Photo: SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.

NME Japanでは今年のサマーソニック幕張会場&ソニックマニアでベスト・アクトの1~20位を選んでみました。とはいっても、多くのアーティストが出演するサマーソニック&ソニックマニアです。すべてのアーティストを観ることはできません。なので、観られた範囲の中で、あくまで独断で、編集部で観たいと思ったアーティストのなかから、議論を重ねて、このランキングを作成してみました。みなさんのベスト・アクトとぜひ較べてみてください。

20位 ホット・ミルク(8/16 MOUNTAIN STAGE)

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まずはドラマーのハリー・デラーとベーシストのトム・ペイトンが先にステージに登場する。そこに歓声を受ける形で入ってくるのはフロントを担うジム・ショウとハン・ミーの二人だ。多様なラインナップによってオールラウンドの方向性を標榜している近年のサマーソニックだが、こういう海外のラウド系アクトを早い時間から観られるというのは往年の雰囲気が感じられて嬉しい。ライヴは今年6月にリリースされた最新作『コーポレーション・ポップ』に収録されている“90 Seconds To Midnight”から始まったのだけど、ポップさとヘヴィさのバランスが実に心地いい。それぐらい完成されているジャンルという裏返しでもあるけれど、2曲目の“Horror Show”ではハン・ミーが早くも水を被ってみせる。後半はデビュー作『ア・コール・トゥ・ザ・ヴォイド』の曲で畳み掛けていく展開だったけれど、MAN WITH A MISSIONへの客演含め、こういうどこか愛着の湧くアクトが出演してくれるのがサマーソニックの魅力の一つだと思う。

19位 フェイド(8/17 BEACH STAGE)

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今年のサマーソニックにおいてラインナップで大きなカラーの一つとなったのがラテンだろう。そのなかでもフェイドはBEACH STAGEにお似合いのアーティストで、レゲトンが軸としてありながらも、距離感の近い彼の声が寄り添うスタイルで、風通しのよさと親しみやすさがある。“PPCP”と“Chorrito Pa Las Animas”でライヴを始めて、“Perro Negro”が終わったところで、どこから来たか国旗を上げろ!と呼びかけると、観客からは南米の国旗が一斉に掲げられる。“Verano Rosa”、“Nos Desconoximos”と続いた中盤ではMARINE STAGEの花火が上がるが、こちらのライヴはまだまだ終わらない。J. バルヴィンのステージでも披露した“Doblexxó”でさらに観客の熱量を上げたところで、「ト・モ・ダ・チ」という紹介で登場したのは千葉雄喜だ。二人のコラボレーションによる“重てえ (OMOTE REMIX)”がライヴで初めて披露される。多国籍を絵に描いたようなステージは“Luna”で締めくくられることになった。

18位 ポーター・ロビンソン(8/16 MOUNTAIN STAGE)

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ステージの上には巨大な猫のオブジェが鎮座している。すると、突如スクリーンを使って、その猫によるアナウンスが始まる。3つの大切なルールがあるとして、思いっきり叫んで盛り上がること、両手を挙げることが伝えられ、3つ目のルールを読み上げようとするところで、ハッキングされたかのように『スマイル!:D』の文字が表示され、“Knock Yourself Out XD”でライヴは幕を開ける。一躍脚光を浴びたファースト・アルバム、成功のプレッシャーに押しつぶされそうになったセカンド、そして何でもありになったサード・アルバムというキャリアを辿ってきた彼だが、最新作のモードが色濃く表れていたステージだったように思う。フロントにヴォーカル&ギターで立つ姿はまさにロック・バンドのそれで、エレクトロニック・ミュージックに留まらず、どんな形であれ自分なりのパーティーを繰り広げていく思いが表れていて、その印象はキャリアを代表するようなアンセム“Shelter”でも変わらなかった。

17位 ドミ&JD・ベック(8/16 SONIC STAGE)

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2022年発表のアルバム『ノット・タイト』と同じく、弦楽器とフルートによる“Louna’s Intro”に乗って、ドミ・ローナとJD・ベックの二人がステージに現れる。ドミによる華麗な鍵盤のタッチから始まったのは“WHATUP”で、ドミによるソロ・パートを経てJD・ベックのドラムが入っていると、楽曲の勢いは一気に増していく。JD・ベックのプレイはもちろんすさまじいテクニックなのだけど、技巧ばかりを重視した無機質な感じが一切なく、その音から人としての感触が満ち溢れているのが素晴らしい。そんな彼女のプレイヤビリティが発揮されたドラム・ソロを経て、ライヴでは定番となっているマッドヴィランのカヴァー・セクションに突入しつつ、ライヴの後半ではこちらもライヴの定番となっているウェイン・ショーターの楽曲やウェザー・リポートの“Havona”のカヴァーも披露される。ライヴが素晴らしいのは約束されているアクトだけれど、それに留まらない人間としての魅力を感じたライヴだった。

16位 トゥーホリス(8/15 SONIC STAGE)

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トレードマークである十字のクロスのモチーフがスクリーンに表示される。明滅する激しい照明の中で1曲目に演奏されたのは、その名の通りと言える“flash”だった。「トキオ、アイ・ラヴ・ユー」という一言を挟んで、トラップのビートによる“gold”が続いていき、曲は激しい四分打ちへと突入していく。その後も3分ほどの楽曲が刹那的に続いていき、曲が終わる度にトゥーホリスは一旦袖へと消えていく。まるでそれは曲ごとに限りあるものを燃やしていくような、そんな切迫感があるのだけど、同時に2025年のカジュアルさも感じる。“whiplash”から“poster boy”の流れで一度ピークを描き出した中盤を経て、後半は再びキャッチーな“two bad”でギアを入れ直していく。“3”ではステージに横たわり、終盤は“crush”や“light”といった観客が待ち望んでいた楽曲が演奏され、最後は“jeans”だった。そのエレクトロとパンクとポップとアヴァンギャルドがフラットな形で同居するサウンドは鮮烈な印象を残していった。

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