GETTY

Photo: GETTY

1984年の夏、『パープル・レイン』のサウンドトラック及びアルバムが全米アルバム・チャートの1位を獲得し、長期にわたってその座に留まり続けた。映画は1ヶ月後に公開され、瞬く間にカルトの名作となり、プリンス・ファンなら必見の映画となった。サウンドトラックの中心となったのは、もちろん、タイトルにもなっている曲である”Purple Rain”だ。じわじわと燃えていくような8分間、猛烈にエモ―ショナルな喜び。今回は、そんなとんでもない三部作について、あなたが知らないかもしれない20の事柄を紹介しよう。

1. 名曲“Purple Rain”の歌詞

プリンスは、”Purple Rain”の歌詞を最初はスティーヴィー・ニックスに依頼していたという。「すごく圧倒されたわ、10分の曲なんて……その曲を聴いて、自信がなくなっちゃったの」と彼女は語っている。「彼に電話をして、こう言ったの。『私にはできないわ。できたらいいとは思うけど。私の手には負えないもの』」そういうわけで、プリンスは自分の思う通りに作り上げ、”Purple Rain”が誕生した。

2. “Purple Rain”の元々の長さ

もともと”Purple Rain”は、11分間というとんでもない長さだった。ヴァースとコーラスを削ったのは、金をテーマにした歌詞が不適切と判断したためだというのは明らかだろう。元の歌詞は以下の通り。

ハニー、僕は君のお金はいらないよ、いらないんだ。
君の愛が欲しいとも思ってない。
もし、どちらか一つを望むなら、僕は君の金を取るだろうね
僕は重さがある物が欲しいんだ。

3. “Purple Rain”のレコーディング

この曲は、1983年8月3日にミネアポリスのナイトクラブ「ファースト・ アベニュー」で行われた「ミネソタ・ダンス・シアター」のためのチャリティー・コンサートの間にレコーディングされた。この時にウェンディ&リサのウェンディ(実はこの曲のイントロを書いている)がザ・レヴォリューションの一員として初めてこの曲を披露した。悪くないデビューだと言っておこう。

4. 自ら盗作を疑う

プリンスは、この曲がジャーニーの曲である”Faithfully”とに過ぎているように聞こえるのではないかと、ひどく心配していたので、ジョナサン・ケインに電話をして彼にどう思うかとたずねた。ジョナサン・ケインのOKが出たのは、このパワフルなバラードの中で似ているのは2、3コーラスだけだったからだ。今となってジョナサン・ケインはきっと後悔している方に賭ける。

5. 映画の収支

映画は68,392,977 ドル(約75億6016万円)というとんでもない収益を上げたが、制作費はたったの700万ドル(約7億774万円)だった。

6. ”Purple Rain”のストーリー

”Purple Rain”のそれぞれのヴァースは、映画の主人公であるキッドの人生に登場する、彼の両親、アポロニア、そして彼のバンド・メイトといった人々について歌っている。

7. 映画のアポロニア役について

主役の女性はプリンスのガールフレンドのヴァニティがやるはずだったが、撮影直前にプリンスと別れてしまった。ジェニファー・ビールス(『フラッシュダンス』)がこの役を断った後、アポロニアが採用された。彼女もまたとても可愛いかった。

8. アカデミー賞を受賞

”Purple Rain”は、1984年のアカデミー賞で今はなきカテゴリーになってしまった「ベスト・オリジナル・ソング・スコア」を受賞している。

9. ”Purple Rain”の最高位

『パープル・レイン』のサウンドトラック及びアルバムは、ビルボード・チャートで24週も1位に留まったが、タイトル・トラックの”Purple Rain”は2位にしかなれなかった。

10. 問題となった歌詞

サウンドトラックの中の一曲である”Darling Nikki”は、PMRCを立ち上げたティッパー・ゴアが子供の耳にはあまりにきわどいと決めつけたことで、外交問題を引き起こすこととなった。「セックス中毒者が……雑誌でマスタベーションしてる」という歌詞が原因でペアレンタル・アドバイザリーのステッカーを貼られることになった。

11. プリンスが語る『パープル・レイン』

ファンは、何十年もの間「パープル・レイン」の意味を解こうと努力し続けている。80年代半ばにプリンスが興味を抱いたテーマである世界の終わりのことだと信じる者もいる。以下のプリンスの発言が世の終末が彼の頭から離れていないことを示している。

空が血で染まると、赤と青=紫……紫の雨は世界の終わりにふさわしく、愛する者と共に信じよう、紫の雨の中を神が導いてくれることを

12. 持ち歩いていたノート

プリンスは『パープル・レイン』の一つ前のアルバム『1999』のツアーの間、スケッチやメモ書きや台本のアイディアを書き留めておく大きな紫のノートを持ち歩いていた。それを電車に置き忘れた時のことを想像してみてほしい。

13. 映画試写会の珍事

噂によると、モーリス・デイ(まず間違いなく、この映画のスターだ)は、映画のプレミア試写会に招待されなかったという。彼はチケットを手に入れるために、94イーストというファンク・グループの初期メンバーであり、プリンスの従姉妹と結婚したペペ・ウィリーに頼るほかなかった。おやまあ。

14. 用意された楽曲数

監督のアルバート・マグノーリによると、プリンスは映画用に100曲というかなりの手持ちの曲があったといい、”When Doves Cry”と”Take Me With U” はもともとの候補には入っていなかった。なんという天才なんだ。

15. 映画のタイトル

脚本家のウィリアム・ブリンは、この映画を『ドリームズ』というタイトルにしたかったのだが、プリンスは映画のタイトルに「パープル」を入れることを譲らなかった。神よ、ありがとう。

16. 最悪の”Purple Rain”のカヴァー

フランクフルトのサッカーチームが、最近、史上最悪の”Purple Rain”のカヴァーをレコーディングしている。

17. ”Purple Rain”で使ったギター

ギター・オタクは注目。長年のプリンス・ファンであるショパン・ガードによると、プリンスは「ファースト・アベニュー」のライヴでホーナーのマッドキャットを弾いていたという。これはフェンダーのテレキャスターの安いもののコピー製品で、彼はミネアポリスの地元のKnut Koupeというギター・ショップで200ドル(約22,176円)で買ったらしい。フェンダーは、製造権のために訴えを起こし、再発売している。

18. ウェンディ&リサ

当時は報じられなかったが、ウェンディ・メルヴォインとリサ・コールマンは『パープル・レイン』の時に交際を始め、以後20年間付き合っていたという。

19. アルバムは何の象徴?

バンド・メンバーのウェンディ・メルヴォインによれば、アルバムは「新たな始まり。紫、夜明けの空:雨、浄化の要因」を象徴したものだという。

20. 逆回転再生

“Darling Nikki”の最後に登場する奇妙なディストーションのかかった声は逆回転再生させると次のように言っているという。「Hello, how are you? I’m fine ‘cause I know that the Lord is coming soon Coming, coming soon.(こんにちわ、元気? 僕は元気だよ。だって、わが主がまもなくやってくるのを知ってるんだ。来るよ、すぐにね)」

広告 ザ・ビートルズの新作ドキュメンタリー『ビートルズ ’64』がディズニープラスで11月29日(金)より独占配信!

Copyright © 2024 NME Networks Media Limited. NME is a registered trademark of NME Networks Media Limited being used under licence.

関連タグ