Tom Oxley/NME

Photo: Tom Oxley/NME

いよいよ現地時間の明日9月15日、今年のマーキュリー・プライズの授賞式が開催される。今回、最終候補に残っているアーティストは、グライム・シーンのベテランであるカノから、実験的なサックスとエレクトロニックのザ・コメット・イズ・カミングまで多彩な顔触れだ。1992年の創設以来、この「最優秀アルバム」に2回以上輝いたのは1人だけだ(PJハーヴェイが2001年と2011年に受賞している)。ただし、時には審査員が甚だしく判断を誤ることもある。ここでは、これまでの受賞作を振り返り、当時の評価を振り返ってみることにしよう。

1992年:プライマル・スクリーム『スクリーマデリカ』

1
「『スクリーマデリカ』はこの時代の最も美しい、途方もない音楽的冒険の1つだ」


1993年:スウェード『スウェード』

2
「スウェードとは、このバンドの遺伝子に潜むあらゆる才能とちょっとした策略とを結びつけることで、不当な扱いを受けているアウトサイダーたちが9時から5時までの単調でつまらない仕事をどうにかやり過ごすことができるという、長年にわたって愛されてきた伝統の一部なのだ」


1994年:Mピープル『エレガント・スラミング』

3
このアルバムに対する当時のレヴューはない。しかし、2010年に我々は、Mピープルが1994年にマーキュリー・プライズを受賞したことについて以下のようにコメントしている。「この夜の終わりにMピープルが2万ポンド(約270万円)の賞金を持って帰ったのは大きな驚きだった。よくないほうのね!」


1995年:ポーティスヘッド『ダミー』

4
「凶暴なまでに実験的な性質の、アヴァンギャルドな月面風景が見える。つまり、最高に気味の悪い傑作だ」


1996年:パルプ『ディファレント・クラス』

5
「『ツイン・ピークス』が超絶な人気だった頃にみんなが話題にした『アメリカの田舎町の暗部』のことを覚えているだろうか? ジャーヴィス・コッカー率いるパルプは、同様のことをイギリスに置き換えて楽しんでいる」


1997年:ロニ・サイズ=レプラゼント 『ニュー・フォームス』

6
「バハマディアのヴォーカルは色気たっぷりだが、液体になって強力なフェロモンのプールになるほどではない」


1998年:ゴメス『ブリング・イット・オン』

7
「そこには、痛みも、ユーモアも、英知も、喜びもない。自分のエレキ・ギターで終わりなき自慰行為にふける以外はね」


1999年:タルヴィン・シン『OK』

8
評価なし。『OK』がマーキュリー・プライズを受賞した時、10対1のオッズで見込みなしと見られていた。当然のことながら、NMEからのコメントもない。


2000年:バッドリー・ドローン・ボーイ『ザ・アワー・オブ・ビウィルダービースト』

9
「このデビュー作が、新しい本物の声をまとめた最初の記念碑であり、創造的な内奥からの爆発であるのなら、バッドリー・ドラウン・ボーイの次の作品が何であれ、偉大さを丸々抱えこんだ作品になるだろう」


2001年:PJハーヴェイ『ストーリーズ・フロム・ザ・シティ、ストーリーズ・フロム・ザ・シー』

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「20年か30年前のニューヨークのサウンドにどっぷり浸かったアルバムを作ることで、PJハーヴェイが責任を放棄したとかなんとか理屈をこねることもできるだろう。だが、ロックがこれほどまでに生き生きと、喜びいっぱいに愛と性と生活について歌う前では、すべての議論はまったく無意味だ」


2002年:ミズ・ダイナマイト『ア・リトル・ディーパー』

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「ナオミ・デイリーはスターになるだろう。しかし、その途中で『裏切りだ』と主張する多くのUKガラージの連中をやり過ごす羽目になるかもしれない。ナオミ・デイリーは彼らの話をよく聞いた方がいい。何故ならこのデビュー作は期待外れだからだ」


2003年:ディジー・ラスカル『ボーイ・イン・ダ・コーナー』

12
「こんなに激烈で、未知で、異国情緒あふれるヒップホップ・サウンドは今まで聴いたことがないだろう。いや、違う。これこそ英国のヒップホップ・サウンドだ」

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