぼろぼろになった詩人のような印象を与えてくれる。


1. Idioteque


この重低音のサウンドの誕生に一役買ったレディオヘッドのギタリスト、ジョニー・グリーンウッドに感謝したい。どうやら、この曲はジョニー・グリーンウッドが1970年代の実験的なコンピュータ音楽のテープを偶然見つけ、そのテープを興味深々なトム・ヨークに渡したことから生まれたという。2人でこの音楽をサンプリングしてオウテカに匹敵するような素晴らしいエレクトロニクスの名曲を生むことになった。

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