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Photo: ©SUMMER SONIC All Rights Reserved
フジロックフェスティバルに引き続き、NME Japanでは今年のサマーソニックのベスト・アクトを選んでみました。フジロックフェスティバル同様、すべてのステージ、すべてのアクトを観ることができたわけではありません。あくまで独断で、編集部で観たいと思ったアーティストのなかから、議論を重ねて、このランキングを作成してみました。みなさんのベスト・アクトとぜひ較べてみてください。
20位 アット・ザ・ドライヴイン(8/20 SONIC STAGE)
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今年1月に新曲のリリースとワールドツアーを発表し、本格的な活動再開が期待されている中、3月下旬からのツアー開始直前にオリジナル・メンバーのジム・ワードが脱退。ジムと一緒にスパルタで活動していたキーリーが加入し、ツアーをこなしてきた5人の新生アット・ザ・ドライヴインで来日を果たした。“Arcarsenal”から始まったステージは『リレイションシップ・オブ・コマンド』の楽曲を中心としたものだったが、あのアルバムの楽曲を丁寧に再現するというよりも、今のテンションでどんな音楽的な爆発力を引き起こせるのか、絶えず試しているようなステージだった。新作のレコーディング状況を報告するとともに、再来日を約束して唯一無二のカリスマバンドは強烈な印象を残して去っていった。
19位 ブロッサムズ(8/21 東京 SONIC STAGE)
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Photo: ©SUMMER SONIC All Rights Reserved
デビュー作が全英初登場1位を獲得した直後という最高のタイミングでのサマソニ出演となったブロッサムズ、最前列には御手製のメンバーのお面を手にしたファンも。期待値があまりに高かっただけに、いくぶんおとなしい印象も受けたが、デビュー作までに書きためてきたシングルはいずれも素晴らしい。キーボードを巧に活かしたソングライティングで、“Getaway”や“At Most A Kiss”など、UKロックでしか生み出せない至福の時間を生み出していく。ソングライティングに自信があるからだろう、後半では“My Favourite Room”のような、しっとりとしたバラードも聴かせてくれる。最後はもちろん、目下最大のヒット曲“Charlemagne”でそのステージを締めくくっていた。
18位 スウェード(8/21 東京 SONIC STAGE)
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Photo: ©SUMMER SONIC All Rights Reserved
レディオヘッドのほぼ真裏ということもあり、決して観客の数は多いとは言えなかった。しかし、‟Sabotage”で幕を開けたステージは、2曲目でいきなりBサイドの‟Killing Of A Flashboy”が投下され、続いて“Trash”に“Animal Nitrate”と前半から惜しみなく名曲が披露されていく。そして、何度もステージから降りて、観客を煽動するブレット・アンダーソンの熱くも美しいパフォーマンス。この場所を選んだオーディエンスを最大限、彼らは祝福してみせる。楽曲ごとにアートワークが表示されるという演出も彼らの唯一無二のキャリアと美学を反映したものになっていた。最後は‟So Young”、‟Metal Mickey”、‟Beautiful Ones”という鉄板の流れで締めくくってみせた。
17位 ディアハンター(8/20 東京 RAINBOW STAGE)
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Photo: Tadamasa Iguchi/PRESS
バンド・メンバーがセットにつくなか、全身白の一張羅に身を包んだブラッドフォード・コックスが颯爽とステージに登場する。近年のディアハンターのライヴはどんどんと外向きになっている印象があるが、それを象徴するような光景だ。最新作からの“Breaker”や名作『ハルシオン・ダイジェスト』からの“Revival”など新旧の楽曲を織り交ぜたステージだが、過去最大編成のバンドもあって、そのサウンドの完成度が高い。そして、その上で自由に、フリーキーにブラッドフォード・コックスは自らのエモーションを解き放っていく。終盤はロケット・プントがヴォーカルを務めた“Desire Lines”も披露され、最後は最新作からの“Snakeskin”で大団円のジャムへ。バンドのキャリアと現在地、その両方を見事に体現したステージだった。
16位 ラット・ボーイ(8/20 東京 MOUNTAIN STAGE)
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Photo: ©SUMMER SONIC All Rights Reserved
マウンテン・ステージにサイレンの音が鳴り響くが、なかなかメンバーが出てこない。この時点で実にらしくて笑みがこぼれる。そして、ゾンビ?のマスクを被ってステージに登場。ドラマーがマスクを脱ぐのを忘れて、フロントマンのジョーダンが外しに行くという一幕も。この時点でしっちゃかめっちゃかな様相に呆気に取られた人もいたかもしれない。ラップとパンクがごちゃ混ぜの音楽性も含めて、ラット・ボーイはブッ壊れたロック・バンドというコンセプトを体現してみせる。その後もメンバーがジョーダンに蹴りをかます一幕があったりと、1曲目の“Move”から必死に観客にジャンプを求めていた“Fake ID”、そして、終演後のクラウドサーフィンまで、やりたい放題だった。
