10位 リアム・ギャラガー『アズ・ユー・ワー』
誰もがリアムのソロ・デビュー・アルバムがきっとうまくいくと期待していたが、その程度のものではなかった。10月にリリースされると、UKでトップ10入りした他のアルバムすべてを合算したものよりも高いセールスを記録した『アズ・ユー・ワー』によって、オアシスが全盛期を迎えていた頃と同じくらいに、リアムが今なお大きな影響力を持っていることを証明している。しかも、それは世評通り、彼が惰性で現在活動しているわけではないということでもある。全体を通して十分な水準に達している作品であるし、“Bold”のような盛大なシンガロング・コーラスがあるアンセムもあれば、ゴスペルのコーラス隊が参加した“Wall Of Glass”のような始まりにふさわしいビッグ・チューンもあるし、“Paper Crown”のような優しいお涙頂戴ものの曲もある。そうだ、これだよ。
9位 ワイリー『ゴッドファーザー』
威風堂々、自身を神話化する11作目となるアルバムを携えて、その創造に貢献してきたグライムというジャンルを取り戻すためにワイリーは帰ってきた。この作品は、ガツンとくるパンチライン(「アイツらみんなカエルみたいにバネ脚で飛んでる。だけどさ、なぁ、お前って凡人みたいに前時代的だよな」)の数々と眩いばかりのビートがたくさん詰まったグライム・アルバムの名作である。ただそれだけだ。さらにゾクゾクさせる事実というのが、それが最初からそこにいた男が生み出した名作であるということである。ゴッドファーザー、私たちには拒否できない人物からのオファーだ。
8位 ラナ・デル・レイ『ラスト・フォー・ライフ』
彼女史上最も崇高な楽曲“Love”から始まるラナ・デル・レイのメジャーでの通算4作目となるアルバムで、彼女は馴染みのやり方でドゥーワップやガール・グループ・サウンドにヒップ・ホップやトラップの要素を融合させている。しかし、本作では、闇に堕ちるはずの溝に一筋の光が射し込んでいる。気が遠くなるような“Coachella – Woodstock In My Mind”や重厚な“In My Feelings”など、敬虔な女性の強さをもって軽快に進んでいく。一方で“Beautiful People Beautiful Problems”ではゲストに女教皇とも言えるスティーヴィー・ニックスを迎え、自身がポップ・ミュージック界で最もパワフルな魔女の一員であることを証明している。そして、エイサップ・ロッキーも2曲に登場している。盤石な人選。盤石なアルバムだ。
7位 シザ『コントロール』
シザ待望のデビュー作は、待つ価値のあるものだった。ビヨンセやリアーナへのソングライティングを経験後、トップ・ドウグの一員である彼女は、ソウルフルで、性にポジティヴで、ガールズナイトでも自分のソウルをむき出しにしているんじゃないかと思わせるくらい、とても親しみやすいR&B作品をリリースした。物憂げで瑞々しい“Drew Barrymore”では、「誰かがタコスを手に取る。マリファナに火を点ける。『ナルコス』を1話目から見ましょうよ」と彼女は優しく歌い上げており、目指すべき純粋な恋愛関係がそこにはある。一方で“Prom”では、ミレニアル世代のポップへの深い理解を示している。2018年、彼女から目を離してはいけない。
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6位 J・ハス『コモン・センス』
2015年、J・ハスはギャングが関係する事件で入院していた。2016年には、彼は銃に関する罪で気付いたら鉄格子の中にいた。『コモン・センス』は幸いにも、東ロンドンの住民の近年の奮闘を、ポジティヴで活気に溢れたステートメントに転じさせている。ストリートでの生活における迫り来る影は決して遠いものではないが、カラフルで準備万全なシングル群“Bouff Daddy”や“Spirit”などでは、彼は過去から逃げようとしているように聴こえてくる。
