Photo: Linda McCartney

ウイングスの扉をポール・マッカートニーが正面から開いた。そんな映像作品が届いた。

ポール・マッカートニーの新たなドキュメンタリー作品『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』が1日限定で2月19日に劇場上映された後に、Amazonプライム・ビデオで2月27日より配信される。

こうした作品が公開される前兆は近年のリリースからも感じていた。2022年にはソロのキャリアを網羅した80枚のシングルで構成されたボックスセットがリリースされており、翌年2023年には『バンド・オン・ザ・ラン』の50周年盤がリリースされることが発表され、2024年にはスタジオ・ライヴ・アルバム『ワン・ハンド・クラッピング』が初めて正式リリースされており、ソロのディスコグラフィーを紙ジャケット仕様で世界同時発売するリイシュー・プロジェクトも開始されている。

昨年はさらに42時間以上に及ぶ新たなインタヴューと150点近い写真によって構成された決定版と言える書籍『ウイングス:ザ・ストーリー・オブ・ア・バンド・オン・ザ・ラン』が海外で刊行されたほか、ポール・マッカートニー自らが監修したウイングスのアンソロジー・コレクションとなるアルバムも合わせてリリースされている。ソロの作品をまとめていくこと、なかでもウイングスのキャリアに光を当てていくことにここ数年はかなりの労力が注がれてきた。

しかし、ウイングスのキャリアとは決して容易に振り返ることのできるものではない。そのことが描かれているのが、今回のドキュメンタリー作品『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』だろう。ザ・ビートルズの終焉と共に27歳で姿を消したポール・マッカートニーはスコットランドのキンタイア岬という最果ての地にある農場からソロ・キャリアを始めるが、結果としてザ・ビートルズの解散を世に発表することとなり、ジョン・レノンとの関係も険悪なものとなって、世間からは大きな批判を受けることになった。それは初期のディスコグラフィーにも影響を与え、『ラム』といった名作も長年にわたって過小評価されることになった。

執拗に叩かれた歳月はポール・マッカートニーに大きな傷を残した。しかし、それもポール・マッカートニーだけのことであれば、笑い飛ばすこともできたかもしれない。けれど、ウイングスというバンドを結成することで、最も近い人物をこの災禍に巻き込むこととなった。ポール・マッカートニーは2024年のインタヴューでジョニー・キャッシュをテレビで観て、ウイングスを結成するアイディアを思いついたと語っている。「ある夜、結婚したてでベッドにいたんだけど、ジョニー・キャッシュがカール・パーキンスと結成した新しいバンドでテレビに出ていたんだ……それでリンダのほうを向いて、バンドを組みたくないかい?と言ったんだ。リンダは『分かった』と言った。そういう間柄だったんだよ。スコットランドの農場で暮らしたくないかい?と言ったら、『いやなわけがない』と言われたよ」

ファンにはリンダ・マッカートニーがポール・マッカートニーを振り回しているかのように見えた。次第に矛先はリンダ・マッカートニーに向けられるようになった。ナイジェリアのラゴスでレコーディングされた『バンド・オン・ザ・ラン』はキャリア最大級となる成功を収めて、1976年に行われた全米ツアー「ウイングス・オーヴァー・アメリカ」の成功はポール・マッカートニー本人にとっても達成感のある感慨深いものだったが、しばらくはポール・マッカートニー&ウイングスという名義が使われていたことも含めて、ウイングスに対してはリスナーも複雑な思いが交錯する。

そして、ポール・マッカートニーがウイングスを振り返りたくなかったであろう理由はもう一つあったと思う。それは必ず悲劇で終わることになるからだ。1980年12月、ウイングスの最後はあの事件と共に必ず語られることになる。『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』では事件直後にインタヴューに応じるポール・マッカートニーの映像が使われている。ポール・マッカートニーにとっては見返すことなどしたくもなかった映像だろう。けれど、今回、ポール・マッカートニーはその扉を開けた。そこにナレーションをつけているのはショーン・“オノ”・レノンだ。

