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レディオヘッドは先月、9年ぶりにパリで“Creep”を演奏した。そして、今月、バルセロナで開催されたプリマヴェーラ・サウンドでも“Creep”を披露している。この曲に対するバンドのアレルギーを考えれば、これがどれだけ大盤振る舞いであるかが分かるだろう。今回は、9作目のスタジオ・アルバム『ア・ムーン・シェイプト・プール』のリリースを受けて高まっているレディオヘッドへの熱狂に油を注ぐため、1992年のヒット曲“Creep”に関するあまり知られていない9つの事実をご紹介しよう。

9. “My Iron Lung”


“Creep”の人気が急上昇した時同曲について閉鎖的になったことで知られるレディオヘッドは、プライベートではこの曲を“Crap”(クソ)と改名して、密かに反抗を始めた。公の場では、より分かりにくい形で否定的態度を取っている。アルバム『ザ・ベンズ』の素晴らしい先行シングル“My Iron Lung”は、“Creep”の商業的成功に対する賛辞でもあり、皮肉でもあった。「We are grateful for our iron lung(俺たちに鉄の肺があって感謝するよ)」といった歌詞は、辛辣な冷笑と共にこの曲を見下しており、“Creep”を「生命維持装置」と呼んだトム・ヨークの本当の気持ちを垣間見ることができる。

8. 殺人鬼のファン


“Creep”がポップ・カルチャー全体にわたって存在感を示すようになったことで、僅かながら歓迎できない注目まで集めるようになり、なんとイギリスの殺人鬼からも注目されてしまった。その人物は、この曲の登場人物を自分と同一視していると綴った、まさに“creepy”(気味悪い)な手紙を獄中から送ってきたとトム・ヨークは説明している。「彼は『俺はあの曲の変人だ。俺はコイツを殺した。あいつらがそうさせたんだ。俺のせいじゃない、頭の中の声がそうさせた』って書いていた。俺は、誰かが自分の墓の上を歩いているような気持ちになったよ」

7. 身のすくむようなカヴァー


“Creep”がアメリカへ飛び立った時にレディオヘッドが得た、突然の名声の最も悲惨な副産物がこちらだ。彼らに対しては、ジョン・ボン・ジョヴィやアーノルド・シュワルツェネッガーらアメリカの大物セレブが支持を表明しただけでなく、コーンやパール・ジャムを初めとした数多くのアーティストが、この曲にアレンジを効かせ過ぎたカヴァーをしている。ポップ・ソングは不可侵だとは言わないが、しかし同時に、モービーの右肩上がりのストリングスとDJのスクラッチによって、原曲の持っていたオタク度を更に増大させたこのカヴァーは誰も求めていないだろう。

6. イスラエル

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UKでリリースされた当初、“Creep”にはほとんど反響がなかった(再リリース時にはチャートの7位にランクインしている)。しかし、思ってもみないことにある中東のマーケットがこの疎外されたアンセムに夢中になったのだ。軍隊向けラジオで何度も流されたことで、イスラエルのファンたちはこの曲が大のお気に入りになり、バンドがプロモーションのために同国を訪れた際には、ファンがメンバーをもみくちゃにして、トム・ヨークは髪の毛をむしり取られている。

5. ザ・ホリーズ


目ざといレコード・コレクターの間では、“Creep”は、ザ・ホリーズの1973年発表の楽曲“The Air that I Breathe”によく似ていると長い間密かに言われてきた。最終的には、この曲の作曲者であるアルバート・ハモンドとマイク・ヘイゼルウッドがそれに気付き、レディオヘッドを著作権侵害で訴えている。その結果、『パブロ・ハニー』のブックレットには“Creep”の共作者としてアルバート・ハモンドとマイク・ヘイゼルウッドの名前が記されており、この2人は著作権収入の一部を受け取っている。

4. 「ビーバス&バット・ヘッド」の広告


アメリカで『パブロ・ハニー』のプロモーションに苦戦したキャピトルは、若者の間で人気のあったおバカアニメ「ビーバス&バット・ヘッド」を利用することにした。アルバムに対する広告には次のように記載されていた。「レディオヘッド――バット・ヘッドよりイイね! イングランドのオックスフォード出身の超騒々しいニュー・バンドだ。フムフム、音楽はそんなに悪くないな。自己嫌悪のアンセム“Creep”を引っ提げてやってきたぞ」(※映像は“Fake Plastic Tree”のもの)

3. スコット・ウォーカー


アメリカ人プロデューサーのショーン・スレイドとポール・Q・コルデリーの下、レディオヘッドが『パブロ・ハニー』を初めてセッションした時、途中まではあまり成果が得られなかった。しかし、トム・ヨークが彼ら流の「スコット・ウォーカーの曲」を演奏するとつぶやくと、息を飲むような“Creep”を演奏し始めた。混乱したプロデューサー陣は、このカルト的人気のあったバラード歌手のレパートリーから、何かしらの曲をカヴァーしたのだと推測した。次のセッションの時に、士気を高めるため「あのスコット・ウォーカーのカヴァーをやってみれば?」と提案するまで、彼らは自分たちの間違いに気づかなかった。つい先日もレディオヘッドはサウンドチェックでスコット・ウォーカーをカヴァーしている。

2. “Motion Picture Soundtrack”


“Motion Picture Soundtrack”は2000年まで日の目を浴びなかったが、製作されたのはそれより8年前で、それは“Creep”と同じ日だった。“Creep”とは違い、ロックの4つのコードにこだわったこの悲しげな曲は、ブートレグ盤として表に出たものから、オルガンが先導する『キッドA』収録バージョンまで、何度もリライトが加えられた。

1. ジョニー秘蔵の武器


ジョニー・グリーンウッドの都市伝説として、型にはまった曲に感心しなかった彼は、妨害工作として、あの有名なコーラス前のギターをかき鳴らす音を入れたと言われている。これよりもっと信ぴょう性がある話としては、内省的なアウトロを気に入らなかったプロデューサーのショーン・スレイドとポール・Q・コルデリーは、スタジオの休憩時間に誰かがジャズ・ピアノを弾いて遊んでいたのを聴いた。その犯人がジョニーだと気付いた彼らは、何か派手なロック・ピアノで“Creep”を締めくくってほしいとすぐさま彼を説得した。彼はその依頼を喜んで引き受けたという。

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