ザ・フーのフロントマンであるロジャー・ダルトリーはミュージシャンによるビザなしでのヨーロッパへの渡航を求める公開書簡に署名したことが動揺を生んでいることに言及している。ロジャー・ダルトリーはEU離脱を支持していたことで知られ、音楽への影響はないだろうと語っている。
公開書簡はリアム・ギャラガー、エド・シーラン、エルトン・ジョンら100名を超えるミュージシャンが署名しているもので、ミュージシャンがビザなくヨーロッパをツアーすることを妨げるイギリス政府のEU離脱案を「恥ずべき失敗だ」と批判している。
この公開書簡は政府に「至急やると言っていたことをして、イギリスのアーティストや機材をヨーロッパで書類なしに渡航できるように交渉する」ことを求めており、許可を取るコストやその他のレギュレーションが「新型コロナウイルスによるライヴの禁止で持ちこたえようと苦しんでいる若い躍進中のミュージシャンを初めとして、たくさんのツアーが不可能になる」と主張している。
ロジャー・ダルトリーは2019年のコメントでEU離脱を支持していたことが広く報じられている。EU離脱は「イギリスのロック・ミュージックに悪い影響を与えると思うか」という質問にロジャー・ダルトリーは次のように答えていた。「それはないよ。ロック・ビジネスと何の関係があるって言うんだい? まるでEUに加入する前はヨーロッパをツアーできなかったみたいな言い方じゃないか。やめてくれ」
ロジャー・ダルトリーは続けて、EUをマフィアになぞらえて次のように語っている。「もしマフィアと契約して支配されたいなら、好きにすればいいさ。(国際サッカー連盟の)FIFAに支配されるみたいな感じでね」
今回、ロジャー・ダルトリーはビザなしでのヨーロッパへの渡航を求める公開書簡に署名したことについて自身の見解を明かしている。「EUに対する自分の意見は変わってないんだ。ブリュッセルから逃れて、ヨーロッパじゃなくなったことは喜んでいる」と彼は『NME』に語っている。「国民投票の結果を欧州理事会議長に断られる前に僕らが求めていた改善は求めただろうけどね」
ロジャー・ダルトリーは次のように続けている。「我が国の政府はミュージシャンや俳優の制限緩和をより優先すべきだと思っている。ツアーも、俳優個人も、ミュージシャンもEUに入る時には書類一式で“商品”として扱われるべきだからね。スイスはEU5ヶ国と国境管理をやりながら、貿易はコンピューターを使って摩擦がないわけだからね。なんで自分たちにはできないんだ?」
公開書簡はミュージシャンやクルーのビザなしのツアーのために交渉することをボリス・ジョンソン首相が拒否したことを受けて発表されている。
オリヴァー・ドーデン文化相はアーティストがビザなしでツアーできないのはEUのせいだとしていたが、「スタンダード」な提案は90日以下の旅行であればEUの国に入る際にビザは免除されるというものだったと報じられている。それを受けて今回の騒動は起こっている。
EUもイギリスの提案を断ったとする説を否定して反論し、実際に提案したのは90日以下の旅行であればEUの国に入る際にビザは免除されるというものだったと述べている。しかし、イギリスはわずか30日の独自案を提案してきたとされている。
アーティストや音楽業界の重鎮からは怒りの声が寄せられ、政府に「真剣に受け止めて解決する」よう求めているが、政府は国境の「コントロールを取り戻す」ことが優先事項であり、EUが「考えを変えない」限り、交渉は再開しないと述べている。
先日、音楽業界の関係者は現在のEU離脱案によってイギリスのアーティストがアメリカでツアーを行うのを妨げる可能性についても口にしている。隣国のヨーロッパで簡単にツアーができなくなることで「国際的認知」を得られなくなり、それによってビザが不適格になる可能性があるとしている。
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