10位 ベン・ハワード


多くの注目アーティストが今年のフジロックで初来日を果たすが、ロンドン出身のシンガーソングライターであるベン・ハワードもまた、来日が待ち望まれていた一人である。2008年から自主制作でEPをリリースするなどしていた彼は、2011年にアイランド・レコーズと契約を結んで同年に待望のデビュー・アルバム『エヴリ・キングダム』をリリースすると、ブリット・アウォーズの新人賞を初め数々の賞を獲得し、一躍シーンの筆頭に躍り出る。今年6月にサード・アルバム『ヌーンデイ・ドリーム』をリリースした彼が、持ち前の美しい旋律で夕方のヘヴンに文字通りの白昼夢をもたらしてくれることを願ってやまない。

9位 ケイシー・マスグレイヴス


願わくば、晴れ空の下で観てみたいアーティストだ。2013年に『セイム・トレーラー・ディファレント・パーク』をもってデビューするや否や、翌年にはグラミー賞の新人賞にノミネートされ、一躍カントリー界の期待のシンガーとなったケイシー・マスグレイヴス。ケイティ・ペリーらのツアーに帯同するなどポップ・シーンからも寵愛を受けている彼女は、今年3月にリリースして高い評価を得たサード・アルバム『ゴールデン・アワー』でも、唯一無二なチャーミングのヴォーカルがいかにポップ・ミュージックとの親和性が高いかを改めて示している。

8位 アンダーソン・パーク


2016年に多くの評価を得ることになったセカンド・アルバム『マリブ』をリリースして、同年に渋谷XXXで実現した初来日公演がすぐに完売したことも記憶に新しいアンダーソン・パーク。自らドラムも披露しながら、盟友ザ・フリー・ナショナルズと繰り出すパフォーマンスは官能的なグルーヴに満ちたもの。ドクター・ドレーの16年ぶりとなったアルバム『コンプトン』で6曲に参加したことも大きなフックアップとなったアンダーソン・パークだが、そのライヴ・アーティストとしての実力は折り紙付き。ケイシー・マスグレイヴスとの時間の重複には頭を悩まされるが、最終日のグリーン・ステージで必ずや熱狂を生み出してくれるはずだ。

7位 カリ・ウチス


あの妖艶なるパフォーマンスが日本で見られる日がやってくる。タイラー・ザ・クリエイターを初め、デーモン・アルバーンやテーム・インパラのケヴィン・パーカー、ディプロ、ケイトラナダなど、幅広いクリエイターたちをこれまでに魅了してきたカリ・ウチスだが、その最大の魅力はヴィンテージなソウルと現代的なポップネスを難なく同居させることができてしまう彼女の歌声に他ならないだろう。その歌声をもって見事にジャンルを越境してみせたデビュー・アルバム『アイソレーション』は、今年最も高い評価を得ているデビュー・アルバムの1枚となっている。今年4月に満を持してリリースされた同作だが、アルバムを引っ提げた絶好の機会に観られることに感謝したい。

6位 ヴァンパイア・ウィークエンド


時代を決定づけたセルフタイトルのデビュー作をリリースしてから今年で10年を迎えた彼らだが、今やボブ・ディランの次というスロットに位置付けられていても何ら違和感を感じない領域にまで到達している。最終日のグリーン・ステージを締めくくるのは、今年5月に2014年以来となるフルライヴを行なってシーンへの復帰を果たしたヴァンパイア・ウィークエンドだ。バンドのサウンドに大きく寄与していたロスタムとの脱退も経験した彼らだが、フロントマンのエズラ・クーニグ曰く「94.5%」完成したという新作の楽曲が披露されるのかという点も大きなポイントとなる。そう、今回のヴァンパイア・ウィークエンドはまさに新たなモードでのステージとなるのだ。

5位 ポスト・マローン


2018年のポップ・ミュージックのメインストリームを体現したステージになると言っても過言ではない。初日のホワイト・ステージのトリを飾るのは、飛ぶ鳥を落とす勢いのポスト・マローンだ。最新作『ビアボングズ&ベントレーズ』から9曲を全米シングル・チャートのトップ20に同時に送り込んでザ・ビートルズの記録を破り、数ヶ月後にドレイクに更新されるまでスポティファイの一日の再生回数記録を保持するなど、今年最も聴かれたアーティストの一人である。そのヒット曲によって、大観衆をたった1人で掌握してしまうパフォーマンスをぜひとも体験したい。

