メタリカは、バンドのベーシストだったクリフ・バートンの父のレイ・バートンが1月15日に94歳で亡くなったことを受けて追悼の意を表している。
「大変悲しいことに、先週私たちはクリフの父レイ・バートンとお別れをすることになりました」とメタリカは声明を発表している。「38年間、私たちは幸運にもレイのエネルギー、知恵、明るさにたくさん触れることができました。活力に満ちた彼の永遠の若さ、前向きさ、絶え間ない笑顔はとてつもなくパワフルで、心揺さぶるほど真っ直ぐなものでした。津々浦々、ときには海外でも、レイはいつもにこやかな顔で挨拶に来てくれて、私たちの旅にあたたかさと心の支えを与えてくれたものでした。バンドやクルー、そしてファンといったメタリカ・ファミリーのことについて、彼はみんな自分の家族のように思ってくれていました。しかし同様に、レイだったら私たちがこうして『いつまでも座り込んでクヨクヨしている』のを望まないことも分かります。だから、彼のような人間に敬意を表して、レイがみんなと歩んでくれた94年間の人生を心から祝福したいと思います。私たちがどこにいたとしても、彼のあの明るさ、知恵、エネルギーは、これからも確かに私たちと共にあるでしょう。レイ、愛しているよ。安らかにお眠りください」
メタリカの各メンバーもそれぞれ追悼文を寄せており、ジェイムズ・ヘットフィールドは韻を踏んだ歌詞の形で「ミスター・レイ・バートン」への思いを綴っている。
「ミスター・レイ・バートンは俺のヒーローなんだ
この世の存在としては終点に着いたけれど
幾度も困難な嵐を乗り越えてきた
強い羅針盤のように
息絶えるまで、あれほど前向きな人間を見たことがなかった
彼の息子にとって、彼ほど忠実なファンはいなかった
だから彼はこの世界を離れたんだ、また息子や妻と暮らすために
あなたに人生を彩ってもらえて、俺は本当に恵まれていたと思う
この世の存在としては終わりを迎えたけれど
ミスター・レイ・バートンは俺のヒーローなんだ
あなたに平穏のあらんことを
愛と敬意を表します。ジェイムズ」
ドラマーのラーズ・ウルリッヒは次のように述べている。「レイ…ありがとう、あなたが入って来た部屋はいつも明かりが点いたようだった。あなたの前向きなエネルギー、根気の強さ、力みのなさは俺たちを鼓舞してくれた。あなたがいるといつも、みんな気持ちよくいられた。そして、もちろん、クリスという唯一無二の才能を持った宝物を世界に与えてくれたことに感謝したい。彼のそばで演奏し、一緒に過ごせたことを、俺は恐れ多くも光栄に思っているんだ。安らかにお眠りください。ラーズ」
ベーシストのロバート・トゥルージロは次のように述べている。「俺も55年間生きてきて、本当にたくさんの素晴らしい人やそんなに素晴らしくないに出会えたわけだけれどね。近頃の自分は、というかメタリカに入ってからはほぼ間違いなく、誰が励みになっているかとか、どういう人になりたいかを訊かれたときは『レイ・バートンさんみたいになりたいね!』と答えてきたんだ。レイは俺たちが望み、必要とした父親だよ。彼の前向きなエネルギーや応援は、俺たちにとって彼がくれた強力な贈り物だね。
彼はいつも笑顔で、いつもありのままに話してくれた。誰もが見習うべきことだよね。彼のあらゆる音楽のスタイルへの愛情を持っていて、それは凄く情熱的だった。彼は自分の若い頃にいた色々なビッグ・バンド・ジャズのアーティストのことを語っては、どうしてその頃のミュージシャンが特別なのか話してくれたんだ。それと、俺の息子のタイにこう言ってくれたことはずっと忘れないだろうね。『タイくん、練習すること、ピアノを弾くことだよ。それが君の音楽にとってとても大切なのを忘れないでね。クリフもずっとピアノを弾いていたんだからね』
俺の家族、メタリカ・ファミリー、そして世界中がレイ・バートンがいなくてさびしく思うことになるよ。言うまでもないことだけどね。レイは戦士だったから、きっと俺たちにも彼と同じような形で人生と向き合って欲しいと思っているんじゃないのかな。とにかくできる限り良い存在になりたいと願って、謙虚さを忘れず、笑顔を絶やさず生きるんだ!
みんなあなたを愛しているし、あなたがいなくて寂しいよ、レイ
安らかにお眠りください。
ロバート」
ギタリストのカーク・ハメットは次のように語っている。「レイに沢山の愛を贈ります。どうかクリフやジャンと一緒にいてください」
レイ・バートンの継娘のケイシーは追悼のビデオの中で、父が肺炎で亡くなったことや、ロバート・トゥルージロが父を応援するために最期の一週間、病院で付き添ってくれたことを明かしている。
「父が風邪をひいたから病院に連れて行ったの。それから7日間はそばにいて回復を願っていたわ」とケイシーは語っている。「彼は本当に強い人なの。いつも治っちゃうのよ。でも、不運なことに、ここ数年間は彼の心臓も35パーセントしか機能しなくなっていた。だから、いつかは彼の弱った心臓が働き続けれられなくなることは私たちも分かっていたわ。そして、その時が来てしまった……。父は家族に囲まれてこの世を去ったの」
彼女は次のように続けている。「この場を借りて、レイにとってみんながどれほど大きな存在だったかを伝えておきたい。私が父をコンサートに連れていくたびに、父がイヴェントに参加するたびに、父に出会った人が『私の名前は○○。ここの出身です。自分にとって、あなたの息子さんはこういう存在なんです』と話してくれるたびに、父にとってそういう機会こそが、息子が自分のもとに帰ってきてくれる時間だったの。メタリカのコンサートに行くといつも彼は笑っていた……。父はみんなを愛していた。ジェイムズ、ラーズ、カーク、ジェイソン(・ニューステッド)、ロバート、デイヴ(・ムステイン)のことを愛していたわ」
レイは95歳の誕生日のわずか15日前に亡くなっている。
クリフ・バートンは1982年にメタリカに加入し、バンドの最初の3枚のスタジオ・アルバム『キム・エム・オール』『ライド・ザ・ライトニング』『メタル・マスター』に参加している。彼は死後、バンドの4作目のアルバム『メタル・ジャスティス』収録の“To Live Is to Die”で作曲クレジットに名前を連ねている。また、2009年4月にメタリカのメンバーとしてロックの殿堂入りを果たしている。
彼は1986年9月27日、スウェーデンで起きたツアー・バスの事故により24歳という若さで亡くなっている。
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