15位 ソンバー(8/17 SONIC STAGE)

Photo: SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.
ニューヨーク出身で、芸術系の名門校であるラガーディア高校でクラシックを学び、“Back to Friends”の大ヒットで彗星の如く現れたということもあって、貴公子のようなイメージを勝手に抱いていたのだけど、フレンドリーな人柄を感じたステージだった。ライヴは6月にリリースされた“We Never Dated”で始まったのだけど、最近になって彼のことを知った人が多い日本を考えると格好のイントロダクションとなっていて、ベースがドライヴする“come closer”でバンド・サウンドをさらに聴かせたところで、ソンバーことシェイン・ブースはサングラスを外してみせる。その後も“Would’ve Been You”や“undressed”といったシングルを挟みながら、リリース直前のデビュー・アルバムの楽曲も聴かせていく展開で、後半には彼のキャリアを最初に切り拓くことになった“caroline”も披露しつつ、最後は当然あの曲で、大きな歓声が上がる。まだ何の色もついていないソングライターの可能性と瑞々しさを感じたステージだった。
14位 ティナーシェ(8/17 MOUNTAIN STAGE)

Photo: SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.
あらためてその才能の大きさを感じたライヴだった。ワールド・ツアーのイントロダクション映像と共に“Getting No Sleep”でライヴは幕を開けたのだが、ティナーシェがひとたび客席に視線を送るだけで歓声が上がり、“Needs”でしなやかなダンスを披露した後、「トキオー」と一言呼びかけただけで、しっかりと観客を掌握してみせる。“Bouncin”ではMOUNTAIN STAGE一面の手が挙がることとなり、ティナーシェはセクシーにトゥワークも披露して、大きな歓声が上がる。ブレイクを経て、ケイトラナダとの“The Worst in Me”、“Gravity”でエレクトロニックのエッセンスも見せた後で、待ち受けているのは“All Hands on Deck”、“2 On”というデビュー・アルバムからの2曲だ。しかし、ハイライトを描くことになったのはライヴを締めくくることになった“No Broke Boys”と“Nasty”という最新作からの2曲で、短くないキャリアがありながらも充実した季節をここにきて迎えていることが伝わってきた。
13位 ゲサフェルスタイン(8/15 MOUNTAIN STAGE)

Photo: SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.
ゲサフェルスタインというステージ・ネームはドイツ語で「総合芸術」を意味する単語とアルベルト・アインシュタインを組み合わせたものだということだが、まさに名は体を表すという感じのパフォーマンスだった。台座とも言える独自のセットにゲサフェルスタインことマイク・レヴィが仁王立ちするところから始まったのだけど、シンセを刻んでいく音が徐々に速くなっていくイントロダクションを経て、ずっしりとしたビートと共に一気にゲサフェルスタインならではの重厚感あるサウンドが広がっていく。そのビートはダンスするためというよりは、舞台となる世界を造るために鉄杭を打ち込むようなヘヴィネスを有しており、音圧は黒を黒で塗りつぶすようだ。“Opr”や“Pursuit”、“Hellifornia”といったライヴでも定番になっている楽曲を経て、終盤ではダンサブルなセクションも展開されるが、やはり強く印象に残ったのはそのサウンドと構築される世界で、大作の映画を観させてもらったような印象だった。
12位 ジョルジャ・スミス(8/17 MOUNTAIN STAGE)

Photo: SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.
今年のサマーソニックも厳しい猛暑の最中で開催されることになったわけだが、それでもステージ衣装が長袖にロングのパンツというのが実にこの人らしいと思う。露骨なアピールなどとは無縁の人だ。派手なギミックみたいなものはない。けれど、その声と洗練された楽曲は耳目を集めて止まない。2018年以来、7年ぶりとなったサマーソニックへの出演だが、やっぱりその芯のある歌は変わらない。感傷や同情の入り込む余地がないクオリティというものがジョルジャ・スミスの歌声にはあって、それは“With You”や“The Way I Love You”といった今年に入ってからリリースされた曲でも健在だ。デビュー・アルバム『ロスト・アンド・ファウンド』に収録されている“Teenage Fantasy”からはさらにギアが入って、ダンサブルなリズムが牽引する“Be Honest”、ライヴの定番曲“On My Mind”でピークを描き出し、最後は“Little Things”だったのだが、歌い終えた後のジョルジャ・スミスの笑顔が印象的だった。
11位 コモン(8/15 SONIC STAGE)

Photo: SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.
これだけのキャリアというか、生き方を重ねてきたからこその懐の深さが滲み出ていたステージだった。ライヴは昨年リリースされたピート・ロックとのアルバムに収録の“Dreamin”からライヴは始まったのだけど、やるべき曲には事欠かない。“Respiration”や“Get Em High”といったゲスト参加の曲も披露しつつ、ピート・ロックの“They Reminisce Over You (T.R.O.Y.)”ではお馴染みの旋律でシンガロングを巻き起こしてみせる。そこからは20周年を迎えた『ビー』から“The Food”や“Testify”といった曲も披露されていく。客席の女性をステージに上げて、コモン自らがもてなす色気ムンムンのパートを経て、セットリストはさらに時代を遡っていく。“I Used to Love H.E.R.”が演奏されたかと思えば、エリカ・バドゥとの“Love of My Life (An Ode to Hip Hop) ”も披露されて、“Just a Friend”や“Nuthin’ But a “G” Thang”といったクラシックのメドレーもあり、その愛は変わらずヒップホップへと真摯に向けられたものだった。
Copyright © 2025 NME Networks Media Limited. NME is a registered trademark of NME Networks Media Limited being used under licence.
関連タグ



