
これからスクロールしていくランキングには多くの全体を貫くテーマがある。華々しいカムバック、耳目を惹くデビュー、スリルを求めた転向、悲しみと痛みを綴った心動かされるドキュメント。しかし、年末のランキング作りに何週間も取り組んだ末に残っているのは驚きの要素だった。長年のお気に入りのアーティストがキャリアを重ねた今でも不意を突く力を持っているということ、あるいは今まで聴いたことのないアーティストのアルバムに一瞬で恋に落ちる可能性、音楽を愛する理由とはまさにこういうものではなかったか? NMEが選ぶアルバム・オブ・ザ・イヤー2025から新しく面白いものを見つけてもらえればと思う。
50位 ヴァイアグラ・ボーイズ『ヴァイアグラ・ボーイズ』

Photo: Shrimptech Enterprises
湿地遺体、歯に問題を抱えた喋る犬、病を癒やすシャーマン、メタンフェタミンを吸う悪党:ヴァイアグラ・ボーイズの通算4作目のアルバムは悪夢のようなキャストが揃っているかもしれないが、あらゆる穴からエクレクティックでエキサイティングなアート・パンクのフックが溢れ出ている。フリーキーでありながらレベルアップできることの証明と言えるだろう。
49位 エンミックス『ブルー・ヴァレンタイン』

Photo: JYP Entertainment
2022年に賛否が分かれた「ミックス・ポップ」サウンドを初めて世に出したエンミックスは時代の先を行っていたことをそろそろ認める時だろう。彼女たちのデビュー・アルバム『ブルー・ヴァレンタイン』はポップ・ロックからレゲトン、EDMまで、幅広いジャンルの楽曲が収録されており、時には1曲ですべてが網羅されていて、ダメ押しとなっている。エネルギッシュで実験的で、聴くのが楽しい作品だ。
48位 エスディーキッド『レベル』

Photo: Lizzy Records
パンキッシュな勇ましさと、艶やかで電圧の高い輝き。デビュー・ミックステープ『レベル』でエスディーキッドはUKアンダーグラウンドの真のカオス・コンダクターの座を射止めることになった。キレのあるベースと息をのむ808のサウンドに乗せて、その荒々しいリヴァプール訛りで反抗的な気概を体現し、アルバムは飼いならされることのないカルト的な暴動へと変貌を遂げることとなっている。
47位 ローズ・グレイ『ラウダー、プリーズ』

Photo: Yana Van Nuffel
ウェアハウス・レイヴという遊び場で生まれ、ベタついたクラブのダンスフロアの快楽主義を捉えようとしたローズ・グレイのデビュー・アルバム『ラウダー、プリーズ』は逃避的なポップ・ミュージックの多面的なコレクションだ。四つ打ちのビートを基盤とし、飛翔するメロディーによって舞い上がるアルバムはダンス・ミュージックとそのコミュニティを多幸感と共に称えるものとなっている。
46位 エセル・ケイン『ウィルビー・タッカー、アイル・オールウェイズ・ラヴ・ユー』

Photo: Silken Weinberg/Hayden Anhedonia
エセル・ケインことヘイデン・アンヘドニアはセカンド・アルバムで画期的だったデビュー・アルバム『プリーチャーズ・ドーター』のストーリーテリングと2025年発表のEP『パーヴァーツ』の実験性を巧みに融合させている。歌詞の優しさが濁りのある歪んだサウンドに輝きを与え、同世代で最も鋭いソングライターの一人としての地位を再び確固たるものにしている。
45位 デンゼル・ヒムセルフ『ヴァイオレイター』

Photo: The Him Institute
ロンドンのアーティストであるデンゼル・ヒムセルフは唸りをあげるディストーション、ネオソウルのきらめき、グランジに染まった幻覚でもって『ヴァイオレイター』を突き進み、ディアンジェロ級のあたたかさを歪みながらも鮮烈で、よこしまな自身のサウンドへと転化させている。これはラップ界のゴシック・カウボーイを自称するアーティストによる恐れ知らずで、奇抜な自己神話化のアートであり、今年において最も衝撃的なデビュー作の一つだろう。
44位 サミア『ブラッドレス』

Photo: Grand Jury Music
サミアのサード・アルバムは驚くべき飛躍を遂げ、自己という概念や世界が知らず知らずの内に私たちを形成していることを探求する試みとなっている。このような重いテーマはアルバムの出来を落としてしまいがちだが、サミアの手にかかると、あたたかく豊かで、1曲1曲があまりに魅力的な作品が完成することになった。
43位 エリカ・デ・カシエール『ライフタイム』

Photo: Independent Jeep Music
あまりにソフトで官能的な『ライフタイム』は夢からの通信のような様相を呈している。全編セルフ・プロデュースで、自身の作曲となった初のアルバムでエリカ・デ・カシエールは彼女ならではの2000年代R&Bへの無垢なノスタルジアと今、最も影響力のあるアーティストの一人に押し上げた先進的なポップ感覚をバランスよく組み合わせている。
42位 ウェンズデイ『ブリーズ』

Photo: Dead Oceans
力強いサザンロックにスライド・ギターの入ったバラード、そして炸裂するノイズが織りなす魅惑的なミックスによるアルバム『ブリーズ』はアメリカで最高のインディ・バンドの一つというウェンズデイの地位を固め、最も注目のソングライターというカーリー・ハーツマンの地位も固めることになるだろう。ブレイク作『ラット・ソー・ゴッド』に続く本作は、奇妙で独特なまとまりのない物語へとリスナーを連れ出し、カーリー・ハーツマンは詩人のような簡潔さと共感力でそれを描いている。
41位 ナックス『ア・ファイン・アフリカン・マン』

Photo: ADA
アルバム『ア・ファイン・アフリカン・マン』でナックスは二つの故郷に同時に根ざした詩人の視点で曲を書いている。ロンドンは彼の流れを導き、ナイジェリアのイグボ族としてのプライドがその下の道を照らす。心地の良いラップ、気骨、そして伝統が内省的なタペストリーに織り込まれ、ヴァースは哲学的な日記のように展開していく。故郷、血筋、そして今まさに成長しつつある姿に対する確信に満ちた証言となっている。
マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン - Isnt Anything Amazon限定マグネット封入 解説書付 高音質UHQCD仕様 リマスター音源 国内盤
Amazonで見る
価格・在庫はAmazonでご確認ください
Copyright © 2025 NME Networks Media Limited. NME is a registered trademark of NME Networks Media Limited being used under licence.
関連タグ



