15位 パフューム・ジーニアス(7/25 RED MARQUEE)

Photo: Daiki Miura
ステージ後方の中央にパイプ椅子らしき椅子が置かれている。ひょっとしたら捌け忘れたのだろうかと思ったのだけど、当然そんなことはなく、そのまま開演を迎える。最新作『グローリー』を引っ提げての出演となったパフューム・ジーニアスだが、“In a Row”から始まったライヴはこの椅子の存在が大きなポイントとなっていた。“It’s a Mirror”で床に座り込んだかと思えば、椅子に座って始まった“No Front Teeth”では悶絶するかのようにパイプ椅子の枠に自らの身体を通してみせる。最新作は「身体とその崩壊、家庭生活と愛、逃れられない歴史と傷」をテーマとしたということだけれど、そうした楽曲に込めた思いを椅子を通してフィジカルとして可視化していく、そんな形でパフォーマンスは進んでいく。“On the Floor”はハンドクラップで迎えられ、『ノー・シェイプ』に収録の“Otherside”ではバンドのアンサンブルによって一気にサウンドが花開く。フェスという場ながら、その極私的な表現は鮮烈な印象を残していった。
14位 フォー・テット(7/26 WHITE STAGE)

Photo: Masanori Naruse
最近のエレクトロニック・アクトの場合、映像を演出に組み込むのが主流だと思うのだけど、あくまで音と照明とミラーボールだけだったところにフォー・テットの矜持を見た気がした。ライヴは“Two Thousand and Seventeen”から始まったが、楽曲の意匠を使いながらノイズっぽいトラックやフィルターを使って長尺のミックスであたためていくスタイルで、いわゆるEDM的な展開とは対照的なもので、スクリレックスらとのコラボレーションである“Talk To Me”のような曲も披露されるけれど、その姿勢は変わらない。そこにマジー・スターをサンプリングした“Into Dust (Still Falling)”のような曲が入ってくるのだからたまらない。中盤からはステージ上方にずらりと並んだ照明とのリンクも見事で、“In My Dreams”や“Daydream Repeat”といった楽曲も披露され、終始ストイックかつアナログ感のあるプレイを続けたところにフォー・テットことキーラン・ヘブデンという人の人柄が表れていた。
13位 ジェイムス・ブレイク(7/26 GREEN STAGE)

Photo: Taio Konishi
相変わらず強い雨が続くなかで高らかなサンプリングによる“Fall Back”からそのステージは始まった。続く“Overgrown”が終わったところで、ジェイムス・ブレイクが「戻ってこられて光栄だよ。雨のなかにもかかわらず、観に来てくれて感謝しているよ」と語る。フジロックに出演するのは2019年以来ということで、この場所でライヴを観てから6年が経ったことになる。その間に世の中でもいろんなことがあったし、ジェイムス・ブレイクにも変化はあったけれど、彼の音楽とパフォーマンスのクオリティは変わらない。“Mile High”に続いて披露された“The Limit to Your Love”を聴いていると、そんなことを考えさせられる。“Say What You Will”では観客によるシンガロングを試みつつ、後半では“Tell Me”でレイヴの一面も見せつつ、最後は“Retrograde”で、アーティストとしての芯のブレなさに感嘆していると、あれだけ激しかった雨はもう上がっていた。
12位 イングリッシュ・ティーチャー(7/27 RED MARQUEE)
“The World’s Biggest Paving Slab”からライヴは始まったのだけど、演奏が上手いかというと、そうでもない。むしろぎこちなさを感じる場面も少なくない。けれど、セットリストが“Albatross”に入った頃からだろうか、予感めいたものを感じる。基本的な音楽性はロックだけれど、プログレやエモといった過去のスタイルを使いながらも未来に向かって進んでいく高揚感がある。そうすると、当初感じていた拙さは未踏の道を行く足取りの感触となり、フロントのリリー・フォンテインは“You Blister My Paint”のようなチェロを使ったバラードでも自信を覗かせる。クライマックスは新曲の“Toothpick”を挟んで迎えた終盤だった。自らの外見を皮肉って「自分にはR&Bの声などなかった」と歌う“R&B”を皮切りに、スリリングな展開が待ち受ける“Nearly Daffodils”、そして最後に演奏されたのは“Albert Road”だった。バンドの可能性をそのまま映すような壮大さが広がる。何も完成していないからこその魅力、そんなものを感じるライヴだった。
11位 コンフィデンス・マン(7/26 RED MARQUEE)

Photo: Masanori Naruse
まずは黒子姿のドラマーとサウンド・オペレーターが登場するが、目を引くのはジャネット・プラネットとシュガー・ボーンズのフロント二人だろう。当初、冗談から始まったプロジェクトだったが、昨年リリースされた最新作『3AM(ラ・ラ・ラ)』がUKメディアの年間ランキングに軒並みランクインしたコンフィデンス・マンのステージはインパクトでいけばピカイチだった。1曲目の“Now U Do”からユニゾンのチープなダンスを披露して場内を沸かし、その後もショーマンシップが衰えることはない。“I Can’t Lose You”が終わると、“Firebreak”で衣装替えに突入して、ジャネットの胸とシュガーの肩が光るコスチュームで“Feels Like a Different Thing”と“C.O.O.L Party”を投下していく。再び衣装チェンジを経て、最新シングル“Gossip”までもが披露され、シュガーがジャネットを肩車して“So What”に突入して、最後に“Holiday”が披露される頃にはルール無用のパーティーメイカーであることを証明していた。
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