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原地時間4月6日より、ロンドンにある現代美術館サーチ・ギャラリーに置いて、ザ・ローリング・ストーンズの大回顧展が開催される。今回は、先行内覧会で見てきた、知っておくべき項目を紹介していく(ここで紹介する項目には、たくさんネタバレが含まれていることは、お伝えしておこう)。

デヴィッド・ボウイの回顧展『デヴィッド・ボウイ・イズ』を踏襲

今回の回顧展は、2013年にヴィクトリア・アンド・アルバート博物館で開催され、カナダ、ブラジル、ドイツ、アメリカ、フランス、オーストラリア、オランダと回って、大観衆を集めたデヴィッド・ボウイの回顧展『デヴィッド・ボウイ・イズ』を彷彿とさせるところがある。展示品は似たような物でまとめられていて、『デヴィッド・ボウイ・イズ』も高い基準の品を展示していたのに対して、ザ・ローリング・ストーンズはその基準を超えようとしてきた。足りない物といえば、個人的な品々だ。デヴィッド・ボウイは私物も展示品に加えていたが、ザ・ローリング・ストーンズの展示では、メンバーのプライベートな生活がほんの少し明かされているだけだ。この点は小さな不満だ。とはいえ、ザ・ローリング・ストーンズ・ファンにとっては、念願の夢が叶った回顧展である。

キース・リチャーズが書き続けた超細かすぎる日記

キース・リチャーズが若かりし頃に綴った日記のファクシミリが展示されている。細部までこだわる彼の几帳面さがものすごく細かい字で綴られている。あるライヴには612人の観客が見に来たことまで書かれている一方、同時期のバンドの練習については「これまで見た中でも最高のリハーサル」と書いている。

ミュージシャンにとってオタクを極めるための大量の品々

ブライアン・ジョーンズの66年型ヴォックス・ダルシマー、ビル・ワイマンのヴォックスのアンプ、キース・リチャーズのハーモニー・メテオ、ジョニー・デップがロニー・ウッドに贈ったリッケンバッカー……こっそりハンバーガーを持ち込めば、そこは世界一のハード・ロック・カフェに。

彼らから民泊したくなくなるはず

この回顧展には、1962年からミック・ジャガー、ブライアン・ジョーンズとキース・リチャーズが共同生活をしていたエディス・グローブの再現部屋もある。ビールの空き瓶があちこちに転がっていて、灰皿は山盛り、牛乳瓶にはカビが生えていて、ベッドの下にはプレイボーイが仕舞い込まれている。その中でも誇れる展示品は『ニュー ・ミュージカル・エクスプレス』誌の1962年7月号だ。キース・リチャーズの母親は、いつも洗濯した洋服を彼のところに持っていっていたという。「実際は悪い場所なんかじゃなかった」というミック・ジャガーの言葉が壁に書かれている。「ここでドンチャン騒ぎをしてたんだ」

アンディ・ウォーホル・ファンへのおもてなし

バンドが60年代に制作したリトグラフも展示されている。例えば、アンディ・ウォーホルが手がけたアルバム『スティッキー・フィンガーズ』の本物のジッパー付きオリジナル・ジャケットがそうだ。ミック・ジャガーは、この時の共同作業は「芸術的創作」であるが、アンディ・ウォーホルは「金儲けしたがった奴」と語り、相手への称賛を端的に説明している。他にも、漫画家のラルフ・ステッドマンや写真家のゲレッド・マンコヴィッツの作品も展示されている。

手書きの歌詞をじっくりと見つめることが可能に

そのなかには“Miss You”のミックによる手書きの歌詞もあり、「Waiting on a call/My friends all drop around/Say why don’t we boogie down/Hey what’s with you?(電話を待っている/僕の友達がみんな顔を出す/なんで繰り出さないんだ/なんかあったの?と言ってくる)」という一節を削除していることが分かる

一つの大きな疑問にはいまだ答えぬまま

ストーンズのベロマークのロゴはミック・ジャガーがモデルなのだろうか? デザインしたジョン・パッシュも定かでないという。「最初は違ったと言わなければならないね。でも、無意識によるものかもしれないんだ」と、象徴的なデザインが展示された部屋には掲示されている。ミックはロゴを重要なものとして受け止めている。「僕らは完璧な舌を見つけたんだ」という言葉が掲示されている。

ミックとチャーリー・ワッツは半分飛行機で半分鷹の合体物を昔デザインしている

といっても、アメリカのツアー・ポスターのためだけだったのだが。この二人のスケッチはバンドのレコード・ジャケットやポスターが展示されている部屋に展示されている。

膨張式の犬をつるす以外にもその方法はたくさん

スケッチや模型、イメージ画は、1997年から1998年に行われた『ブリッジズ・トゥ・バビロン』ツアーでのステージを囲む女神の彫像から、1990年の「アーバン・ジャングル」ツアーの膨張式の犬までザ・ローリング・ストーンズのライヴがいかに演出を革新してきたかを示してくれる。

ストーンズのメンバーは誰しもクレイジーな服を着る才能があるが、ミック・ジャガーを上回ることはなかった

展示には驚くほど勢揃いした衣装もあり、マネージャーのアンドリュー・ルーグ・オールダムがスーツを着せようとしていた初期の頃から、シャープなキングス・ロード時代、けばけばしい70年代や80年代のステージ衣装、最近のツアーのきらびやかな仕立て服や海賊風の装いまでが揃っている。これが証明するのはミックの衣装が最も過激だったということで、1969年の白のミスター・フィッシュによるシャツ・ドレスや、UKやUSツアーでのケープとタイツとクロックトップの組み合わせ、オジー・クラークによる衣装などは、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』の悪役が着てるもののように見える。

彼らはインテリ風の偽名を持っている

様々な種類の収集品を集めた部屋の書類にはバンド・メンバーがホテルで使う詩的な偽名のリストなんてものものある。ミックはバイロンで、キースはシェリー、チャーリ―・ワッツはグレイで、ビル・ワイマンはイェイツだそうだ。

ひょっとするとアート・ギャラリーで実現した最大の大音量かも

展覧会は2013年7月にロンドンのハイド・パークで演奏した“(I Can’t Get No) Satisfaction”の3D映像で大団円を迎える。これはもしかしたらあなたに耳鳴りを引き起こすかもしれない。

当然のことながら巨大なグッズ・ショップも併設

あなたの生活にはザ・ローリング・ストーンズのヘッドフォンのためのスペースはある? 食器は? パジャマは? さあクレジット・カードを手にとって。この展覧会が、ストーンズがバンドであるのと同じくらいビジネスであり、ロゴさえ貼れば売る価値があると長く信じてきた何よりの証拠だとしたら、最後に待ち受けているのはグッズ・ショップである。

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