20位 サム・フェンダー『ピープル・ウォッチング』

Photo: Tish Murtha
アルバム・タイトルは日常生活の些細な出来事を距離をおいて記録する観察者を想起させるが、『ピープル・ウォッチング』で描かれているのは、よそよそしいものとは程遠い。“Arm’s Length”のフック溢れるジャムから、胸を打つバラードであり、亡き祖母に捧げられたラヴソングの“Remember My Name”まで、アルバムはサム・フェンダーを今の彼にした友人や家族たちを、これまでにないほど近くで見せてくれる。
19位 レディー・ガガ『メイヘム』

Photo: Streamline/Interscope Records
『メイヘム』をリリースする前にレディー・ガガはファンが初めて夢中になったサウンドに戻ることへの不安を表明していた。しかし、アルバムは自信に満ちた回帰作となり、不安は消え去り、自己不信は精査され、エッジのあるシアトリカルなシンセ・ポップのバンガーの旋風によって掻き消されることになった。
18位 オリヴィア・ディーン『ジ・アート・オブ・ラヴィング』

Photo: Capitol Records
きまりの悪いボーイフレンドや、アプリやアルゴリズムに支配されたデートといった話題を取り上げるオリヴィア・ディーンのセカンド・アルバム『ジ・アート・オブ・ラヴィング』は現代の恋愛の鋭い見解となっている。軽快でソウルフルなポップ・ソングとは裏腹に歌詞には渇望、恐れ、狭間の曖昧な感情が込められており、それらはすべてオリヴィア・ディーンの落ち着きながらも繊細な歌声で届けられることになる。
17位 ジェイド『ザッツ・ショービズ・ベイビー!』

Photo: Sony Music UK/RCA Records
混沌としながらも激しく、独自の色を持つジェイドによるソロ・デビュー・アルバムは音楽業界の狂乱と混乱に直面しても活躍するであろうポップ・スターの姿を鮮やかに映し出している。エレクトロニカ、シンセ・ポップ、ディスコが詰まった『ザッツ・ショービズ・ベイビー!』は並外れたクリエイティヴィティ(“Angel Of My Dreams”)、アーティストとしてのノウハウ(“Midnight Cowboy”)、深い感情(“Plastic Box”)があることを証明している。
16位 パルプ『モア』

Photo: Rough Trade
パルプは1995年に“Disco 2000”で「Won’t it be strange when we’re all fully grown?(僕らがすっかり大人になってしまったなんて変な感じじゃない?)」と問いかけていた。それから30年後、14年ぶりとなるアルバムで彼らは最高傑作に並んでもおかしくない爽快で知的な再結成アルバムを届けてくれた。ブリットポップの大御所は歳と知恵を重ね、今なおはみ出し者の仲間として栄光の日々で踊り続けている。
15位 ブラッド・オレンジ『エセックス・ハニー』

Photo: Johnny Pitts
『エセックス・ハニー』でデヴ・ハインズは母親の死と過去の悲しみの残響をまばゆいオーケストラル・ポップへと昇華させ、ロンドン郊外へと戻ってきた軌跡を追ってみせる。ロード、ムスタファ、ゼイディー・スミスらによるヴォーカル、アンビエントR&B、華開くジャズが、やわらかな優雅さと共に入れ替わりながら、積年の経験を経て喪失と帰属意識に思いを馳せている。
14位 ジム・レガシー『ブラック・ブリティッシュ・ミュージック』

Photo: XL Recordings
ミックステープ『ブラック・ブリティッシュ・ミュージック』は見かけによらず明るい作品だ。“Sun”の甘美なアフロポップ、“06 Wayne Rooney”の軽快なFIFAコア、“SOS”のノスタルジックなR&Bなど、ジム・レガシーは人生を打ち砕くようなトラウマも、ささやかな屈辱も同じように曲として代謝してみせる。彼にとってXLレコーディングスからのデビュー作はメロディックにしてメランコリックな驚きの作品で、世代を代表する才能として南ロンドン出身のこのアーティストの評価を確立することになるだろう。
13位 リリー・アレン『ウェスト・エンド・ガール』

Photo: Nieves Gonzales
女優業への進出を経て、リリー・アレンは類まれな観察眼を持つ歯に衣着せぬシンガーソングライターという本来の役割を私たちに思い出させてくれた。この離婚をテーマにした生々しいアルバムでリリー・アレンは少し抑制された2ステップ、フラメンコ、ダンスホールのビートに乗せて、婚姻関係の残骸から価値あるものを見出している。「Who the fuck is Madeline?(マデリンって誰?)」という不貞を疑う一節はミームにもなった。
12位 アマレイ『ブラック・スター』

Photo: Interscope Records
アマレイはアルバム『ブラック・スター』で黒人アーティストの卓越性が光り輝く星座に自らの名前を刻んでみせた。浮かれたクラブ仕様のアルバムは「Ketamine, coke and molly(ケタミンとコークとMDMA)」という忘れられないコーラスや、シェールを意外にも彷彿とさせる“She Is My Drug”、スリル満点のユーロトランス“Fineshyt”など、その大胆さを謳歌している。しかし、アマレイは常に享楽の中に人間らしさを見出し、その欲望が並ぶのは彼女の野心だけだ。
11位 ウルフ・アリス『ザ・クリーニング』

Photo: Columbia Records
完全に脂の乗った通算4作目のアルバムでウルフ・アリスはこれまで以上に自信をもってシーンに舞い戻ってきた。愛、友人関係、歳を重ねることについての力強い考察が人力の派手なリフ、いかついドラムビート、年代もののピアノやキーボードと共に展開される本作で、4人はすべてが確かで、何も確かなものはない空間に満ち足りたものを見出している。
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