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UKでは9月13日午後9時からチャンネル4にて、シェーン・メドウズの勇気あるドラマ「ティス・イズ・イングランド」が1990年を舞台とした新シリーズとして放映が開始された。ミュージック・シーンにとって1990年は間違いなくクラシックな年だった。プライマル・スクリームよるサイケデリックなダンス・アンセムから、セイント・エティエンヌによるバレアリック・ビーツまで。ここにNMEが選ぶ、追憶の1990年のベスト・トラック1~20位をお送りする。ぜひこの25年で何が起きてきたのか、見てみてほしい。

20位 ワールド・オブ・ツイスト “The Storm”


ワールド・オブ・ツイストについては、リアム・ギャラガーが、彼らの楽曲”Sons Of The Stage”のお気に入りというだけではなく、もっと多くのことが語ることができる。とりあえず、ステージ上でスピットファイアの絵を回転させたのは彼らだ。正式なデビューシングル”The Storm”には、ドラマ、ミステリー、サイケの風格、極上のコーラス、ジャケットのティーセットなど、あらゆるエレメンツが詰め込まれている。ヴォーカルのトニー・オグデンが、気だるそうでありながらも、自信に満ちた歌声を聴かせる。


19位 セイント・エティエンヌ ”Only Love Can Break Your Heart”


ハウス・オブ・ペインのエヴァーラストやナタリー・インブルーリアなど、多くのアーティストにカヴァーされた楽曲だが、このニール・ヤングの穏やかなオールド・フォークソングに最も果敢に臨んだのが、セイント・エティエンヌのデビュー。シングルとなったこのヴァージョンだ。メンバーのサラ・クラックネルではなく、フェイス・オーヴァー・リーズンのモイラ・ランバートがヴォーカルを担当している。ポスト・バレアリックのダブ・エフェクトがバリバリのトラックとなっている。


18位 ザ・ファーム ”Groovy Train”


マッドチェスターのムーヴメントはマンチェスターだけでなく、リヴァプールのマージーにも波及していた。ニュー・オーダーの”World In Motion”でバックコーラスに甘んじているかのように見えたザ・ファームだが、耳にこびりつくギター・リフに、間の抜けたような(しかし印象に残る)コーラスで、”Groovy Train”が大ヒットとなった。マッドネスのサッグスとボーイズ・オウンのDJテリー・ファーレイの共同プロデュース作品となっている。


17位 インスパイラル・カーペッツ ”This Is How It Feels”


かつて、インスパイラル・カーペッツは、そのローディー(ノエル・ギャラガー様だ!)よりも名声を博した時期があるのだ。ボウル・カットの髪型からは思いもよらない、クリント・ブーンの安定感あるオルガンをフィーチャーしたタフで反抗的なサイケデリック・サウンドを聴かせてくれる。マッドチェスターの枠には収まりきらないバンドで、トム・ヒングリーのギターによるシングルギア・ドローンが曲全体に響き渡るキッチンシンク・ドラマ仕立ての”This Is How It Feels”は、爆発的ヒットとなった。


16位 フラワード・アップ ”It’s On”


カムデン出身のフラワード・アップの登場によって、イギリスのライヴ音楽のナンセンスな伝統が復興した。フラワード・アップはハッピー・マンデーズのロンドン版とでも言おうか、ハッピー・マンデーズのベズのようなダンサー役をバリー・ムーンカルトが務めていた。”It’s On”は、焼けつくようなギター・サウンドのシャワーが降りかかるオリジナル・ヴァージョン、思わずダンスフロアへ躍り出たくなるような傑出したリミックス・ヴァージョンがあり、どちらもオリジナル感溢れる強力なパワーに満ちた楽曲となっている。


15位 ザ・シャーラタンズ ”The Only One I Know”


マッドチェスターの潮流はノースウィックまで及び、ティム・バージェスがヴォーカルを務めるザ・シャーラタンズも、ロブ・コリンズのハモンド・オルガンの音色がダンサブルなリズムを刺激する独自のサイケ・サウンドで、初期のバギー・グルーヴを席巻してみせた。トップ10チャートに躍り出た”The Only One I Know”のヒットから、メンバーの悲劇を経て、四半世紀以上もの根強いキャリアを誇る。最近では、ティム・バージェスの見事にブリーチしたブロンドのモップヘッドが評判となっている。


14位 ザ・ラーズ “There She Goes”


しばらくの間、うまくいっていたザ・ラーズだが、セルフタイトルのアルバムを発表した時に、リー・メイヴァースがアルバムを放棄、すべては水泡に帰した。しかし、”There She Goes”のリリースからチャートをのし上がっていった2年間はバラ色の日々だった。当時は、イギリスがだんだんと気分次第で、女の子かヘロインを求めて大騒ぎするような状態に陥っていった時期である。


13位 ハッピー・マンデーズ ”Kinky Afro”


ショーン・ライダーの歌詞の集大成を選ぶとしたら、「Son, I’m thirty/I only went with your mother ‘cos she’s dirty,(息子よ、俺は30(歳)で/みだらなお前の母親だけが俺の女だった)」の一節には脱帽する。”Kinky Afro”は、バンドの転換期となった最大ヒットアルバム『ピルズ・ン・スリルズ・アンド・ベリーエイクス』の中の曲でありながら、薄汚れた混沌とした彼らの初期の楽曲に最も近いものを感じさせる。ロウェッタの声量豊かなバック・ヴォーカルによって、艶っぽいゴスペルの雰囲気を湛えた曲だ。


12位 ベティ・ブー ”Doin’ The Do”


“Hey DJ!/I Can’t Dance (To That Music You’re Playing)”に続く、ベティ・ブーのソロシングルとなる”Doin’ The Do”は、UKのプロデューサーであるザ・ビートマスターとのコラボレーションによる激しいヒップ・ハウス(ヒップホップとハウスの合成)となっている。陽気なピアノとハイパーなビート、そして究極の人間技のようなベティ・ブーのめくるめくように切り替わる歌とラップが、同じ調子で繰り返される。


11位 ヴァン・モリソン ”In The Days Before Rock’N’Roll”


愛すべき永遠のワル親父、ヴァン・モリソンがロング・ヒットとなったアルバム(1989年のアルバム『アヴァロン・サンセット』)に伝統的なスタイルで応えた曲だ。ラジオにかじりついていた子供時代へのトリビュートとなる8分間にわたる曲で、アイルランドの詩人ポール・ダーカンによるナレーションが挿入されている。ヴァン・モリソンの曲の中で、あまりヒットはしなかったけれども、あまり記録がないかつての時代に向けた、素晴らしくも感動的な讃歌となっている。曲中、ヴァン・モリソン自身による伝説の騎手、レスター・ピジョットについての声高らかな語りがフィーチャーされている。


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