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トム・ヨーク率いるレディオヘッドはニュー・アルバムのリリース直前だ。そして、これを引っさげてツアーに出る。フェスに参加する日程は発表されており、単独公演は規模の大きいツアーではない。アムステルダムから始まりメキシコ・シティまで、パリ、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルス経由で6都市をめぐる。もっとも、各会場で2回以上の公演がある。5月に行われる3,300人収容のロンドンのラウンドハウスでのライヴを前に、我々の感性を研ぎ澄まし、今までのレディオヘッドの最高だったツアーを思い出してみよう。

彼らがスーパースターとなった時

1997年発表の金字塔『OKコンピューター』はリリースと同時にレディオヘッドをスーパースターにすることとなった。これに続くツアーはドキュメンタリー『ミーティング・ピープル・イズ・イージー』に収録されているが、これを観ると、当時、急激な人気爆発によるプレッシャーと格闘していた彼らがダウン寸前だったことがわかる。だが、ライヴそれ自体は焼け付くような当時の空気そのままに、観る者の潜在的欲求を満たしてくれるものだった。この最高のアルバムのおかげで、世界中の会場のチケットが瞬く間に売り切れることとなった。レディオヘッドは当時、観なくてはならないバンドだったのだ。それはニューヨークのアーヴィン・プラザでの、バカバカしいほどに90年代なゲストリストを見ても明らかだ。マドンナ、U2(と18組のゲスト)、ブラッド・ピット、エディ・ヴェダー、ビースティ・ボーイズ、ブラー、そこへオアシスと来て、さらにリック・ルービン、ケイト・モス、マリリン・マンソン(と17組のゲスト。こちらはU2よりちょっと重要度が劣ると思われていたようだ)といった具合だ。

彼らが観客に集まれ!と声をかけた時

レディオヘッドは2000年、ロンドンのヴィクトリア・パークでの巨大なトップ・テントでの3日間のライヴを経て、『キッド A』ツアーへと漕ぎ出していった。ライヴのポスターは、チケット同様、ヴィクトリア朝スタイルに似せて作られた。アルバム『キッド A』は、その時まだリリースされていなかったが、彼らはこのアルバムから2曲を除いて全曲を演奏したのだ。だから、セットリストはリリースされていない曲とファンのお気に入りの曲が半々だった。つまり彼らは“Just”のような極めつけのカッコイイ曲を、“Everything In Its Right Place”のような静謐で複雑な曲の直前に演奏したのだ。8,000人の観客を新しい曲に優しく馴染ませるのにこんな方法があったとは。

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彼らがこんな理由でツアーを始めた時

2006年、レディオヘッドにはプロモートするニュー・アルバムがなかった。実は、彼らは『イン・レインボウズ』を制作中だったのだが、出来上がるのにどれくらいかかるのか焦燥感を募らせていた。だから、彼らはツアーに出て、いくつかの曲を作り続けた。結果として、この夏のツアー中、テネシー州のボナルー・フェスティバルで彼らは28曲を演奏したのだ。この日のライヴは、その後ファンの間では伝説となったステージで、バンドもお気に入りのライヴだと語っている。6年後、このショウの映像がインターネットにアップされると、その評価は不動のものとなった。レディオヘッドはここで、まだリリースされていない『イン・レインボウズ』から多数の曲を演奏しているが(“15 Step”、“House of Cards”、“Weird Fishes – Arpegg”など)、大成功を収め、その後のアルバムのダウンロード販売は前代未聞の価格一任制とされ、ファンは価格を自由に決定することができた。ちょっと待てよ、何だって?

彼らが地球を第一に考えた時

レディオヘッドの2008年のツアーは称賛に値するものとなった。できうる限りエコ・フレンドリーであろうとし、二酸化炭素の排出を減らし、どんな場合でも可能ならリサイクル製品を使う試みだった。サポート・アクトのライアーズが明かしたところによれば、彼らは再利用可能なボトルを飲料用に与えられたという。使い捨てのカップは環境に良くないという配慮だった。さらに、ツアーのトラックとバスはバイオ燃料で走った。レディオヘッドは航空貨物便も使わず、観客がまとまって移動できるよう、可能な限り公共交通機関の近くの会場でライヴを行った。ライアーズはブログに次のように投稿している。「恐れに満たされ、不誠実で熟しきった世界で、レディオヘッドに出会えて本当に心が休まった。彼らは真実と、美と、地球に対する責任感の実践者さ」。まさにね!

彼らのアリーナ・ツアーが最高に異様だった時

「黙ってヒット曲をやれ」、これはレディオヘッドのファンの語彙にはない言葉だ。2012年、『キング・オブ・リムス』のプロモーションで、彼らはロンドンのO2アリーナ(それとマンチェスター・イヴニング・ニュース・アリーナ)を巨石群のある洞窟みたいにしてしまった。コマーシャリズムへの妥協はなく、バンドは1990年代のヒット曲を演奏しなかった。確かに、“Karma Police”は演奏したが、その後すぐに実に気味の悪いインストゥルメンタルの“Feral”が来る。セットではビデオ・スクリーンが所狭しと並び、照明を浴びていた。あまりにも異様な光景に固まってしまった20,000人を超える観客は、スマホで撮影することを忘れ、ステージに見入っていた。最近ではかなり珍しいことだよね? でもこれがレディオヘッドだ。いつでも期待をいい意味で裏切ってくれる。

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