5位 LCDサウンドシステム『アメリカン・ドリーム』
王道のストーリーである。バンドが解散して、5年後に再結成し、金儲けのための無価値な作品ではなく、キャリアを決定づける影響力の大きなアルバムをリリースする。おっと、待って。そんなことは絶対にありえない。あなたがたがLCDサウンドシステムでない限りはね。彼らは今夏、デヴィッド・ボウイへの溢れんばかりの愛とともに、インディ・バンドとしての全身全霊をかけ、4作目となる荘厳なアルバムを世に送り出した。大人のクラブ・レコードである。瞑想的なオープニングとなっている“Oh Baby”から、押しつぶすようなライトなテクノ・ソング“Tonite”に至るまで、これらの楽曲はただ踊るためだけに存在しているわけではない。生きるための、愛するための楽曲なのだ。
4位 ファーザー・ジョン・ミスティ『ピュア・コメディ』
ジョシュア・ティルマンによるファーザー・ジョン・ミスティ名義での3作目となったアルバムは、2017年の温度を慈悲やユーモア、1970年代の偉大なるシンガー・ソングライターたちの優美さをもって捉えている。人生という終わりのない奇妙さにある喜びや悲しみを描いた「ゆりかごから墓場まで」を歌ったアルバムの偉大なるタイトル・トラックで彼は「レディース、僕たちが最終的にこれを後悔しないことを願うよ」と歌っている。『ピュア・コメディ』に後悔の要素などほとんどないにせよ、知性をこれ見よがしに見せながら、アルバムは優しく感動的なものとなっている。
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3位 ケンドリック・ラマー『ダム』
誰かがアルバムのタイトルをすべて大文字で綴っていたとしたら、それは本気だということが分かる。ケンドリック・ラマーが4月に『ダム』をリリースした時、確かな意図があったことには間違いない。4作目のスタジオ・アルバムをもってして、ケンドリック・ラマーは同世代の最も偉大なラッパーとしての王冠を正当に保持してみせた。社会意識や政治意識をもって、そして生粋の言葉遊びの天才として、ケンドリック・ラマーはラップ界の重鎮たちへの敬意も忘れることなく、頭から離れない“HUMBLE.”から、よりレイドバックしたーー同時に同じくらいパワフルなーー“YAH.”に至るまで、すべてを前にすすめている。ゲスト出演のためにリアーナやU2だって足を止める。まさにキング・ケンドリックだ。
2位 ウルフ・アリス『ヴィジョンズ・オブ・ア・ライフ』
ロンドン出身のウルフ・アリスは、本作で2015年の素晴らしい『マイ・ラヴ・イズ・クール』から大きなステップ・アップを成し遂げてみせた。12曲の楽曲たちはグランジ・リヴァイヴァルから霞がかったドリーム・ポップまでを横断し――それでいて、最も優美な楽曲の上でもバンドは牙を剥き、シンガーのエリー・ロウゼルは唸り声と寂しげな溜息を交互に行き来している。脈打つような陰湿なパンク・アンセム“Yuk Foo”で、彼女は狙いを定めて「あなたなんて死ぬほど退屈よ」と唾を吐きかける。これほどまでに抗えないクールで自信に満ちたアルバムには、誰もそんなことは言えないだろう。
1位 ロード『メロドラマ』
ニュージーランドのスターは、圧倒的なセカンド・アルバムの存在意義を4曲目“The Louvre”の控えめなコーラスに要約している:「私の胸にメガフォンをつけて。胸の高鳴りを響かせて、みんなを踊らせるの」。後悔で浸された失恋についてのアルバムは、魔法の杖を振り上げて痛みを純粋なポップ・ミュージックへと変貌させている。ハウスに影響を受けた“Green Light”から、心地いい感情の高ぶりを見せる“Supercut”に至るまで、『メロドラマ』は聴く者に自身の過去を省みる時間を与え、その手を取ってダンスフロアまでいざなってしまうのだ。
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