30位 アナスタシア『テザー』

Photo: Drink Sum Wtr


アナスタシアのデビュー・アルバムは最初から心奪われる展開となっている。アルバム『テザー』で最初の曲となる“Be Kind”で彼女のバリトンによる粒だったヴォーカルとグロウルは無視すると危険なアーティストであることを如実に示している。アルバムを通して、親密なデュエットであるオボンジェイヤーとの“Slow”、資本主義への率直な考察である“Silk And Velvet”、力強いロック・ナンバーの“Believer”など、容赦なく人々を惹きつける力を発揮している。

29位 ザ・ラスト・ディナー・パーティー『フロム・ザ・パイア―』

Photo: Island Records


瞬く間にスターダムをのし上がったデビュー・アルバムの後、どのような展開を見せるのか? 変化を起こすのか、それとも自らが作り上げた世界に深く入り込むのか? ザ・ラスト・ディナー・パーティーは後者を選び、ドラマ性と深みに富んだアルバムを届けてくれた。そこには惹きつけてやまない物語によるソングライティングと最初に私たちを虜にしたフックが詰まっている。

28位 ノーリッシュド・バイ・タイム『ザ・パッショネイト・ワン』

Photo: XL Recordings


シンセ・ファンク、ローファイ・ポップ、クワイエット・ストーム、ポスト・パンクといった息を呑むようなサウンド・パレットを使ったノーリッシュド・バイ・タイムによる驚異のセカンド・アルバムは、より良い世界への希望が原動力となっている。ノーリッシュド・バイ・タイムことマーカス・ブラウンは前へと進んでいくパフォーマンスと魂を砕かれる資本主義の中で愛と強さを見つけ出すことを歌った歌詞で、アルバム『ザ・パッショネイト・ワン』を非常に魅力的なものにしている。

27位 フローレンス・アンド・ザ・マシーン『エブリバディ・スクリーム』

Photo: Polydor Records


アルバム『エブリバディ・スクリーム』でフローレンス・ウェルチは不老不死であることの意味を問いかけ、人が死ぬという脆弱性を検証することでその問いに答えている。異教主義、肉体性、詩情が色濃く反映されたアルバムは女性としての体験を深く人間的なものとして見つめることで、原始的とも言える境地に達している。

26位 ビッグ・シーフ『ダブル・インフィニティ』

Photo: Bobby Doherty


ビッグ・シーフはやりたいことを何でもできる権利を手に入れ、『ダブル・インフィニティ』では13人のミュージシャンが集まり、全員でライヴ演奏している。その結果、ビッグ・シーフならではの神秘的で喜びに満ち、直感的なサウンドが生み出されている。クスクス笑いから始まる曲もあれば、言葉を失って終わる曲もあり、これまでで最も感動的な楽曲でさえ、遊び心がはっきりと感じられる。

25位 クリプス『レット・ゴッド・ソート・エム・アウト』

Photo: Kaws


兄弟によるラップ・デュオのクリプスに得意なものがあるとすれば、それはコカインの婉曲表現を見つけることだろう。マイク・タイソン(「顔面への一撃」)やレディー・ガガ(「彼女は白人で、ぜいたくだ。分かるだろ?」)への言及など、マリスとプシャ・Tによる16年ぶりのアルバムは悪魔的なウィットとファレルによる容赦ないビートが組み合わさっている。

24位 ロード『ヴァージン』

Photo: Universal Music New Zealand


『ヴァージン』というアルバムはロードにとって断固とした再生の作品となっている。個人的な葛藤の中で書かれたアルバムは破綻した恋愛、妊娠の恐怖、そして摂食障害といったテーマに垣根ない明晰さでもって真っ直ぐ切り込んでいる。鋭いシンセと親密なヴォーカルに突き動かされる形で、ロードは大胆かつ揺るぎない力で自らの身体とアイデンティティを求め、この時代が完全に彼女のものであることを証明している。

23位 YHWHネイルガン『45パウンズ』

Photo: AD 93/Many Hats


YHWHネイルガンは彼ら自身も認めているように、万人受けするアーティストではない。しかし、インディの限界に挑戦する冒険心を持つ人にとって、『45パウンズ』は2025年で最も魅惑的で中毒性のある作品の一つと言えるだろう。ジャンルにとらわれない21分間の激しい変幻自在なサウンドと激しいパーカッシヴの推進力が前へと押し進む進歩的なアイディアを提示しており、それはクレイジーであるがゆえに成功を収めるかもしれない。

22位 ウェット・レッグ『モイスチャライザー』

Photo: Domino


“Mangetout”のウィットに富んだジョーク、“Pillow Talk”の刺激あるロマンス、“CPR”のロックらしいリフ、ウェット・レッグは全英チャートの1位を獲得したセカンド・アルバム『モイスチャライザー』で皮肉に満ちたソングライティングをさらに強化している。グラミー賞を受賞したデビュー・アルバムに続く作品となると、気後れしてもおかしくないが、そんなプレッシャーはまったく感じられない。事実、リード・シングル“Catch These Fists”はインディ・アンセム“Chaise Longue”に肩を並べる楽曲となっている。

21位 デフトーンズ『プライベート・ミュージック』

Photo: Reprise Records


世代を超えて愛されるデフトーンズの通算10作目となるアルバムはフルスロットルの成功を収め、ドリーミーなオルタナティヴ・メタルのまとまったコレクションとなっていて、ベテランが持ち前の強みを存分に発揮している。爽快な“Milk Of The Madonna”、ソウルフルな“Infinite Source”といったハイライトでは宇宙遊泳をしているような気分にさせてくれるだろう。

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