GETTY

Photo: GETTY

ダーレン・ラヴは訃報を受けてフィル・スペクターと仕事した時のことを振り返っている。

女優のラナ・クラークソンを殺害した罪で懲役19年の刑に処されていたフィル・スペクターは新型コロナウイルスが再発して現地時間1月16日に亡くなっている。

ダーレン・ラヴは60年代前半にフィル・スペクターと仕事をしており、“He’s A Rebel”、“(Today I Met) The Boy I’m Gonna Marry”、クリスマスの名曲“Christmas (Baby Please Come Home)”といったヒット曲を生んでいる。

米『ローリング・ストーン』誌にダーレン・ラヴはフィル・スペクターとの仕事の始まりを振り返り、第一印象について「変な感じ」だったと述べている。ダーレン・ラヴはフィル・スペクターを有名にしたウォール・オブ・サウンドを含むレコーディング技術やダーレン・ラヴという名前を彼女に与えられたことについて語っている。「私はこう思ったの。『ラヴという名前を続けていくなら、本名もこの名前に変えたほうがいい』ってね」

「それでそうしたの。その後、フィル・スペクターに会うことができたんだけど、『あれは君の名前じゃない。僕のだ』と言われて、私は『ええ。でも、聞いて。法的に私のものになっているのよ。だから、あなたのじゃないわ』って答えたの」

ダーレン・ラヴはフィル・スペクターの「闇の部分」についてロンドンから戻ってきた時にそれを初めて目撃したと語っている。「完全に違う人」になっていたとしてダーレン・ラヴは「フィル・スペクターの意地の悪い本当の部分、コントロール・フリークな部分」を見たと述べている。

「この頃、銃に関する話を聞き始めたの。ある日、セッションに行ったら、逃げるようにみんなが出てきたのを覚えている。『何があったの?』と訊いたら、フィルが銃を持っていたと言っていたのよ。『何てこと! 分かった。家に帰ることにするわ』と私は言ったわ。スタジオに行くことはなかった」

「私は当時よくフィルに『フィル、いずれ銃を抜いて、何かが起こってしまうわ』と言っていた。そんなことにはならないと信じていると彼にはよく言っていた。銃を抜いたりしてたら、いずれそういうことになるとは思っていたけど、あんなことになるとは思ってなかったわ」

1977年に最後のセッションを行った時はスタジオに外を歩くのが好きだったとダーレン・ラヴは語り、それ以降1989年にロックの殿堂入りを果たすまでフィル・スペクターと会うことはなかったと語っている。その間にフィル・スペクターはダーレン・ラヴが『ザ・レイト・ショウ・ウィズ・デヴィッド・レターマン』で“Christmas (Baby Please Come Home)”を披露するのを止めさせようとし、歌ったら番組を訴えるとしていた。「あれは私を所有して、私にやらせたいことをやらせるという考えだったのよ」と彼女は語っている。

「彼を恐れたことはなかった」と彼女は続けている。「彼が私を傷つけることはないと思っていた。私はそう考えていたの。今日までずっと私は私という人間とその才能をリスペクトしてくれていたと思っている。それこそ彼のコントロールしたかったものだから。私の才能よ。彼はそれを失って、私と彼の関係も終わったのよ」

彼女はフィル・スペクターの怒りについて「ドラッグやアルコール」と彼女をスターにするコントロールを失うのが嫌だったためだと考えていたと語っている。ダーレン・ラヴは2011年にロックの殿堂入りを果たした時にフィル・スペクターについて「ほぼ気が触れている」と語っている。

「だって彼はロックの殿堂の指名委員会にいたでしょ」と彼は説明している。「私の名前が挙がる度に彼は怒っていた。『彼女はロックの殿堂に値しない。よくもそんなことを』ってね。私が招待されたら、彼は不満のある人物だからね。先程も言ったように、ゲームは続いているのよ」

そうしたことにもかかわらず、ダーレン・ラヴは彼女のキャリアについて彼のおかげだったと述べている。「フィル・スペクターがいなかったら、私のキャリアはなかった。もう50年以上が経って、50年以上にわたって起きてきたことでその恩恵を受けてきた。彼の死に方は嫌だったし、彼が亡くなった時にいた場所も嫌だった。今は本当にものすごく悲しいわ」

ロニー・スペクターもフィル・スペクターの訃報が発表されたことを受けて声明を発表している。

「フィル・スペクターと仕事をして、彼がレコーディング・スタジオで制作しているのを見ていた時、最上の人と仕事をしているのを分かっていました。彼は完全にコントロールしていて、全員を統率していました。あの日々に多くの愛情を感じています」

「生前、私は何度も彼が素晴らしいプロデューサーでありながらも、ひどい夫だったと何度も言ってきました。残念ながら、フィルはレコーディング・スタジオの外ではちゃんと生きることができなかったのです。闇が近づき、多くの人々の人生がダメージを受けました」

広告 ザ・ビートルズの新作ドキュメンタリー『ビートルズ ’64』がディズニープラスで11月29日(金)より独占配信!

Copyright © 2024 NME Networks Media Limited. NME is a registered trademark of NME Networks Media Limited being used under licence.

関連タグ