ポール・マッカートニーが自身のソロ・キャリア、ならびにウイングスの価値を見直すきっかけとなったのは甥の言葉だったという。その内容はぜひ『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』で確かめてもらいたいが、ポール・マッカートニーの人生を振り返る上で欠かすことのできないチャプターの扉がここでは開かれている。

劇場上映

原題:Man on the Run
邦題:『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』
監督:モーガン・ネヴィル
編集:アラン・ロウ
プロデューサー:モーガン・ネヴィル、クロエ・シモンズ、メーガン・ウォルシュ、
スコット・ロジャー、ベン・チャペル、ミシェル・アンソニー、デイヴィッド・ブラックマン
エグゼクティブプロデューサー:ポール・マッカートニー、ケイトリン・ロジャース
 
出演:ポール・マッカートニー、リンダ・マッカートニー、メアリー・マッカートニー、ステラ・マッカートニー、ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター、ザ・ビートルズ、デニー・レイン、デニー・セイウェル、スティーブ・ホリー、ローレンス・ジュバー、ウイングス、ショーン・オノ・レノン、ミック・ジャガー、クリッシー・ハインド(アーカイブ・フッテージ含む)
上映時間:本編約1時間55分+劇場独占特典映像約11分
劇場独占特典映像:ポール・マッカートニーとモーガン・ネヴィル監督による特別対談
鑑賞料金:3200円
来場者プレゼント:本作のアートワークを使用した上映記念ポストカード
字幕:満仲由加
字幕監修:藤本国彦 / ピーター・ホンマ
(c)2026 WINGS MUSIC LIMITED.
2月19日(木) TOHOシネマズ シャンテほか全国1日限定上映
鑑賞チケットは上映館公式HPにて2月16日より販売開始

上映劇場
北海道:札幌シネマフロンティア
山形:MOVIE ON
岩手:中央映画劇場
宮城:MOVIX仙台
福島:イオンシネマ福島
東京:TOHOシネマズ シャンテ
東京:TOHOシネマズ 池袋
東京:TOHOシネマズ 上野
東京:ヒューマントラストシネマ渋谷
東京:吉祥寺オデヲン
東京:立川シネマシティ
神奈川:ローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらい
神奈川:シネプレックス平塚
埼玉:MOVIXさいたま
埼玉:ユナイテッド・シネマ浦和
埼玉:ユナイテッド・シネマ ウニクス南古谷
千葉:TOHOシネマズ 流山おおたかの森
千葉:シネマイクスピアリ
茨城:TOHOシネマズ ひたちなか
茨城:イオンシネマ守谷
栃木:宇都宮ヒカリ座
栃木:小山シネマロブレ
群馬:MOVIX伊勢崎
群馬:ローソン・ユナイテッドシネマ前橋
新潟:イオンシネマ新潟西
石川:イオンシネマ金沢フォーラス
福井:テアトルサンク
長野:アイシティシネマ
静岡:静岡東宝会館
静岡:シネプラザサントムーン
愛知:109シネマズ 名古屋
愛知:ミッドランドシネマ名古屋空港
大阪:TOHOシネマズ 梅田
大阪:TOHOシネマズ ららぽーと門真
京都:TOHOシネマズ 二条
京都:イオンシネマ京都桂川
兵庫:TOHOシネマズ 西宮OS
奈良:TOHOシネマズ 橿原
滋賀:ユナイテッド・シネマ大津
三重:イオンシネマ東員
岡山:TOHOシネマズ 岡南
鳥取:MOVIX日吉津
広島:イオンシネマ広島西風新都
山口:MOVIX周南
徳島:ufotable CINEMA
福岡:ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13
福岡:ユナイテッド・シネマなかま16
長崎:ローソン・ユナイテッドシネマ長崎
大分:TOHOシネマズ アミュプラザおおいた
熊本:イオンシネマ熊本
鹿児島:TOHOシネマズ 与次郎

更なる詳細は以下のサイトで御確認ください。

https://www.culture-ville.jp/manontherun

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