4位 チャーチズ


これまでの来日公演でもシンセに彩られたポップネスで煌びやかなステージを魅せてくれたチャーチズは、夜のホワイト・ステージを一体どんな色でライトアップしてくれるのだろうか。初来日以降、着実に日本でのファンベースを築いてきたチャーチズだが、初めてのフジロック出演となる彼らに用意されたのは、これまでの彼らの来日公演では最も大きな規模となる最終日のホワイトステージのヘッドライナーというスロットになる。今回はメンバーの3人に加えてサポートドラマーが帯同することが発表されており、さらにスケールアップしたステージングが予想される。3枚のアルバムを経て、更なる飛躍を否が応でも期待してしまう。

3位 ナサニエル・レイトリフ・アンド・ザ・ナイト・スウェッツ


誰しもにとって楽しいライヴをきっと見せてくれるはずだ。39歳のシンガーであるナサニエル・レイトリフ率いる8人組、ナサニエル・レイトリフ・アンド・ザ・ナイト・スウェッツの音楽性は決して目新しいものではない。フォーク、アメリカーナ、リズム&ブルース、しかし、そうした音楽性にもかかわらず、アップビートなそのスタイルによってアルバム『ナサニエル・レイトリフ・アンド・ザ・ナイト・スウェッツ』は全米で50万枚を突破し、アルバムからのリード・トラックとなった“S.O.B.”はプラチナ・ディスクを獲得してしまっている。ケンドリック・ラマーとは完全にかぶる出演時間帯だが、前夜のクリスタル・パレスにも出演予定なので、そちらで観るのも一つの手かもしれない。

2位 サーペントウィズフィート


昨年リリースされたビョークの最新作『ユートピア』に収録されている“blissing me”のリミックスにヴォーカルとして抜擢されたことで、その名を知った人も多いかもしれない。ビョークが認めるヴォーカリスト、それだけでこのアーティストの特別さが伝わるのではないか。幼少期からゴスペルに慣れ親しみ、フィラデルフィアの芸術大学でヴォーカル・パフォーマンスを学んだというサーペントウィズフィートは、今年6月にデビュー・アルバム『ソイル』をリリースしている。力強さと神秘性と脆さが図らずも共存してしまう彼の声は唯一無二と言えるものだ。その圧倒的な個としてのパフォーマンスを体験してみたい。

1位 ケンドリック・ラマー


2013年のホワイト・ステージにあった、あの高揚感を思い出す人もいるかもしれない。ケンドリック・ラマーのライヴが観られる、それはまさに歴史的な出来事だ。グラミー賞最多ノミネートやピューリツァー賞の受賞を挙げるまでもなく、ケンドリック・ラマーはシリアスなメッセージ性を掲げながら、世界的な成功を収め、現在のシーンにおいて最も社会的なアーティストの1人となった。最近の海外フェスの出演映像をチェックしてみても、その鉄壁のパフォーマンスは圧倒的なものだ。20年を超えるフジロックフェスティバルの歴史にケンドリック・ラマーは今回のステージでどんな足跡を残してくれるのか、それを楽しみしていたい。

そして、レジェンドも……

今年のフジロックフェスティバルの最大のトピックの一つはボブ・ディランがついに苗場にやってくるということだろう。ボブ・ディランにとって今回の出演はノーベル文学賞受賞後、初めての日本公演となり、今年は初来日から40周年という記念すべき年ともなっている。ザ・スミスのレジェンドであるジョニー・マーもジェイムス・ベイに代わって出演することが決定し、MGMTも8年ぶりにフジロックフェスティバルに帰ってくる。さらに今年はグラストンベリー・フェスティバルがお休みということもあり、グラストンベリー・フェスティバルから移動遊園地「アンフェアグランド」がフジロックにやってくることも決定している。

フジロックフェスティバル ‘18のオフィシャル・サイトはこちらから。

http://www.fujirockfestival.com/

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