40位 ビル・ライダー・ジョーンズ『イエヒ・ダ』
パンデミックを自らのデーモンと対峙することに費やし、破局の余波を受けたビル・ライダー・ジョーンズは美と希望に満ちたゴージャスなレコードを発表することになった。『イエヒ・ダ』はその囁くような優しさであなたを誘い、ビル・ライダー・ジョーンズの歌にある衝撃的な生々しさがあなたを捕らえることになるだろう。素晴らしい。
39位 ホールジー『ザ・グレート・インパーソネーター』
ポスト・ハードコアにオルタナティヴ・ロックからカントリーにシンセ・ポップまでと、ホールジーの通算5作目となるアルバムは自らのアイデンティティーの断片を探るために、これまで聴いてきた音楽を使う格好となっている。生命を脅かす複数の病気と闘いながら書かれたこのアルバムほどホールジーがメインストリームのポップの中心地から離れて、生々しく感情的なサウンドを響かせたことはなかった。これまででも最も勇気ある決断だろう。
38位 レマ『ヒーズ』
レマは『ヒーズ』というアルバムで今後何年もダンスフロアを埋めていくであろう興味深い傑作を手にすることになった。この熱のあるレコードはベニンシティのヒーローであるレマの特徴となっているエネルギー溢れるアフロ・レイヴ・スタイルと地元のアフロビートを掛け合わせたもので、唸るベースラインとロールするドラムが陶酔感のある高揚から大地に叩きつけるものとなっている。精力感溢れる近い将来のクラシックだ。
37位 ニルファー・ヤンヤ『マイ・メソッド・アクター』
ニルファー・ヤンヤは常に見逃すことのできない才能だったが、3枚目のアルバムで彼女はより難なくクールな成果を手にしている。気難しいオープニング曲“Keep On Dancing”から、かすかにドラムとギターが存在する“Binding”の自信に満ちた静けさまで、『マイ・メソッド・アクター』は自意識から逃れたアーティストのサウンドが鳴っている。
36位 アルージ・アフタブ『ナイト・レイン』
2022年にグラミー賞受賞という歴史的快挙を成し遂げたアルージ・アフタブは通算4作目となるアルバムでさらにダークだが、遊び心のある一面を見せている。ラヴソングや悲しい曲を歌う時も、チェンバー・フォークとジャズ、トリップ・ホップをブレンドしてみせる時も、アルージ・アフタブの声は魅惑的で、夜の闇の底から果てしなく豊かな色彩を召喚している。
35位 ワクサハッチー『タイガーズ・ブラッド』
最高の曲というものはすべてがうまくいき、その瞬間にいるべき場所にいると感じさせてくれる。ワクサハッチーによる古き良きアメリカーナへの優れた賛歌はどの瞬間も――ゆったりとしたオープニング曲“3 Sisters”から、あたたかなカントリー・バラード“Right Back To It”まで――あなたを完全にくつろがせてくれるだろう。
34位 スプリンツ『レター・トゥ・セルフ』
セクシャリティや不安、トラウマについて鏡に向かって叫ぶ個人レッスンとも言うべきスプリンツとしての活動について「新人にしては彼女っていいんじゃないと言われた」とカーラ・チャブは吐き捨ててみせる。この抗いがたいほどモッシュに適したアルバムはより多くの聴衆に聴かれることを願いながらも、ダブリン出身のガレージ・パンク・バンドにとっては既に勝利であり、「新人」が頂点に立つ時の超越感を有している。
33位 バーウィン『フー・アイ・アム』
バーウィンはそのデビュー・アルバムで鋭い社会批評を次の次元へと引き上げてみせた。イギリスの移民政策を詳細に掘り上げながら、ホームレスや依存症の体験について語り、痛みを愛へと転化させていくというのはかなりのことだ。“Hate”や“Who Am I”といった曲は歯に衣着せぬほど政治的でありながら聴きやすいトラックになっているが、バーウィンはそれをいとも簡単にやっているように見える。
32位 FLO『アクセス・オール・エリア』
FLOの『アクセス・オール・エリア』ほど、電撃的でありながらよくできたガール・グループのデビュー・アルバムを思い出すのは難しい。このトリオは90年代R&Bの優秀な生徒であるだけでなく、ノスタルジーなど寄せ付けずに、当てはめられるどんな枠をも打ち破る強力なヴォーカル・グループでもある。
31位 バッシー『ビーイング・プア・イズ・エクスペンシヴ』
UKラップ界で最も過小評価されているストーリーテラーの一人による力強い復帰作だ。気の利いたメロウなヒップホップに、バウンスするダブ調のアンセム、削ぎ落とされたインダストリアル風のグライムを通して、ロンドン北部出身のMCは現代イギリスにおける被支配と人種差別の経験を怒りと人道性をブレンドしながら酔わせるように描いてみせた。
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