15位 ジェイムス・ベイ(8/21 東京 SONIC STAGE)
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Photo: ©SUMMER SONIC All Rights Reserved
激しいロックンロール・ジャムから“Collide”に突入して始まったステージ、“Craving”を挟んで、“When We Were On Fire”では観客に手を挙げるように求めて、自然とハンドクラップが巻き起こる。楽曲に合わせて、ギブソンのセミアコ、12弦アコースティック、SGとギターを持ち替えて、デビュー作の楽曲を端正に披露していく。“If You Ever Want to Be in Love”ではシンガロングを求め、もちろん“Let It Go”は大歓声で迎えられる。そして、最後に演奏されたのは、これをやらないわけにはいかない“Hold Back The River”。グラミーのノミネートをはじめ正統派のイメージがある彼だが、そうした観客の期待を珠玉の楽曲で正面から受け止めてみせるようなステージだった。
14位 マーク・ロンソン(8/21 東京 MOUNTAIN STAGE)
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Photo: ©SUMMER SONIC All Rights Reserved
こちらもレディオヘッドの裏で観客が多いとは言えなかった。しかし、実に彼らしい知性に溢れたパフォーマンスだった。自身の“Feel Right”から始まったプレイ、要所要所で「モットコエダシテ!」と観客を鼓舞し、序盤はカニエ・ウェストなんかも織り交ぜながらフロアを盛り上げていく。そしてジェームス・ブラウンやパーラメントといった流れから“Uptown Funk”がプレイされる頃にはすっかり彼のペースに。レディオヘッドの“Just”も投入するという粋な展開も見せつけ、前のアクトがジャクソンズだったことを踏まえたジャクソン・ファイヴの”I Want You Back”ではフロアがハンドクラップ一色に。最後を飾ったのはエイミー・ワインハウスの‟Valerie”。彼のキャリアを象徴する楽曲でステージを締めくくっていた。
13位 オフスプリング(8/20 東京 MOUNTAIN STAGE)
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Photo: ©SUMMER SONIC All Rights Reserved
会場でもオフスプリングのTシャツを数多く見かけたが、そうしたステージに集まったオーディエンスの期待に完全に応えるライヴだった。デクスターとヌードルズがジャケット姿で登場した時は少し貫禄を感じたが、楽曲の爆発力とやんちゃさは変わらない。序盤から“Come Out And Play”が披露され、“Original Prankster”や“Hit That”といった中盤を挟み、セットリストの後半はキラーチューンの嵐。日本ということで“One Fine Day”もしっかり演奏してくれ、本編は“Pretty Fly”と“Want You Bad”で締めくくられ、アンコールでは“Americana”と“The Kids Aren’t Alright”というシリアスな楽曲が披露されるという完璧な流れだった。
12位 アニマル・コレクティヴ(8/21 東京 SONIC STAGE)
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Photo: Kazumichi Kokei/PRESS
目がちらつくようなサイケデリックなカラーリングに、3体のトーテムポール、前方に電子機材と3人のメンバー、そして後方中央にサポート・ドラマーという構図でライヴは始まった。真っ暗なフロアに、パーカッシヴなリズムと緩やかに波打つ電子音が注ぎ込まれ、時折エイヴィー・テアが原始的とさえ言える雄叫びを上げる。そう、アルバムのコンセプトによってライヴの様相もガラリと変わるアニコレだが、その本能的なサウンドこそが今回のライヴの肝だった。最新作『ペインティング・ウィズ』の楽曲を中心に“Loch Raven”や“Bees”といった『フィールズ』の楽曲も披露され、そのオーガニックなサウンドは最後の“FloriDada”でハイライトを迎えていた。
11位 ウィーザー(8/20 東京 MARINE STAGE)
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Photo: ©SUMMER SONIC All Rights Reserved
各アルバムからかいつまむようなセットリスト、そして “Dope Nose” から“Surf Wax America”までの怒涛のメドレーなど、多くの曲でウィーザーとファンのこれまでの歩みを思い出そうというような、バンドの粋な計らいが感じられた。さらに、リヴァース・クオモの愛娘が“Perfect Situation”と“Thank God for Girls”のイントロにてキーボードで特別出演を果たし、スコット・マーフィーとの“California”のカヴァーというサプライズも用意。少しスタジアムの音響が悪かったのが残念だったが、ノイジーで美しいギターの音がスタジアムの午後の空に充満し、天気雨の下、“Say It Ain’t So”を聴くなんていう奇跡のような瞬間も生まれていた。
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