栄えあるNMEソング・オブ・ザ・イヤー2016のリストをこちらにご紹介しよう。以下のトップ20には、ラップ界のメガスターからグライム・シーンのヒーロー、あの世に旅立ったレジェンドにインディーズの新興勢力まで揃っている。最後のプレイリストではトップ50を試聴することができる。
20位 エンジェル・オルセン “Shut Up Kiss Me”
ミズーリ州出身のこのミュージシャンは、聴く者の心を芯からあたため、骨を震わすような3分間のグランジ・アンセムで、これまで貼られていたフォークというレッテルを剥がし、粉砕して見せた。エンジェル・オルセンは「黙ってキスして、強く抱きしめて」と懇願する。究極に大胆不敵な女の子のように。
19位 ハミルトン・リーサウザー+ロスタム “A 1000 Times”
しわがれ声をしたザ・ウォークメンの元フロントマンであるハミルトン・リーサウザーと、ヴァンパイア・ウィークエンドの元メンバーでバロック・ポップを得意とするプロデュースの名手、ロスタム・バトマングリとが組んだこのユニットは一見あり得ない組み合わせに思えてしまうが、“A 1000 Times”で放つ不朽の魅力を持ったのぼせたような叫び声で、完璧にその疑念を払拭している。スタンダードの本に載っていそうな見かけ騙しでシンプルな楽曲にも思えてしまうかもしれないが、シャッフルでありながらも骨太で、感傷的でありながらもムーディで、猛々しいくらいにロマンティックな楽曲である。
18位 ブロッサムズ “Charlemagne”
揺らめくギターリフにディスコ風のベースライン、そこに恋人への不安を少々加えた“Charlemagne”は、2016年が求めたラジオにおあつらえ向きのインディー・ポップ・ソングだ。曲の幕を開ける「ハロー、ハロー」はすすり泣くようでありながら、同じくらい胸をえぐるものとなっていて、まばゆさに溢れたこのシングルの細部までこだわった最上層を構成している。この曲には多種多様なものが含まれていながらも、そのどれもが素晴らしいのだ。
17位 ドレイク “One Dance”
全英チャートでは15週連続1位を記録、スポティファイでは最も再生された楽曲となり、アメリカにおける売上は180万枚以上。しかしながら、実際のところ“One Dance”はそれほどまでに素晴らしいのだろうか? もちろん、イエスだ。逃れようのないダンスホールのリズムが、ドレイクがこれまでにやったことのない形で耳の奥深くまで入り込んでくる。もちろん、客演したカイラとウィズキッドの貢献は小さくない。
16位 ケイトラナダ “Life Spots”
ガル・コスタが1973年にリリースしたトロピカーナの楽曲“Pontos De Luz”を早回しにした“Lite Spots”は、熱狂的なほど陽気で、目立たないながらもスマッシュ・ヒットしていたのを無視することはできないだろう。傑出した楽曲揃いのアルバムの中でも抜きんでて素晴らしいこのトラックは、カナダ人プロデューサーがメインストリームに華々しく現れたことを告げている。
15位 バスティル “Good Grief”
ダン・スミスとその仲間たちによる復帰シングルは見事なまでに反動的だった。死と向き合うことについての、元気の良いポップ・ソングなのだ。その軽快なハミングはユーモアの欠如を埋め合わせ、セリフのパートは80年代映画のノスタルジアをうまく落とし込んでいる。
14位 トーヴ・ロー “Cool Girl”
スウェーデンを出自とする、セックスにポジティブなダーク・ウェイブ系シンセポップの新星は、途方もなくシックでカジュアルな男女関係の悦びを提示している。「この関係にレッテルは貼らないでいましょうよ。楽しいままでいたいの」とトーヴ・ローは歌い上げる。君が言うならその通りにしよう、トーヴ。今年一番とも言える転調のアレンジもこの曲には含まれている。
13位 ウォーペイント “New Song”
ロサンゼルス出身のプログレ的音楽性で知られる4人組は、“New Song”で純然たるポップスに初めて挑戦し、驚くことにそれが彼女たちに見事にマッチしている。スティーヴィー・ニックスが金曜日にエセックスのナイトクラブでパーティーしているような、気ままで、ちょっぴりひねくれた感じだ。
12位 ザ・1975 “The Sound”
ヒューマン・リーグからABCまで、その他あらゆるダサい80年代のシンセ・バンドを参考にしても、“The Sound”は2016年のサウンドを完璧にとらえ、そのスタイルと優雅で最高のコーラスで
超越してみせる。一度聴いたら頭から離れなくなってしまうが、そんなことは少しも気にならない。
11位 デヴィッド・ボウイ “Lazarus”
“Lazarus”はデヴィッド・ボウイが亡くなる2日前にリリースした、彼からの別れのあいさつだ。「見上げてごらん。僕は天国にいるよ」という衝撃的な囁きの一節で幕を開ける。デヴィッド・ボウイがこの世を去ったいま、この曲はとても上品で、彼のキャリアを通じても最もパワフルな曲の1つとなっている。
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