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7月9日は元ホールのヴォーカルを務めたレジェンド、コートニー・ラヴの51回目の誕生日だ――コートニー・ラヴは現代の音楽史の中で最も批判され、また最も評価が二分するアーティストの一人に数えられるだろう。その物怖じしない振る舞いや、自身の大ヒット曲の多くは亡くなった夫のカート・コバーンにより書かれたものであるとの告発にまで触れながら、コートニー・ラヴの友人でありファンでもあるザ・クリブスのライアン・ジャーマンが手酷い女性蔑視から来るコートニー・ラヴ批判について語る――そして彼女がこれから先もいかに変わらずにいるかということも……。ザ・クリブスのライアン・ジャーマンによるコートニー・ラヴに寄せたブログをお送りする。

「たとえ小さな子供でも、コートニー・ラヴが何者なのかは知っていた。どういう風にかは分からないけれど、いつの間にか意識の中に入り込んできたんだ。雑誌を買う金もなかったし、ネットとかもなくて彼女のことを知るための手段なんてなかったのに、重要人物みたいに思えたんだよね。僕らが初めて手に入れたアルバムは『リヴ・スルー・ディス』だった。初めて聴いたのは朝までパーティーしてた時だったんだけど、これはとにかくすごいと思った。ホールに求めてた音が丸ごとそこにあったんだ。ヴォーカルにはものすごい毒があったし、ただただ本当にハードにロックしてたしね。しばらくしてホールは大好きなバンドのひとつになった。コートニー・ラヴは僕の知る中で最高の詞を書く人達の一人なんだけれど、そこはあまり褒められていないよね。

ホールのヒット曲のいくつかを書いたのはカート(・コバーン)だとほのめかす人もいるけど、そういうのは本当に不快だし、分かってないよね。コートニー・ラヴを悪く言うのは、皆が彼女を脅威と感じるから、それだけだ。何で脅威に感じるかと言えばそれは彼女が誰よりも賢くて、それを皆が気に入らないからだよ。豪快で華のある個性を持った人が、同時に賢くもあったりすると、気に入らないものなんだ。皆はそういうタイプの人をとても恐れるけど、コートニー・ラヴはまさにそれに当てはまるんだ。この件には女性蔑視が確実に関係していると思う。ホールのようなバンドのおかげで良い方に変わり始めた物事もあるけど、1990年代の女性というのはそういった考え方に対して今よりも少しだけ挑戦的な態度でいないといけなかったんだろうと思っていて、それは自分たちの地位のために闘わないといけない状況だったからなんだよね。僕の想像だけど、たくさんの人たちがコートニー・ラヴに与えられる一番酷い侮辱とは何かを考えたら、それは彼女の歌を本当に書いたのはボーイ・フレンド(のカート・コバーン)だと言うことだと気付いたということなんだろうね。

僕が絶対に理解できないことは、どうしてみんなはニルヴァーナが大好きなのに、コートニー・ラヴのことはこき下ろすのかってことだよ。そしてカート(・コバーン)が亡くなった時には、コートニー・ラヴがとんでもなく悲惨な気持ちを味わっていることを誰もが気の毒に感じていると当然のように思うだろう? 当時、コートニー・ラヴは相当な強さと不屈の精神を見せたのに、世間はマイナスの面ばかりに目を向けていた。あの時のコートニー・ラヴの扱われ方には今でもショックが残ってるし、むかついてもいる。あれはまるで魔女狩りだったから。

初めてコートニー・ラヴに会ったのは2005年のロサンゼルスだ。コートニー・ラヴを知っている女の子と知り合いで、その子はコートニー・ラヴが僕らに会いたがっていると何度も繰り返した。それでコートニー・ラヴはある夜ロサンゼルスのクラブにやって来たんだよ。どこかのプロデューサーと一緒で、この人のコートニー・ラヴに対する態度が媚びてて、気持ち悪かったから、僕はそのことにいちゃもんを付け始めた。そしたら相手は僕の靴がテープで張り合わせてあるのを見て、けなして来たんだ。やたらお上品なタイプだったね。それでお互いの靴を罵り合うっていう何の役にも立たない小競り合いをしていたらコートニー・ラヴがこう言ったんだ。『あの人はすごい権力を持ってて偉い人なのよ、誰だか知らないの?』って。僕は「そんなこと関係ない」とか言ったんだよね。それが気に入られた理由かな、僕のことを怖いもの知らずで思ったこと事をはっきり口にする人間だと思ったんじゃないかな。それ以来、僕らは友人になったんだ。

僕は彼女の家に少しの間滞在したことがあったんだけど、あれは本当に楽しい時間だったよ。コートニー・ラヴは完全にスターなわけだし、一つ屋根の下で住んでみたら、有名人になるということの良い面をこれでもかというくらい見せてくれたからね。ちょっとクラクラして、すごいことなんだって感じだよね。下の世代に対してもコートニー・ラヴはいまだに大きな影響力を持っているよ、彼女がどんな風な人間だったかを見て育ってきているからね。彼女は今でも同じように行動してて、どこから見ても丸くなっていない。本当にね、彼女は想像通りの人で、公の場での彼女の振る舞いは偽りのものなんかでは決してないんだ。

コートニー・ラヴのような人は評価がいつでも二極化する――彼女の人柄のせいもあるし、それから彼女は全然妥協しないしね。コートニー・ラヴがいなくなるまで世間は彼女のそういう面を好きにはならないのだと思うし、もし彼女がいなくなってしまったら今までさんざんこき下ろしてきたすべての理由を、突然彼女をもてはやす理由として使うようになるんだよ。悲しいことにね。でも、コートニー・ラヴのすごいところは、常に彼女自身でいたことで、人がそれを気に入ろうが嫌おうがどうでもいいというね。コートニー・ラヴはずっとこのままで変わらないんだよ」

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